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教材紹介【国語】『多層指導モデルMIM 読みのアセスメント・指導パッケージ』

『多層指導モデルMIMミム 読みのアセスメント・指導パッケージ』という教材の紹介です。

多層指導モデルMIMとは?

「音読はできるのに意味を理解していない」「読み間違えが多い」「文字を抜かして読んでしまう、書いてしまう」など「学習につまづきのある子」のための「予防的支援」の多層指導モデルで、特殊音に特化した教材です。

MIMは,Multilayer Instruction Modelの略で,多層指導モデルという意味です。

多層指導モデルMIMでは,通常の学級において,異なる学力層の子どものニーズに対応した指導・支援を提供していきます。特に,子どもが学習につまずく前に,また,つまずきが重篤化する前に指導・支援を行うことをめざしています。基本的には以下のような3層構造になっています(図1)。
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図1 通常の学級における多層指導モデルMIM(Multilayer Instruction Model)

1stステージでは,通常の授業の中で,質の高い,科学的根拠に基づいた指導を,全ての子どもに対して実施します。
2ndステージでは,1stステージによる効果的な指導を受けても尚,伸びが十分でない子どもに対し,通常の授業に加え,その他の時間帯等も使いながら補足的な指導を行っていきます。
3rdステージでは,それでも伸びが乏しい子どもに対し,より個に特化した集中的な指導を実施していくものです。
多層指導モデルMIMより)

つまりアセスメントによってクラス内の子どもたちの実態を把握し、必要に応じて全体と個別の指導を行うという流れで進んでいきます。

ではまずアセスメントの内容を紹介します。

アセスメント

MIM-PM(ミム・ピーエム:「めざせ よみめいじん」)というアセスメントでは、特に特殊音節を含む語の正確で素速い読みに焦点を当てた内容を、計2分で実施します。

テスト①では、正しい表記の語を素速く認識できる力をみます。正答以外の選択肢には、形態の類似(例:は-ほ)、濁点・半濁点の有無(例:うさぎ-うさき)、順序の入れ替え(例:りんご-りごん)、音韻の類似(例:だいこん-らいこん)、長音(例:ぼうし-ぼおし)、促音(例:きって-きて-きつて)、拗音(例:いしゃ-いしや-いしゅ)、拗長音(例:きゅうり-きゅり-きゅーり)、注意の問題(例:カニの絵→かめ,いか )などの混乱しやすい要素が入っています。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

テスト②は「3つのことば探し」です。3つの語が縦に続けて書いてあるものを素速く読んで、語を視覚的なまとまりとして素速く認識し、語と語の間を線で区切る課題です(例:「いぬはないちご」→「いぬ|はな|いちご」)。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

テストの最後には、「みんなのこときかせて」という質問に答えることになっています(「問題は難しかったか」「問題は楽しかったか」「この前と比べて得意になったか」「読むことが好きか」「読むことが得意か」)。

MIM-PMの得点と合わせて、こうした子どもの自分自身の読みに関する思いを聞くことは、その後の指導・支援を進めて行く際にも非常に参考になります。

MIM-PMの結果は、クラスレポートや個人レポートとして表されます。これらを基に、個別の配慮や指導の計画を立てていきます。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

アセスメントを定期的に行うことで、指導や支援の効果を確認することができます。

どんな教材なの?

多層指導モデルMIMでは、特殊音節のルールを確認し、子どもたちが理解しやすいよう、視覚的や動作的な指導を行っていきます。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

ここからその教材を紹介していきます。

1.視覚化(特殊音節のルールの明確化)

特殊音節のルールや音のイメージを視覚的に理解できるよう工夫されたカードやデータがあります。

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(画像は多層指導モデルMIMより)


個人的な話ですが、「とおくの おおきな こおりの うえを (ほおずき くわえた こおろぎと) おおくの おおかみが とおずつ とおった」という、長音でオの段を伸ばすときに「王さま」のように「う」ではなく「お」と書く例外を紹介する歌が掲載されていて、点字の学習を思い出しました(ちなみに点字では「おーさま」と表記します)。

2.動作化(特殊音節のルールの明確化)

