特別支援学校からの発進「自立活動の項目内容をより詳しく考えてみよう」
別の記事で「自立活動」の概要とイメージについて紹介しました。
今回は自立活動の6区分27項目の内容を深掘りし、具体的な取り組み内容例を紹介していきたいと思います。ちょっと長いですがお付き合いください。
各項目の具体的な取り組み内容の紹介
1 健康の保持
①生活のリズムや生活習慣の形成に関すること
〈生活リズム〉
☑︎1日の内で、睡眠と覚醒のリズムが整っている(起きる時間と寝る時間がほぼ定まっている)。
☑︎十分な睡眠時間を確保できている。
☑︎はっきりと目覚めた状態で授業を受けている。
〈食習慣〉
☑︎異食をしない。
☑︎偏食をせず、なんでも食べることができる。
☑︎食べ物を噛んで食べることができる。
☑︎喉が渇いたら、必要な水分を取ることができる。
☑︎毎日の食事の時間が一定である。
☑︎適切な量の食事を摂取している。
〈排泄習慣〉
☑︎トイレで排泄できる。
☑︎排泄のリズムが整っている。
☑︎尿意、便意を自覚できる。
☑︎排泄後の処理ができる(ペーパーで拭く、水を流すなど)。
〈衣服の着脱・調整〉
☑︎気温の寒暖に応じた衣服の選択や着脱ができる。
☑︎汗をかいたり、汚れたときに衣服を着替える。
☑︎場に応じた服装を選択できる。
☑︎鏡を見て確かめるなど、身だしなみを整えることができる。
〈清潔の保持〉
☑︎選択した清潔な衣類を着用する。
☑︎毎日入浴する。
☑︎1人で頭や身体を洗い、流せる。
☑︎毎朝顔を洗っている。
☑︎寝ぐせに気付き、なおすことができる。
☑︎よだれや鼻水が出たらティッシュなどで拭くことができる。
☑︎手が汚れたら洗おうとする。
☑︎手を石けん(ハンドソープ)で洗い、ハンカチで拭き、アルコール消毒をすることができる。
☑︎マスクを着用できる。
☑︎歯磨きができる。
☑︎うがいができる。
☑︎爪の手入れができる。
〈その他〉
☑︎生理の処理ができる。
☑︎月経の周期を把握している。
②病気の状態の理解と生活管理に関すること
☑︎てんかんや喘息、アレルギーなどの持病を理解している。
☑︎疲れや不調がわかる(発熱、嘔吐、下痢、便秘などの症状がわかる)。
☑︎疲れや不調に合わせて、体を休めることができる。
☑︎かゆいところをかきむしらず、薬を塗ることができる(アトピー性皮膚炎など)。
☑︎病気の仕組みと治療法を理解できる。
☑︎病気の治療法や服薬の意味を理解できる。
☑︎睡眠時間や服薬、検温、適切な食事量、過労やストレス回避など生活習慣を管理して、病気の予防に取り組める。
☑︎自分の基礎体温を把握している。
☑︎服薬管理ができる。
③身体各部の状態の理解と養護に関すること
☑︎けがや体の痛みがわかる。
☑︎自分の身体に関心を持っている。
☑︎けがや体の痛む部位などを、なんらかの方法で周りの大人に伝えることができる。
☑︎保健室で、検温や消毒など簡単な処置を受けることができる。
☑︎けがや体調不良のときに、安静にしていることができる。
☑︎身体の状態を知り、適切な運動が必要であることが分かる。
④障害の特性の理解と生活環境の調整に関すること
☑︎自分の障害特性の理解を理解している(例:物の見方・考え方・感じ方、得意なこと・不得意なこと、好きなこと・嫌いなこと(苦手なこと)など)
☑︎自分のできることや、工夫すればできるようになることを理解している。
☑︎自分から必要な支援や援助、環境調整の依頼ができる
⑤健康状態の維持・改善に関すること。
☑︎体の各部位を動かすことができる(筋肉の曲げ伸ばし、関節を緩める、リラクゼーション)。
☑︎体を動かすことを嫌がらず、屋外で楽しく体を動かすことができる。
☑︎朝の運動や体育などの時間に意欲的に運動に取り組むことができる(肥満防止や体力維持、食欲増進のため適当な運動量が確保できている)。
☑︎栄養バランスや適切な摂取量を意識して食事ができる。
☑︎感染症や病気の予防ができる。
☑︎吸入や吸引、発作時の服薬など医療的ケアの体制が整っている。
☑︎1日の学校生活を元気に過ごすことができる。
2 心理的な安定
①情緒の安定に関すること
☑︎喜怒哀楽の感情それぞれを何らかの方法で表出できる。
