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新自由主義的教育政策の概観②
②小泉内閣
小泉内閣でも「官から民へ」の掛け声のもと、様々な特殊法人が民営化されました。特に郵政民営化を改革の本丸と位置づけていました。
教育行政との関連で言うと「中央から地方へ」の掛け声で行われた「三位一体の改革」の「義務教育費国庫負担」の国庫負担率の引き下げです。この改革により国庫負担率は二分の一から三分の一へ引き下げられました。
「義務教育費国庫負担」とは、各都道府県の義務教育諸学校の教育水準に地域の税収による差が生じないように国庫から負担しようというもので、教職員の給与が対象です。これは日本の公教育の水準に差をつけないために非常に大切な制度です。
国庫負担制度の維持を主張する側は、財源が地方に移譲された上で一般財源化された場合、それまで義務教育費に用いられていた財源がそれ以外の用途に転用される可能性があり、結果的に教育費の縮小を招き、義務教育の地域格差が発生するおそれがあると指摘した。
地方によってその税収は大きく異なります。仮に、義務教育費国庫負担の制度が無かったとして、ある自治体の改革派の知事が「教育にまわせる予算が少ないので、学校の先生のお給料を減らします。」なんて呼びかけたらどうなるでしょうか。力のある先生は他の自治体へ転勤していくでしょう。その自治体の教員採用試験の倍率はどんどん下がっていき、受験すれば誰でも採用してもらえるようになるかもしれません。そんな自治体の教育水準はどんどん低下していきます。つまり、教育のコストカットは簡単なんです。先程の例え話もそうですが、教育水準の低下という理不尽を「子どもに我慢を強いる」という方法で乗り切ればいいんです。これなら簡単に達成できてしまいます。子どもたちは先生の言うことをよく聞きます。そして、子どもたちはどんなに劣悪な学習環境に置かれていても声をあげることができません。子どもたちはいつだって弱者なのです。
だからこそ、国庫負担という制度を廃止してはいけないのです。為政者の考え一つで学習環境が劣悪なものにならないように「制度化」しておくことが大切なのです。それでも、小泉内閣の三位一体の改革によってこの負担金の割合が大きく減ってしまったことを我々は忘れてはいけないし、これ以上、下げられないように監視しておかないといけないのです。