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ガセ大陸の謎 - ①上陸、潜入へ
かつてムー大陸と決死の戦いを繰り広げたガセ大陸は何故滅亡したのかー
大陸発見ブームが世界中を賑わせている今、本誌特別調査チームは
「今世紀最大の負の遺産」(ニューヨーク・チャイムス紙)
「数々の歴史を覆す黄金の大陸」(ロイ多ー通信)
「鬼ヶ島は大陸だった」(朝飯新聞)
「かつて信長が渡航」(週刊男女自身)
と名高いあの有名な無人の大陸、「ガセ大陸」への潜入に成功した。
上陸に際し、いかだの漕ぎ手であるボッタ・クリーヌ氏(72)へ渡航費の8,000ドルを泣く泣く支払った際に受け取ったキャベツの芯を生でかじりながら、熟練の漕ぎ手のスピードに圧倒されたのもつかの間、モーターで動いていた事に気付いた頃、ガセ大陸の船着き場に到着。
船着き場の案内人、アン・シナナイ氏(34)によれば、ボッタ氏は3日前に入った新人で、普段はギャンブルに勤しんでいると言う。実に興味深いエピソードだ。
そもそも無人大陸ではないのかとの疑問を胸にしまいつつ、船着き場を少し歩くと、石造りの朽ち果てた建物が並ぶ、かつて賑わっていたであろう港町らしき一角が。
「織田信長の配下がここで昼食をとったのよ」
通路に落ちていたスナックの看板を物凄い勢いで蹴り飛ばしながら、「配下とは誰ですか?」との質問に何も答えず、アン氏が指をさした先には巨大な城の遺跡が。
「あとは勝手に入って見ていいよ」
スマホでLINEに返信しながら、歩きスマホでアン氏は来た道を戻った。
プロである。
石レンガが重ねられた威厳すら感じさせる城の入り口は草やコケが繁殖しており、ゲームの世界そのもの。漢字で「入口」と書かれているので実に分かりやすく、これなら初心者でも安心して潜入できるだろう。
朽ち果てた隙間から日の光が差し込む神秘的な光景に圧倒されながら、調査チームは石のテーブルに無造作に置かれた一升瓶を横目に、大広間を奥へ進んだ。ガセ大陸第一発見者である江田島拳志郎容疑者(64)の著書、「ありがとう珈琲豆」に記述のある通り、何故かコーヒーの香りが漂うが、調査チームの一人が持参の水筒に入れたコーヒーを飲んでいただけであった為、調査を一旦中断し、三人でコーヒーを楽しむ事に。茶筅でかき混ぜただけあって苦味とまろやかさが同居する豊かな風味に、思わずコーヒーに「ありがとう」と声をかけた。
恐らく、この大広間で大陸の王、ウーン・マンダム卿が策を練ったとみられる。
破損した本棚の一角に何百冊と積み重なった地図や古書、
崩れかけた石像、
そしてピンクの衣装に身を包んだ女性ニュースキャスターの肖像画。
謎は深まるばかりである。
つづく
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