☑︎好きな活動があり、一定時間、集中して取り組むことができる。
☑︎初めての活動や過去に失敗したことのある活動に対しても、安定した気持ちで取り組むことができる。
☑︎自分の思いと違うことに対しても、折り合いをつけて応じることができる。
☑︎行動の修正を求められた時に、落ち着いて受け入れることができる。
☑︎自傷行為や他害行為がなく、落ち着いている。
☑︎こだわっている物事(特定の物や常同行動)から離れても、安定した気持ちでいることができる。
☑︎怒りや悲しみ、不安の感情を引きずらないで気持ちを切り替えられるすべがある。
☑︎自分のよさに気づくことができる。
☑︎自分の興奮を鎮める方法を身につけている。
②状況の理解と変化への対応に関すること
☑︎見通しをもって「待つ」ことができる。
☑︎スケジュールを理解し、見通しをもって活動に取り組むことができる。
☑︎日程の変更や活動の順序の変更に対応できる。
☑︎場所や場面、指導者の変更を理解し、落ち着いて取り組むことができる。
☑︎行事など平常時と違う場合でも、落ち着いて適切な行動をとることができる。
☑︎自分の気持ちを鎮める、落ち着ける方法を知っている。
☑︎環境調整や援助の依頼、場を離れることの申し出などができる。
③障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること
☑︎自分のできることやできるようになったことを賞賛されるとうれしいと感じたり、自信をもったりすることができる。
☑︎一人でできないことでも否定的にならず、サポートを受けながら繰り返し取り組むことができる。
☑︎心配、不安なことを大人に伝え、不安感を和らげながら前向きに取り組むことができる。
☑︎怒りや不安、緊張といった感情を自分でコントロールできる。
☑︎自身の障がい特性などを把握し、具体的な対応や支援を考えることができる。
☑︎点字や弱視レンズ、補聴器、PCやタブレット端末などの代替手段を積極的に活用できる。
3 人間関係の形成
①他者とのかかわりの基礎に関すること
☑︎特定の教員からの働きかけを受け入れて行動できる。
☑︎特定の教員以外の教師からの働きかけを受け入れて行動できる。
☑︎大人の注意をひく行動がある(適切な注目行動)。
☑︎身体接触、歌、物などを媒介に人とやりとりができる。
☑︎褒められていることが分かる。
☑︎友だちへの関心がある。
☑︎クラスの友だちと手をつなぐことができる。
☑︎クラスの友だちがわかる。
☑︎教員の合図や指示に合わせて動くことができる。
☑︎相手と同じ物や方向に注意を向けることができる。
☑︎特定の教員と一緒に楽しさや気持ちよさを感じることができる。
☑︎誰とでも楽しさや気持ちよさを感じることができる。
☑︎自分から他者へ何らかの方法で働きかけることができる。
☑︎要求を実現してくれる人へ注意を向け、訴えたり、働きかけたりできる。
②他者の意図や感情の理解に関すること
☑︎快、不快や喜怒哀楽など自分にも他者にも様々な感情があることを理解している。
☑︎相手の表情や気持ちを感じとり、一緒に活動できる。
☑︎相手の表情や態度、語気から相手の感情を推測し、行動を変更できる。
☑︎相手の「やめて」の身振りや言葉で行動を抑制したり、変更したりできる。
③自己の理解と行動の調整に関すること
☑︎自分の好きなこと、嫌いなことが分かる。
☑︎「できます」、「できません」などの返答ができる。
☑︎自分がしてしまった誤った行動をやり直すことができる。
☑︎スケジュールや指示書、手順表にそって行動できる。
☑︎ごほうびや賞賛、成功、「できた」を楽しみにして最後まで行動できる。
☑︎拒否する時に、穏やかに言葉や態度で伝えることができる。
☑︎自分の行動を振り返って表現できる。
☑︎自分の長所や短所(とその対処法)などを説明できる。
④集団への参加の基礎に関すること
☑︎集団の近くにいることができる。
☑︎集団活動に嫌がらずに参加できる。
☑︎集団の中で、周りの人を意識して活動できる。
☑︎友達と協力して活動できる。
☑︎集団活動の場で自分がいるべき場所や、するべきことを理解し、その場にとどまったり、活動したりすることができる。
☑︎集団の中でのマナーやルールを理解し、守ることができる。
