触れる美術館・博物館 まとめ
最近はハンズ・オンと言って、展示物を直接触れる美術館や博物館、水族館なども増えてきましたね。音声ガイドも普及していますが、視覚障害の方にとって触ることが深い理解につながることは言うまでもありません。
そこで、今回は自由に触れる美術館や博物館を紹介します。
視覚障害者だけでなく、見えている大人も子どもにとっても新たな発見があるはずですよ。
1 ギャラリーTOM(東京都渋谷区)
ギャラリーTOMは、「僕たち盲人にもロダンをみる権利がある」という言葉から生まれた、視覚障害者のための手で見るギャラリーとして誕生しました。
(画像はギャラリーTOMホームページより)
彫刻などに直接触って鑑賞できる美術館です。毎年8月には、全国盲学校生徒作品展「ぼくたちのつくったもの」を開催しているそうです。
(画像は渋谷文化PROJECTより)
2 六甲山の上美術館さわるみゅーじあむ(兵庫県神戸市)
六甲山の上美術館さわるみゅーじあむでは、彫刻・ブロンズ・カメオ・壁画など数百にも及ぶ展示品の全てを触れます。ランチも美味しいみたいですよ。
(画像はMATOMANYより)
点字による作品紹介も充実しているそうです。また立体作品を暗室に展示し、晴眼者にも手の感覚のみで鑑賞してもらう試みもされているそうです。
(画像はムツボシくんの点字の部屋より)
3 国立民族学博物館(大阪府吹田市)
国立民族学博物館(みんぱく)には、全盲の研究者、広瀬浩二郎さんが所属し、早くからさわれる展示の充実に取り組まれてきました。常設のさわれる展示だけでなく、音楽や民族衣装などの体験や貸出サービス「みんパック」もありますよ。
(画像は国立民族学博物館ホームページより)
(画像は大阪ルッチより)
2021年10月には、コロナ禍のために延期になっていたみんぱく(国立民俗学博物館の特別展「ユニバーサルミュージアム さわる!"触"の大博覧会」を体験させていただきました。
4 ふれる博物館(東京都新宿区)
ふれる博物館は、日本点字図書館の附属。レオナルド=ダ=ヴィンチの触れる立体の絵画などが展示されています。掲載画像は触れるモナリザ、目を瞑って触ってみたいです。企画展も続々開催されるようです。
(画像はふれる博物館ホームページより)
(画像は中学受験!知識ゼロから合格へより)
5 手と目でみる教材ライブラリー(東京都新宿区)
国立特別支援教育総合研究所 大内進先生の製作、収集されたイタリア発浮き彫り絵画を触って鑑賞できる「美術館」と、長年収集された触覚教具の「資料室」の2つの機能を備えた施設です。実はふれる博物館にモナリザの立体絵画などを貸し出しているそうです。それ以外にもスカイツリー、東京タワー、エッフェル塔のほぼ同縮尺の模型、東大寺(建物の屋根を外すと中に大仏)や法隆寺などの模型があります。
(画像はYahoo!ブログ 手と目で見る教材ライブラリー「理解につながる伝え方」より)
不定期開催(平日夜か土日)で完全予約制なので事前連絡を忘れずに!
*「手と目でみる教材ライブラリー」所在地•お問い合わせ先
〒169-0051 新宿区西早稲田3-14-2早稲田通りビル3階301(早稲田通り郵便局の入っているビルの3階)
tel : 090-3510-1604(大内)
(絵本サイトビスケット村より)
6 桜井記念 視覚障害者のための手でみる博物館(岩手県盛岡市)
視覚障害者のための手でみる博物館は、全盲の元盲学校教員、故桜井政太郎先生によるもの。剥製や化石、骨、模型、新幹線の車輪など多種多様な収集・製作された展示は、全て触れ、また丁寧な説明も受けることができます。
ゆっくりじっくり触ってもらうために1グループずつの完全予約制で、博物館を利用できるのは視覚障がい者とその家族、関係者のみに限定されているようです。盲学校が修学旅行で訪れることもあります。
(画像はムツボシくんの点字の部屋より)
7 マダム・タッソー東京(東京都港区)
マダム・タッソー東京は、蝋人形館です。レディ=ガガやオバマ大統領、黒柳徹子、吉田茂、王貞治などの人形をさわれます。視覚障害の人は自分以外の人の身体をさわることはあまりないはずですが、ここでは思う存分さわることができるようです。
(画像はムツボシくんの点字の部屋より)
8 生命の星・地球博物館(神奈川県小田原市)
生命の星・地球博物館では、隕石などの岩石、化石、模型、剥製などを触ることができます。点字の解説も付いているそうです。「ユニバーサル・ミュージアムをめざして-視覚障害者と博物館-」という記念論集も大変参考になりました。
