イブラヒム・フェレールの歌声は天使が放っておかなかった
こんにちは、Megです。3回目となる今回のポッドキャストではブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブとそのメンバーの中でも特に大好きなイブラヒム・フェレールとオマーラ・ポルトウォンドのデュエット曲 “Silencio” (シレンシオ)をピックアップしました。
久々に聴いたイブラヒム・フェレールの声。なんてのびやかでエレガントなんだろう!一度は歌に失望してもうレコーディングはしないと1991年に引退したそうですから、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』の録音の話がきたときに彼が再び歌おうと思わなかったらこうして彼の黄金の歌声が私たちの耳に届くこともなかった訳です。
"An angel came and picked me up and said, 'Chico, come and do this record’…I didn't want to do it, because I had given up on music.”(NewYorkTimes.comの記事より引用)
(訳:「天使がやってきて『チコ(男性への呼びかけの言葉)、このレコードをやりなさい』と私を励ましてくれたんだ。私は既に音楽を諦めていたから。」)
天使さん、大手柄!
イブラヒムは幼い頃にお母さんを亡くし、孤児として歌いながら生計を立てていたそうです。生涯音楽に関わっていましたが暮らしは楽ではなく、1996年に再びレコーディングを始めるまでは靴磨きをして収入を得ていたといいます。
さて、1996年にわずか一週間でレコーディングされたアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』は1997年にリリースされ世界中で大ブレーク。それまでは広く知られていなかったキューバの老ミュージシャンたちが作り上げたアルバムがグラミー賞を授賞し、800万枚以上のセールスを記録するとは誰も想像していなかったことでしょう。昨年には25周年として記念版のアルバムも発売になりました。
音楽の世界にカムバックしたイブラヒムは1999年のドキュメンタリー映画でもアルバムの中心的なミュージシャンとして出演しています。そして同年には初のソロ・アルバムが発売され2000年のラテン・グラミーで72歳にしてベスト・ニュー・アーティスト(新人賞)を受賞!
様々なプロジェクトにも参加しています。
2001年にはGorillazの”Latin Simone (Que Pasa Contigo)”
2006年には、ノンプロフィットの”Rhythms del Mundo Cuba”
更に活躍は続きます。2003年に2枚目のソロアルバム”Buenos Hermanos”をリリース。このアルバムがグラミーを受賞し、その授賞式に参加するために入国を試みたものの、2001年の世界貿易センタービル爆破事件から厳しくなっていた関係でビザがおりずに入国できなかったというエピソードも残されています。
今回、イブラヒムの最後のニューヨーク公演が2003年のビーコン・シアターだったと知りました。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの焼津公演を泣く泣く諦めたのに(詳細はポッドキャストにて)、この最後のニューヨーク公演を、ニューヨークに住んでいながら逃すとは…(泣)!
イブラヒムは2005年に78歳でその生涯を閉じました。遂に彼の歌声を生で聴く機会がないまま亡くなってしまったのはとても残念ですが、素敵な歌声をありがとう、Mr. Ibrahim Ferrer。
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