☑︎集団の中での自分の役割を理解し、活動できる。
4 環境の把握
①保有する感覚の活用に関すること
☑︎触れ合いや揺れの働きかけを感じて、快・不快の表情をする。
☑︎人から触られても拒まない。また、自分から人に触れることができる。
☑︎自分からいろいろな物に触れ、それらの感触を受け入れることができる。
☑︎遊具などを使った動き(前後・上下・左右の揺れ、回転)の中で、身体の傾き や動きの方向・速さの変化を感じとり、それに応じて身体を使うことができる。
☑︎人や物を注視したり、追視したりできる。
☑︎特定の人の声や自分に関係する音に注意を向けることができる。
②感覚や認知の特性についての理解と対応に関すること
☑︎不快な刺激を受けた時、周りの大人に不快感を訴えたり、表現したりできる。
☑︎不快な刺激があり、それに対して自分で対処するすべがある (例:不快な音に対しイヤーマフをつけたり、その場を離れたりする)。
☑︎苦手な刺激を少しずつ受け入れたり、慣れたりすることができる。
☑︎得意な認知方法を生かして、写真、文字、イラストなどの視覚的な手がかり をもとに物事を理解できる。【視覚優位】
☑︎得意な認知方法を生かして、話を聴くなどの聴覚的な手がかりをもとに物事 を理解できる。【聴覚優位】
☑︎自分の得意な集中や学習の方法を知っている。
③感覚の補助及び代行手段の活用に関すること
☑︎眼鏡や弱視レンズ、補聴器等を活用し、周りの状況を把握することができる。
☑︎自分の集中や作業を補助する補助具やICT機器などの便利な道具があることを知っている。
☑︎タブレット等のICT機器を活用できる。
④感覚を総合的に活用した周囲の状況についての把握と状況に応じた行動に関すること
☑︎身体の各部位を意識でき、自分で触れることができる。
☑︎動作模倣ができる。
☑︎いろいろな場面で、目的や状況に応じて身体を動かすことができる。
☑︎適切な距離感を保つことができる。
☑︎いろいろな姿勢で活動できる。
☑︎コミュニケーションツールやICT機器等の自分にとって便利なツールが分かり、使うことができる。
☑︎色や形、文字の弁別ができる。
⑤認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること
☑︎自分の好きな物を選ぶことができる。
☑︎日常的によく使う物の名前が分かる(例:靴、かばん、水筒など)。
☑︎いろいろな物に触れて事物を弁別できる(例:材質、硬さ、大小、温度、重さなど)。
☑︎いろいろな事物を見て、その違いを弁別できる(例:形、色、大きさなど)。
☑︎音の強弱、リズム、テンポの違いが分かる。
☑︎仲間集め(分類)ができる。
☑︎あるものの属性、性質や関連するものをいくつか挙げることができる。
☑︎自分の物と人の物を区別することができる。
☑︎自分の荷物を所定の場所に片付けることができる。
☑︎自分の好きなものが選べる。
☑︎順番がわかる。
☑︎時間の流れが理解できる(例:1日の時間割の今がいつなのか、カレンダーの中の今日がいつなのかがわかる)
☑︎自分の触る席や並ぶ位置がわかる。
☑︎自分の身体の空間関係が分かる(例:手を前に出す、手を上にあげる、左へジャンプする、一歩後ろへ下がるなど)
☑︎校舎内の位置関係を把握し、1人で移動できる。
☑︎分割された絵や形を構成したり、分解したりできる。
☑︎具体物や絵、形の一部を見て全体をイメージできる。
☑︎物の特徴や種類、用途等で仲間集めをすることができる。
☑︎時間が分かる。順序把握ができる(例:時間の長さの認知、朝昼夜の経過の 認知、曜日や季節の経過の認知、時計・カレンダーの利用)
☑︎直前に見たもしくは聞いた物事を覚えていることができる(例:ある物を見た後で、指示に応じて、同じ物を取るなど)
5 身体の動き
①姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること
☑︎ふらつかずに、その場で立ち続けることができる。
☑︎肘をついたり、体を物に預けたりしないで、座っていることができる。
☑︎さまざまな姿勢で移動できる(例:よつばい、横歩き、後ろ歩き、前跳び、スキップ、ケンケンなど)。