(画像はasobii湘南より)
9 ミュージアムパーク茨城県自然博物館(茨城県坂東市)
ミュージアムパーク茨城県自然史博物館は、宇宙の進化、地球の生い立ちなど自然に関する博物館です。隕石を実際に持ち上げたり、タヌキやキツネ、イタチなどの剥製に触ることができます。また企画展でアンモナイトの化石にも触れたそうです。
(画像はRolling stone〜手作り墓石の石屋さんより)
番外 盲目美術館(スペイン マドリード)
スペインのマドリードにある盲目美術館は、盲目や盲目の方が使用する器具の歴史の展示の他に、触ることができる世界遺産のミニチュアが展示されています。
そして、ミニチュアは見える人も見えない人も触れます。目の見える私たちが、盲目の方がどのように触覚から世界を感じているかを体験してもらう、という目的があります。そして入場料は無料です。
盲目美術館
住所:El Museo Tiflológico C/ La Coruña, nº 18. 28020 MADRID
最寄駅:エストレッチョ(Estrecho)駅(1番線)
開館時間:火曜ー金曜 10:00~14:00, 17:00~20:00 土曜日 10:00~14:00
休館日:月曜日、日曜日、祝日
(たびのーとより)
(画像はたびのーとより)
視覚障がいの方のための展示会
触れる美術館以外にも、特別展などでの視覚障がいの方を対象にした企画なども開催されています。
①森美術館の「耳でみるアート」
森美術館では、視覚に障がいがある方を対象とした、スタッフとの対話を通して作品を楽しむツアー、「耳でみるアート」がいろいろな展示会ごとに開催されています。
(画像は森美術館より)
②九州国立美術館 特別展「三国志」
視覚に障害のある方のための特別展「三国志」観覧ツアー” がおこなわれたそうです。立体コピー地図などを使った三国志についての解説、特別展のメインビジュアルにもなっている《関羽像》をはじめとする展示品の解説、弩(ど)、戟(げき)、太刀、鉤鑲(こうじょう)、撒菱(まきびし)の5種類ある武器の実物大模型を触る、金印のレプリカを粘土に実際に押すなどの内容だったそうです。
(画像はARTNEより)
詳細はこちらの記事から。
その他、京都国立近代美術館のように点字・拡大文字パンフレットを配布している美術館もあります。
(画像は感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業より)
また京都国立近代美術館では、代表作品に描かれている内容や、陶芸作品などの形をさわって知っていただける「さわるシート」と、図だけでは表せない作品の色や技法、あるいは制作背景などを記した「文字情報」をまとめた「さわるコレクション」を配布・送付しているそうです。
(画像は感覚をひらく―新たな美術鑑賞プログラム創造推進事業より)
③「眼と指で楽しむ 書の彫刻 ~チーム光栄 with Blind People」
刻字という書道の文字を彫刻で表現したものののグループ展です。書道教室「光栄書道会」で約30年、書道と刻字を指導している池山さんが、刻字作品を触りながら「作品からエネルギーがもらえる」という言葉を掛けられたことをきっかけに、視覚障がい者にも刻字を通して書道芸術を楽しんでもらえるのではないかと模索し、美術や漢字に興味のある全盲の夫婦が協力し、同会の刻字部の有志メンバーと共に同グループ展を企画されたそうです。
(画像は調布経済新聞より)
視覚障がいのある人が作品に触って楽しめるコーナーや触覚で字を書くワークショップも開催されたそうです。
見えない人がナビゲーションになる鑑賞ツアー
茨城県の水戸芸術館では、全盲の方がナビゲーターとなって、見える人と見えない人が一緒に作品をめぐり、対話を通して作品をとらえていく「セッション!」を年2回程度開催されています。面白そうで、聞くだけでなんだかワクワクしてきます。
(画像は水戸芸術館より)
紹介は以上です。
あと僕が体験した触る博物館や美術館の記事を載せておきます。
触れるってワクワクしますよね。別の記事『視覚障害教育からの発信「骨は触っといた方がおトクですよ」』でもお伝えしましたが、目で見るだけじゃもったいない、触ることではじめて気づくことってたくさんあります。お近くに行かれたの際は是非訪れてみてください。
表紙の画像はふれる博物館ホームページより引用しています。
参考にしたサイト
①ムツボシくんの点字教室
https://note.mu/megane_kun/n/n8bd6af66e50b