視覚化と同じように特殊音節のルールを理解できるよう、動作も取り入れています。

例えば、促音なら、「ねこ」と「ねっこ」について、ドットを用いながら,音の特徴を視覚化した後、清音、濁音・半濁音については,手を1度たたき、小さいドットのところは,両手をグーに握り音を出さないようにします。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

リズムに合わせて動作化できるようにし、最終的に、動作と文字とを対応させます。

それ以外にも、長音なら叩いて合わせた手をそのまま下に伸ばす、拗音なら2つの手のひらをねじって1回叩く、拗長音なら2つの手のひらをねじって1回叩き、合わせた手をそのまま下に伸ばすなどの動作があります。

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(画像はGakkenより)

3.ことば絵カード(アセスメントと指導とのリンク)

表面がMIM-PMのテスト①に対応した、3つの選択肢の中から絵に合う語を選択する課題になっています。裏面に正答が含まれた短文を示され、子どもが再度、正答の語を自分で見つけて確認できるようになっています。また、語から文へつなげられるよう、絵の内容を端的に表した、暗唱できるほどの長さの文と言葉の意味が掲載されています。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

4.ちょっとかわったよみかたのかきとりしゅう(スモールステップで着実な表記の習得)

このかきとりしゅうでは、特殊音節の表記の特徴を視覚化した手がかりと、文字、絵とが対応しています。また、子どもの実態に合わせてスモールステップで取り組めるよう、1つの表記に対して4段階のプリントが用意されています。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

5.はやくちことば(日常的に既習内容に触れる機会を豊富に用意)

はやくちことばを作成し,文集を作ったりそれをポスター版にしたりして掲示できるようになっています。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

学習したことを日常の場面と関連づけること、さらには、日常的に触れる機会を増やすことをめざし、身近に手に取れるもの、掲示物等の作成・活用を考えた教材です。

6.ちょっとプリント(指導の多層化を実現)

このプリントも,アセスメントであるMIM-PM(めざせよみめいじん)と連動しています。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

このちょっとプリントは、1枚に掲載されている問題数が少ないことから、隙間時間などで柔軟に活用できます。早く終わってしまった子どもは、余白に、問題作成の意図を理解した上で自分も問題を作成するといった想像(創造)力を働かせる課題に挑むこともできます。

7.多層指導モデルMIMにおける読み書きに関するゲーム集(指導の多層化を実現)

ゲーム性のある課題を通じて、特殊音節等を含むことばの学習が進められるよう、教材などを活用した事例集がついています。

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(画像は多層指導モデルMIMより)

こんな教材があるんです。活用できそうでしょうか?

デジタル版や関連書籍もあります

PCやタブレットで活用でき、動作をアニメーションで見る、個別化されたトレーニングなどもできるデジタル版も販売されています。

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(画像はGakkenより)

MIMについてや活用事例を紹介する書籍も販売されています。

まとめ

特殊音節の読みに焦点をあてた教材の紹介でしたがいかがでしたか?「特殊音節なんてそのうち読めるようになんじゃないの」とお考えの方もいるかもしれません。

特殊音節を理解して、言葉のかたまりを意識すること、「語」を正確に読むことは、「速やかに、滑らかに読むこと(流暢性)」につながります。それは、国語だけでなく、他教科や日常生活でも、会話や説明などで聞いた内容を、本や教科書で読んだ内容を「読み解く力」につながります。

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(画像はGakkenより)

「語」を正確に読むことでつまづき、その先でどんどんしんどくなってしまう子がいるのも事実です。

パッケージ版が19,800円と個人で購入するには少々お高いのですが、学校や施設、事業所などで購入し、CD-ROMの教材プリントをまとめて印刷してしまうと、とっても便利です。

子どもたちの実態に応じた活用事例もあり、視覚的にも動作的にも理解できるおすすめの教材です。

また多層指導モデルMIMのホームページでは、さらなる活用事例の共有や質問などにも対応しています。気になった方は、そちらも是非覗いてみてください。


参考にしたサイト

1.多層指導モデルMIM

2.Gakken「多層指導モデルMIM 読みのアセスメント・指導のパッケージ」



表紙の画像は学研モールより引用しました。