☑︎サーキット運動のように、さまざまな姿勢に変換しながら連続して運動することができる。
☑︎手足や身体を自分で意識的に曲げ伸ばしできる。
☑︎ボディイメージが身に付いている。
☑︎ボールを使って転がす、投げる、捕る、蹴るなどの動きができる。
☑︎両足をそろえて跳ぶことができる。
☑︎三輪車や自転車に乗って、ペダルをこぐことができる。
☑︎身体の緊張を緩めたり、関節の可動域を広げるストレッチングをしたりできる。
☑︎適度な筋緊張を保つことができる。
☑︎力を加減できる。
②姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること
☑︎補装靴を履き、安定して歩くことができる。
☑︎歩行器や車椅子などを使用して移動ができる。
☑︎白杖を使用して歩行や階段昇降などができる。
☑︎補助スプーンや補助食器を使って食事ができる。
☑︎補助椅子や机、立位台を使って、安定した姿勢を保持することができる。
☑︎書面台を使用して読書や書字ができる。
③日常生活に必要な基本動作に関すること
☑︎手に荷物を持ち、落とさず運ぶことができる。
☑︎衣服の着脱動作が身についている。また、着脱した衣服の後始末ができる。
☑︎衣服の細かい着脱動作(ボタンのはめはずし、ファスナー、ホック、ベルト)ができる。
☑︎立って靴の脱ぎ履きができる。
☑︎一連の手洗い動作(蛇口をひねる~ハンカチで手を拭く)が身についている。
☑︎食器を持ち、道具(スプーン、フォーク、箸など)を正しく使って食事できる。
☑︎歯ブラシをきちんと持って、磨く動作ができる
☑︎一連の排せつ動作(ズボンを下ろす~紙で拭く、水を流す)が身についている。
☑︎(男子)立って排せつすることができる。
☑︎筆記用具を持って書字・描画動作(なぐり書き、なぞり書き、視写など)ができる。
④身体の移動能力に関すること
☑︎座位から立位、立位から座位へとスムーズに姿勢を変えることができる。
☑︎つま先歩きやぎこちない動きなどが見られず、安定した歩行ができる。
☑︎足場が不安定な所や遊具、机上での作業や学習ができる姿勢をとることができる。
☑︎自力で歩行できる。
☑︎やや長い距離の歩行ができる。
☑︎坂道や砂利道など、足元が不安定な場所でもバランスを保ちながら歩行できる。
☑︎手すりを使わず、階段の上り下りができる。
☑︎交通ルールを守って校外を移動できる。
☑︎公共交通機関を1人で利用できる。
⑤作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること
☑︎机上での作業や学習ができる姿勢をとることができる。
☑︎一定の時間、持続してごく簡単な作業ができる。
☑︎指示された作業を正確に取り組むことができる。
☑︎速度を意識して作業に取り組むことができる。
☑︎物を握ったり、放したりすることができる。
☑︎指先、手、足などで力の加減ができる。
☑︎両手を協応させて作業できる(左手に持った紙を右手のハサミで切る、左手で押さえたものさしにそって右手で直線が引けるなど)。
☑︎目と手を協応させて作業できる。
☑︎1センチメートル以下の物を指先でつまんで、穴に入れることができる。
☑︎道具を使って手指を動かすことができる(例:ピンセットなどの道具を使って物をつまむ)。
☑︎手指を器用に使える (例:積木を積む、水筒などの蓋を回す、型にはめる・はずす、ひもを通す、ひもを結ぶ、洗濯ばさみで物を挟むなど)。
☑︎片付けや清掃ができる。
☑︎調理ができる。
6 コミュニケーション
①コミュニケーションの基礎的能力に関すること
☑︎周りからのいろいろな刺激に顔や身体を動かす。
☑︎周りからのいろいろな刺激に対して、快・不快の表出ができる。
☑︎話しかけている相手や、相手の示している物を見ることができる。
☑︎指さしや身振り、具体物の提示により求められていることを理解し、それに応じた行動ができる。
☑︎要求があるときに何らかの手段で伝えようとする(例:言葉、コミュニケーションエイド、絵・写真カード、サイン・身振り、指さし、発声、クレーンなど)。
☑︎適切な方法(言葉、身振り、サイン、絵カードなど)で拒否の気持ちを伝えることができる。
