通訳業はしばらくなくならない職業だと思う
通訳者として仕事をしていると、この仕事はまだしばらく需要がありそうだなと感じることが多い。
実は少し前まで、通訳の仕事は法廷通訳とか医療通訳のように専門的な内容を扱う場合を除いて、近い将来なくなってしまうのだと私自身思っていた。
10年ほど前だろうか、「将来なくなる仕事ランキング」のようなものが発表されたときも、そこに通訳業が含まれていた記憶がある。
だけど今改めて、「通訳という立場」の重要性を実感している。
通訳の現場や求められる内容にもよるけれど、通訳者は、単純に〇〇語から××語に変換しているだけではないことがある。
話者の発した言葉や表現の背景を理解して整理しつつ、適切な言葉に「言い換えて」相手に伝えている、そんなイメージ。だからこそ言語の異なるひと同士の間でコミュニケーションが成り立つし、話がスムーズに進みやすい。
どうしてこれをやっているのか。それは「そのまま訳しただけでは話が成り立たない」からだ。または、一見成り立っていたとしても、話がまとまるまでに何倍も時間がかかったりする。
そういった会話で仕事の決定がなされたり、関係者同士の信頼関係が築かれていくのだから、コミュニケーションに食い違いがあると業務に影響してしまう。
そしてこれは、特定の業界や分野に限った話ではないわけで。
わたし自身を含めて誰でも、話し方に癖が合ったり、ときに歯切れが悪くなったり、誤解されるような表現が口から飛び出してしまったりすると思う。通訳は、話者から投げられるいろいろなボールを、相手に受け取りやすい形にするサポートをすることでいろいろなビジネスを支えているんだと思う。