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不同視弱視の心当たりは? 7.発達障害、HSC、感覚過敏を疑うけど、どれも違う

こんにちは。近藤ろいです。
遠視性不同視弱視の記事としては、間が空いてしまいましたね。
いつもの口上から。


今4歳の上の娘は弱視治療をしています。「遠視性不同視弱視」といいます。左目が強い遠視であまり見えておらず、治療をしなければ将来眼鏡をかけても視力が出ないかもしれない状態です。
普通の3歳児健診で発見されました。

このシリーズでは、発見されるまでに兆候はあったのか?を1歳毎に振り返ってきました。

これまでよ大まかな結論としては「いやいや普段の生活で気づくのムリ」ですが、
今回はちょっと特殊な、専門職としての後悔です。

一番「見逃した!」と思った要素


私は職業柄、臨床心理士として、子どもの精神発達を見立てる領域に関わっています。

一緒に遊ぶなかで、一連の行動や物事の反応から、その子が発達のどんな段階にあり、それが今の困った行動にどうつながっているのか?や、よい行動や成長成長にどうつながっている?かを見立てることを業務の一環としています。
(まだまだ修行中なのと、このブログでそれを売りにしている訳ではないので、あまり宣伝していません)

で、もちろんわが子にもその目は向けた訳ですよ。
何しろ初めての子どもで、私も神経質だったもので。

2歳過ぎから、「育てにくいけど理由がよくわからないなあ」と感じていました。
だけど、それがどこから来ているのか見抜けなかった。 

この、理由のわからない発達と行動の不思議なアンバランスさが、親としては特殊かもしれませんが一番「うわあ、見逃した!」と思った不同視弱視の兆候でした。

育てにくい子。発達障害? HSC? 感覚過敏? ギフテッド?

具体的にはどんな不思議なアンバランスさを感じていたか。

癇癪とこだわりが強いんだけど、家族相手に限定されており、模倣や共感性も高いので自閉スペクトラム症ではない。

なら「繊細さん(HSC)」なのかな?と思ったけれど、疲れやすさや対人面の過剰な敏感さはなく、何ならいい意味で豪胆なところもある(雨上がりの公園を裸足で遊ぶなど)。
おそらくHSCではない。

触覚の感覚過敏のため、少しの怖い体験も鋭い棘のように刺さるのか?と思って感覚統合インベントリでスコアを取ったけれど、少し敏感目ではあるが標準の範囲内。

もしや知的に高すぎる「ギフテッド」なので、頭が回りすぎて理解が追い付かなかったり周りとの差異に無意識のうちに悩んでいる?

と期待したけれど、新版K式検査などの取り組みを見ても、まあ数値的には平均よりちょっと下。

個性の範囲で色々な特性はありそうだけど、全て決め手に欠けるのです。


「これは何だろう?」癖つよの精神状態だけど、型にはまらない


我が子ながら、何かしら強めの個性、発達の偏りがあるように思いましたが、型にははまらない。

また、性格、行動、精神発達もアンバランスさがあるように思いました。

  • 性格…不安がとにかく高い、プライドが高い、母親への執着が強い

  • やっていることや興味関心から見立てる発達段階…生活年齢相当以上

  • 行動…聡明。保育園で適応的。

「おっ、ちょっと賢いけど空回りするタイプか?」と思って新版K式発達検査なんぞ取ると

  • 精神発達の数値…平均のちょっと下

「あれぇ!?」

一方で生活動作はやたら身に着いていたので、遠城寺乳幼児発達検査なんかでマークすると実年齢+1歳とか出ちゃう訳です。
発達指数130越えの大天才。

「んん…?」

何これ。

発達指数と普段の印象に差があるとき、何を考える?

普段のパフォーマンスからくる印象と発達指数の間に差がある時。

仕事だったら、

不慣れな検査場面で低く出たのかな?
本人のもつ力と発達検査で見いだせる項目の相性が悪いのかな?

といった、その時限りの要因を検討します。

それから、

発達や知能はあまり高くなくても、親の接し方や環境がものすごく本人にいい状態だから能力が押し上げられて、普段はいいパフォーマンスができているのかな?

と、押し上げ要因を検討します。
さらに、

何かでマスキングされているのかな?

と考えます。例えば…

体調不良
めっちゃプレッシャー掛かる何かを吹き込まれている
ものすごく本人にとって精神的負荷のかかる出来事が起きている(家庭内の不和や養育不備、大人の知らないところでいじめられている、大好きな祖父母が亡くなったたばかり等)
統合失調症など、精神的不調の前駆

とかも検討するんですが、何しろ我が子ですからねえ。除外される訳です。
で、併せて基本中の基本の

身体的要因は? 聞こえは?

といったことも除外してしまっていたんですね。
何しろ親は子どもの体質を一番よくわかっているという思い込みがあったので。

代わりに、

そっかあ。
我が子ながら、それなりにエネルギーも高く工作も上手、得心も早いし言葉の力も高いと思っていたけど、素の発達指数は「平均の下」。

周りの期待に合わせてすごーくがんばっているから「できる子」のように見えるだけで、あんまり高みを求めちゃいけないんだなあ。

知らず知らずのうちにプレッシャーをかけていたかな。

そういう、母親の無意識の期待が、娘本人にとっては"常に愛されていない感じ"を刺激して、
やたら母親に執着が強かったり、家族に対してだけ激しく当たり、泣いたり拗ねたりのネガティブな方法でもって要求を通そうとする行動に結びついていたのかな。ごめん。

と思ったのです。

でも不同視弱視がわかった今なら言える。

「お母さん、その子、視力に問題があって、
うまくやれなかったり精神的に脆いところがあるだけですよ!」

こんな感じで、母親として「なんでもっと早く気づいてあげられなかったのだろう」と苦しむ上に、
「専門的知識を持っているはずの私が、違和感を覚えながら解明してあげられなかった!」という後悔が積み重なりました。

同時に、医療・保健・心理の専門職の方に相談してはいましたが、やはり見逃されたという事実も浮かび上がりました。

別にその人たちを責めるつもりはありません。
というか、その人たちが見抜けないくらいの難しい案件だから、自分程度の者がわからないのも仕方がなかったのか…? と思いました。

もしも「うちの子育てにくい」「なんか変」と思っているけど、
上に挙げたような型にはまらないような子がいたら、
一度遠視性不同視弱視を疑ってみてほしいと思います。

短いですが、親としての恥、専門家としての恥をここにさらすことで、
少しでもうまくやれる親子が増えるといいなと思います。



最後に…以下宣伝です

3歳児健診で見つかり、治療を受けることになった経過を描いた絵本を作ってみたり(有料販売しています)、

簡単にできる布アイパッチの型紙を提案したり、


ではまた〜!

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