☑︎適切な方法(言葉、身振り、サイン、絵カードなど)で支援を求めることができる。
②言語の受容と表出に関すること
☑︎名前を呼ばれると気づいたり、振り向いたり、手を挙げたり、微笑んだりのように反応できる。
☑︎あいさつに応じることができる。
☑︎質問や問いかけに返事ができる。
☑︎簡単な言葉での指示を理解し、それに応じた行動ができる。
☑︎言葉の理解力がある(例:自分の名前、身近の人の名前、身近な具体物の名前、身体部位の名称、動きを表す言葉、状態を表す言葉)。
☑︎禁止や「おしまい」の言葉の意味が分かる。
☑︎自分の意思を指さしで表現することができる。
☑︎人に伝えるために発声することができる。
☑︎要求の選択ができる(例:○と△なら○がいいと選んで伝えられる)
☑︎言葉の模倣ができる(音、単語、文章)。
☑︎言葉で要求を伝えることができる。
☑︎簡単な身ぶりやジェスチャーでのやりとりが理解できる。
☑︎人の話が聞ける。
☑︎複数の指示を理解して行動できる。
☑︎文字を読める(発音できる)。
☑︎指文字の読み取り、表現ができる。
☑︎手話での読み取り、表現ができる。
③言語の形成と活用に関すること
☑︎自分の名前が言える。
☑︎単語を組み合わせて表現できる。
☑︎見聞きしたり、経験したりしたことを正しく説明できる。
☑︎質問をよく聞き、答えることができる。
☑︎助詞や修飾語を理解している。
☑︎文章で表現できる。
☑︎5W1Hの理解、活用ができる。
☑︎自分の考えていることな気持ちを相手にわかるように伝えることができる。
☑︎質問をすることができる。
☑︎冗談やユーモアのある会話ができる。
④コミュニケーション手段の選択と活用に関すること
☑︎身振りやサインで自分の意思を伝えることができる。
☑︎写真や絵カードを活用し、自分の意思を伝えることができる。
☑︎拡大代替コミュニケーション機器(AAC)やタブレット機器を活用し、自分の意思を伝えることができる。
☑︎筆談ができる。
☑︎メールやコミュニケーションアプリを使って通信できる。
⑤状況に応じたコミュニケーションに関すること
☑︎援助依頼、援助要求ができる。
☑︎報告ができる。
☑︎許可を得ることができる。
☑︎丁寧語や敬語が使える。
☑︎友だちや目上の人との会話、会議、電話などの状況に応じて、ふさわしい言葉遣い、音声、声の大きさで話すことができる。
☑︎相手の立場や気持ちなどに応じて、ふさわしい言葉遣いができる。
☑︎自分がわからないことについて、聞き返したり、確認したりすることができる。
障がい種別や本人の特性による取り組み内容の違い
自立活動はもちろん障がい種別や本人の特性など、その子の実態に応じて取り組む内容が変わってきます。
例えば僕が以前働いていた盲学校では、自立活動の時間に弱視レンズ、点字、歩行、PC操作、ADL(日常生活動作)などに取り組んでいました。
弱視の子たちは今ある視機能を生かして、ルーペや単眼鏡、拡大読書器などを使って見る練習をしますし、全盲の子は視覚ではなく触覚を使って点字を指で読む、打つ練習をします。PCの画面を拡大したり、白黒反転させたり、音声で読み上げたり、キーボードで操作したり、点字ディスプレイを接続したりは代替手段を獲得になります。これらは環境の把握に関連する内容です。
白杖を使った歩行には、白杖を使ったテクニックやボディイメージ、空間認知、いざというときに周囲の人へ助けを求めるコミュニケーションなど様々な項目が関連しています。
日常生活で必要な動作、例えば台拭きや衣服をハンガーにかける、ひも結びなどの取り組み方も異なります。今勤務している知的障がいの支援学校では写真カードや手順表、目の前で見本を示すような視覚支援が中心です。一方、盲学校では触覚を活用した方法を練習してきました。
盲学校の自立活動については別の記事でも紹介しています。
また聴覚障がいでは、補聴器の使用や手話、口話が、肢体不自由では歩行器や車椅子などの使用や体位変換やOT(作業療法)/PT(理学療法)訓練のような内容も入ってきます。実際に作業療法士や理学療法士からのアドバイスを受けて取り組む内容もあるそうです。盲学校でも肢体不自由を併せてもつ重複障がいの子を担任したときは、OTやPTの訓練を見学に行き、その訓練の内容を学校の自立活動の時間に取り組みました。
