島に帰るのに10年かかっちゃった王様
タイトル:オデュッセウスの冒険 ギリシア神話の物語・下
キーとなる言葉解説
オデュッセウス:トロイア戦争で活躍した知将の1人。ギリシアの片田舎イタケ島の王様。
イタケ島:オデュッセウスの故郷。オデュッセウスは帰ろうと頑張る。
イスマルスの街:オデュッセウスが最初についた街。勢いで略奪。ジモティから夜襲され撤退。ほぼ戦争を引きずる。
巨人族キュクロプス:某ゲームの某ギカンテス。目が一つの巨人。パパがポセイドン。しつこい酪農家。オデュッセウスは捕えられるも知略を駆使して逃げ出す。
ポセイドン:誰もが知る大神ゼウスの弟。しつこい海の王様。某桃鉄の貧乏神的な感じで、忘れた頃に邪魔しに来る。
魔女のキルケ:今は魔女。元シュメールの神様だったっぽい。神様も人間の勃興で地位が魔女になるという例(wiki情報)。
死の国:霊が好き勝手に駄弁って消えていくハデスさんの領域。
この本の前編にあたる、トロイア戦争の後日談っぽくなるけれど、とっても世知辛い。
[世知辛い内容]
(その1)
オデュッセウスの上司(ギリシア総大将)が、帰った途端に妃&その不倫相手に共謀されて、苦楽を共にした将校共々、瞬殺されてた。
(その2)
英雄アキレウス(アキレス腱が弱点な病み系)は、死者の国が暇すぎて奴隷だった方がマシと愚痴ってきたり。
(その3)
オデュッセウスの母親は、息子の死亡説を儚み亡くなっていたので、死の国で再会。
カリュプソ:海の精霊。パイレーツオブカリビアンのキャラのルーツを知る。9年も主人公を軟禁。しつこい。神々に脅されてオデュッセウスを渋々リリースする。
ナウシカ王女:ルーツを知る。日本人からの認知度激高いナウシカ。彼女は風の谷の城オジを骨抜きにする存在だったけれど、本人はジジ専じゃないと思う。だからこの本のナウシカ王女が、オデュッセウス見てドキマギしたんだろうとか(勝手に)思ってるのは、オジサン(オデュッセウス)の思い違いだと思う。
ペネロペイア:オデュッセウスの嫁。トロイアを滅亡させた傾国の美女(スパルタ王の嫁)の妹。死亡説が囁かれる旦那の帰りを待っている。そして自称婚約者たち(オデュッセウスの後釜になろうとするヤンチャな輩100人)に囲まれて困っている。
テレマコス:オデュッセウスの息子。ティーンエージャーだけどパパの行方を探そうと旅に出る。
アテナ:聖闘士星矢でお馴染みのキャラだが、ここではオデュッセウス推しの女神。事あるごとにオデュッセウスへ助け舟を出す。
本の要点
トロイア戦争後、知将オデュッセウスの帰路が語られる。航海術も発達してない、戦争帰りという略奪&殺人行為に何の呵責も存在しない12隻の船団は、次々と上陸する地で騒動を起こし、逆に巻き込まれ、水夫も仲間も船もどんどん失っていく。魔法と怪獣と魔女と神様が当たり前に存在する世界観で楽しい。
この本は「ギリシア神話の物語 後編」。前編のメインテーマであった、トロイア戦争の後の情勢をちびちび紹介している。
スパルタ王とその妃は、10年に及ぶ嫁逃避行から、意外にも夫婦関係の再構築に成功していたようだ。総大将のお兄ちゃんは愛人に惨殺されちゃったのに、スパルタは平和を取り戻していた。そこへ、オデュッセウスの息子テレマコスが父の安否を確かめに来た。
イタケ島は、君主不在の状態が10年も続いてしまい、テレマコスのママを嫁にして、王になろうとする自称婚約者100名が宮殿に毎日押し入られて大変困っていた。
オデュッセウスは12の船と仲間を失い、神々の助けと邪魔に遭いながらも、イタケ島に単身で辿り着く。しかしやっと戻ってきた実家は、お家騒動の真っ只中。王になろうとする100人の狼藉者たちに、知将オデュッセウスの謀略が炸裂する。
そんな、最後まで気の抜けない展開でした。
ターゲットとしてる人達
歴史好き。
ギリシア神話好き。
ナウシカファン。
ファンタジー好きだけど、歴史のカタい読み物はちょっとねーという方(絵がいっぱい)。
児童書コレクター。
心に刺さった内容
オデュッセウスの冒険譚、オデュッセイア。この物語によって冒険譚を「オデッセイ」と呼ぶのだそうです。「スーパーマリオ オデッセイ」にも繋がるタイトルのルーツとなる物語。
ほとんどのキャラクターたちが違う物語に登場し、すでに知ってるよね感があります。ファンタジー小説のルーツ的な物語の一つでした。前編のトロイア戦争と繋げて読むと、楽しいですね。
読了日:
2021年11月