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珍しく、アニーが怒る。古代ギリシャの女性差別に対して。

8巻は「北欧の海賊バイキング」と「古代オリンピックの奇跡」の2本立て。


バイキングによる略奪から本を救いに行くのだけど探している本は「Serpens Magna」と言う本。救うべき書名が明かされているのは初めての展開なので、この本が実在するものなのか気になる。

物語の中にファクトを取り混ぜて展開していくのがこの作品の特徴だから実在する本があるのかな、と思って調べたのだけど、見つからなかった。

Serpensと言うのは英語の蛇(Serpent)の語源になったラテン語で、「Serpens Magna」は大きな蛇、と言うような意味。

北欧の大蛇の伝説のことで、モーガン自身もアイルランドに伝わるサーフという巨大な蛇の伝説だと本の内容を明かしているのだけど、このサーフというのもいまいちよくわからない。バイキングとか北欧の大蛇伝説といえばヨルムンガンドだと思うのだけど。アイルランドの蛇の伝説って聖パトリックが蛇を追い払ったのでアイルランドには蛇がいないっていう伝説くらいしか見つからなかった。

というわけで、実在する書物というよりは、内容を象徴するラテン語を書名としたってだけなのかも、と推測。

「古代オリンピックの奇跡」では古代ギリシャを旅するのだけど、女性には権利が認められていない歴史を描きながらアニーが怒るくだりがある。

「ここでは、女は、学校にも行けないし、物語も書けないし、舞台にも立てない……。こんな国、わたし大っきらい!お兄ちゃん、早く帰りましょ!」
P.110

今、当たり前のことも当たり前ではない時代や国が存在する。
そんな話を娘とするにはもってこいのエピソードだったな。

それと星座の話が出てくるのだけど、現在の88星座の原型は「トレミーの48星座」と呼ばれるプトレマイオスが2世紀にまとめたものと言われている。プトレマイオスなのにトレミーってどゆこと?って感じだけど、プトレマイオスの英語表記がトレミー(Ptolemy)なんだって。だからプトレマイオスの48星座って意味。 もちろんそれまでにも各地で星座は発明されており、それらをまとめて著作として残したのがプトレマイオス、ということなのだけど、その後16世紀まで変更が加えられることはなかったらしい。


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