このように視覚障がい、聴覚障がい、肢体不自由、知的障がい、発達障がい、病弱など障がい種別によって課題の内容や取り組む方法が変わってきます。
また同じ障がい種別でも、視覚障がいにおける全盲と弱視の見え方の違いや、知的障がいでの認知の違い、発達障がいでの個々の特性や得意な認知などその子個人の実態よって課題の内容や取り組む方法は大きく変わります。視覚優位の子と聴覚優位の子とでは、本人がわかる伝え方は異なりますよね。
なので、本人の実態を把握し、その子に合った方法を考え、取り組んでいくことが大事なのです。
本人のスキルだけでなく環境や道具の工夫という視点も
「自立」活動という言葉から、1人でなんでもできるようになることが目的と思われるかもしれませんが、そうではありません。
例えば視覚障がいの子がPCやスマホ、タブレットを操作するときには、見えやすいように拡大や白黒反転などの画面表示を変更したり、視覚ではなく音声による読み上げで操作するなどの方法があります。
本人の実態に合わせた環境の調整や道具の工夫(合理的配慮と言われます)も必要です。
合理的配慮についてはまた別の記事で詳しく解説したいと思いますが、子どもたちが自立活動の取り組みの中でいろいろなスキルを身につけていく上で、どうやったらわかるかな、できるかな、負担が少なくなるかなと考えて、やり方や環境、道具を工夫していくという視点も忘れないでください。
学習指導要領解説をぜひ読んでみて
文部科学省による特別支援学校学習指導要領解説「自立活動編(幼稚部・小学部・中学部)」を読んだことはありますか?ネットや書店で販売されていますし、文部科学省のホームページにPDFデータが掲載されています。
この学習指導要領解説では、各項目についての障害種別ごと具体的な内容や各項目ごとの関連などが詳しく解説されています。コミュニケーションについての解説部分を引用します。
かなり詳しく解説されていますよね。新しい学習指導要領にはこのように障がい種別ごとの解説も含めた具体的な内容が紹介されていますし、個別の指導計画の様式例や作成の流れ、作成事例についても掲載されています。
(画像は文部科学省より)
読んたことのない人はぜひ一度目を通してみてください。
また山口県ホームページに掲載されている「障害種別の自立活動内容表」もとても便利ですよ。
(画像は山口県ホームページより)
まとめ
自立活動の各項目の具体的な内容について紹介してみました。各項目の文言だけではなかなか具体的なイメージかわかりにくいかと思い、勤務校での取り組みも参考にしながら具体的な内容を紹介してみました。
もちろん自立活動の各項目はそれぞれ関連していますし、子どもたちの実態によって目標や目指すゴールはそれぞれです。
例えば食事にしても、「道具を使おう(スプーン、フォークや箸の使い方)」から「上手に食べよう(噛み方や口を閉じて食べるなど)」「マナーよく食べよう」「苦手な物も食べられるようになろう」「外食に出かけよう(人の物に手を出さない、メニューから選べる、マナーを守れる、自分で注文し、お金を支払えるなど)」までいろいろな段階があるはずです。その子の年齢によっても目標はわかってくるばずです(特に身辺自立の各段階については別の記事でも紹介しています)。
そんないろいろな段階も参考にしてみてください。生活リズムや心の安定なんて大人の僕にとっても課題になることがたくさんありますし笑
この記事が自立活動の取り組みを進めていく上でのお役に立てば幸いです。
参考にしたサイト
1.特別支援学校 教育要領・学習指導要領解説
自立活動編(幼稚部・小学部・中学部)
4.「自立活動実態把握チェックシート(和歌山県立紀北支援学校)」
7.兵庫県立姫路しらさぎ特別支援学校「自立活動チェックリスト」「自立活動の指導計画作成手順シート」
8.特別支援教育のトビラ「特別支援学級の担任になったら 障害種別の特別支援学級」
表紙の画像はmybestから引用した登山の写真です。自分の脚で山を登るのですが、トレッキングボールや登山靴、登山用の便利なグッズも使ってるよねということで、引用させていただきました。