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自己紹介の代わりに付き合って1週間で振られた話をする
皆さま、はじめまして。芽我 華年(メガ カネン)と申します。文章を書いたり旅に出ることが好きな、普通のサラリーマンです。
この後に趣味とか特技とか、その人のパーソナリティーに関わることを述べるのが一般的なのでしょう。しかし、見ず知らずの人にいきなり自己紹介をされても「へー」と思われるだけだろうと思います。私ならそう思います。
何事も初めが肝心です。気に入った人の投稿がたくさんあるとき、真っ先に見るのがその人が一番始めに書いた投稿です。結構な人がそうなのではないでしょうか。
そう考えたとき、最初の投稿はできる限り面白いものにしたいと思うわけです。では、はて、どのようなものにしようか、と思案すると、やはり恋愛もの、それも失恋の話が最適でしょう。人の不幸は蜜の味、それも他人の失恋はとてつもなく甘い味がするのです。おまけにそれが滑稽な終わり方なら余計に愉快です。
私は3ヶ月にも及ぶ、押したり引いたりのやり取りの末、晴れてお付き合いでき、そして1週間でさっぱり振られました。
なんということでしょう。新連載が決まったと思ったら次の週には打ちきりって、そんなことがあるのでしょうか。
1週間で振られる人はネットを探すとそこそこにいるようですが、それでも友人に話すとそんなのは聞いたこと無い、と言われます。ならば記事にするに値すると思い、筆を取った次第です。
きっかけは、とある年の5月、某マッチングアプリをだらーっとサーチしているとき、妙に惹かれる女性にアプローチしたことです。品がありつつも、目線はどこか物憂げで、ミステリアスな雰囲気の女性でした。
プロフィールを掘り下げていくと、なんと彼女は同人活動をしており、それもなかなかの売れっ子さんだといいます。コミケによく足を運ぶ私は度肝を抜かれました。それに加えてお互いの趣味も大変良く合いました。Electro Swingが好きだなんていう人は私ぐらいだろうと思っていましたが、彼女もよく聞くのだそう。控えめに言って運命だと思いました。
彼女の方からぐいぐいアプローチをしてくれ、チョロい私はすぐにメロメロになってしまいました。惚れまくってることを隠しつつ、毎日のやりとり、電話やビデオ通話などの後、ついに会うことになりました。
売れっ子同人作家さんとデート、なんだかそれ自体が同人誌になりそうな展開に舞い上がりました。お会いしてみると非常に丁寧で、優しい方でした。そして、複数回のデートの後、告白をし、付き合うことになりました。
付き合った日の帰り道の浮かれっぷりったらもう、恥ずかしいほどでした。この1週間後に振られるなんて思ってもいない私は近所の神社に行き、100円玉を賽銭箱に投げ入れ、何度も感謝申し上げました。もしかしたらこの時ケチらないで500円とか1000円とか入れていれば結末は違ったのでしょうか。神のみぞ知る世界です。
付き合って1週間後、レンタカーを借りて九十九里浜まで行くことになりました。彼女が椎名林檎さんが好きだったので、『歌舞伎町の女王』に出てきたよね、とか何とか話しかけるも、テンションが低いのです。話をきくと、昨晩友達としこたま酒を飲んで、二日酔いなんだそうです。その時はそれが原因でテンションが低いのだと思い込んでましたが、彼女は腹の中で「別れる」と覚悟していたようです。つくづくニブイ男です、私は。
海について散々はしゃぎました。今の私が手を伸べて求めるほどに、幸せな時間でした。それはもう、これからサメに襲われるカップルかのようでした。幸せな人を急に恐怖に突き落としてこそ、絶望さは極まるよね。うぷぷ~
さあ帰ろう、となったとき、彼女は真剣な声で私を呼び止め、こう言いました。
「友達からまたやり直してもらうっていうのは、ダメでしょうか」
えっ……えっ……??
うわーーーーーーーーーーーー
まじかーーーーーーーーーーー
丁寧な言葉のオブラートで包まれた、鋭利なナイフが心臓に突き刺さりました。ハンドルを握る手が冷たくなるのを感じました。
彼女はしきりにごめんなさい!と謝りつつ、私を振った理由を話し始めました。
彼女曰く、「フィーリング」だそう。まあ、そう言えばすべて丸く収まるよな、とかひねくれつつ、話を深掘りしていくと、どうやら決定的な欠点があることに気付きました。
「純粋に話がつまらん」
ですよね、という感情に包まれました。というのも彼女は関西出身、かつ理系で、話のおもろい男子たちに囲まれて学生生活を過ごしていたのです。話のおもろいやつがモテる、話にオチのないやつは死ぬ、そんな世界で生きてきた彼女には、私は刺激の無いプランクトンと同じだったのではないでしょうか。
まあ、プランクトンと過ごしてみるのもおもろいかな~と血迷い、やっぱ無理やわ、と思い直したのでしょう。はい、あなたは正しい。
こうして海の藻屑となった私は「友達」という言葉だけを心の光にして、ふらふらと帰路につきました。こういうこと本当にあるんだなと思ったのですが、彼女を見送った後、土砂降りの雨が降ってきました。傘を持っていない私は雨に打たれながら、泣きました。
家に帰って、シャワーを浴びて、寝巻きに着替えると電気も付けずにベッドに横たわりました。寝ようとしても寝れず、取った写真や動画を送り付け、楽しませられなくてごめん、と彼女に謝りました。
すると、
「振られた女に謝るなんて、みっともないです、やめてください」
と叱られました。それ以降、連絡をしても返事は返ってきません。彼女がくれた「友達」という蜘蛛の糸を、こともあろうにぶったぎってしまったのです。目も当てられません。謝ることで同情を欲した為に、全てを失いました。
気の抜けるのを感じました。このままでは廃人になる、そう思った私はリュックに荷物を詰めはじめました。傷心旅行に行くことを決めたのです。
もし、彼女が傷心旅行に行ったのならという目線で書いた小説はコチラ
この話以外にも、過去に起きた辛いことや悩んだことをメインに、色々と書いていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
ヘッダーの写真は九十九里浜の写真です。振られたのは辛いですが、写真は綺麗なんですよね、ずるいです。
それでは、また。