いそがしい人におすすめのいそがしい絵本。

さとうわきこさんのばばばあちゃんシリーズというのがあって、
これはその最初の1冊。

本屋さんで読みたいの持ってきなって言ったら、
次女が選んだのがこのシリーズだった。

『いそがしいよる』ではおばあちゃんが安楽椅子を外に出して
星を見てのんびりするところから始まる。
でも星を見ながらのんびりしてる内に、お茶が飲みたい、とか
お腹が空くかも、とかいろいろ考え始めたら止まらない。
家の中から家財道具を引っ張り出してきて、
最後は雨降ったら困るからってテント張って就寝。
あれ??最初の目的は??っていうお話。

そもそも安楽椅子に座って星を見て過ごすとか
都心に住んでると無意識に諦めているけれど、
そういうのんびりとした贅沢もあるよなぁ、と考えてしまった。
もっとも当初のそう言ったのんびりとした時間の使い方は、
できずに終わるという所がちょいとシュールなお話なのだけど。

小2と4歳の娘どちらも読んでたけど、
なかなか感想が面白い。

夢中になっていると本来の目的を忘れがち、気をつけないと、とか
大人みたいなこと言ってきたり、
テントが透明なら星も見えてよかったんじゃないか、とか。
ばばばあちゃんは一人で運んでるから力持ちだ、という指摘は
確かにって思ったな。
冷蔵庫とか一人で運び出そうという気にならないもんね。

忙しさは自分が生み出しているとも言えて、
のんびりする時間を奪っているのは他ならぬ自分自身だったりする。
ばばばあちゃんはいそがしいと言いながらも
それ自体を楽しんでるから可愛らしいお話になっているけど、
いろんな解釈の成り立つよくできた寓話だよね。
もしばあちゃんがボケてたら、、、とか思うと
途端にホラーっぽくもなるしw

作者のさとうわきこさんは、八ヶ岳で
小さな絵本ミュージアムを運営してるらしい。

ちょうど彼女の研究も見つけたのだけど、これが結構面白い。

信州豊南短期大学は、岡谷市から南に十数キロ下った場所にあり、2013 年
に言語コミュニケーション学科 2 年生のゼミ研究の一環として、さとうわきこ氏にインタビューをお願いしたところ、快くお受けいただけ、以後何度か貴重なお話をうかがうことができた。

作品リスト付きのPDFが公開されているのでぜひご一読を。

ばばばあちゃんなどの作品に繋がるような作家自身の原体験や、
デビューのきっかけが「僕は王様」シリーズの寺村輝夫先生とか、
貴重なエピソードがまとまっている。

引き続きこのシリーズ読んでみたいな。

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