ID:Chaosの感想文 ージミンの話をしたいー
ジミンの話をしたい。
待望のフォトブックが届いた。彼の誕生日に。
おめでとうとおもうと同時に祝福されたのはわたしだとおもう。
彼を知っているわたしはしあわせだからだ。
衝撃的すぎた予告カットがほんとにあまりにも鮮烈すぎて大喜びしたけどあのね
この表紙がほんと
秀逸だとおもう。
Y2Kの流れのサンローランのTシャツ ジーンズ この何気ない格好が とても計算された衣装だということ。
何気なさを装うとダサくなる。
ほんとうに何気なくないとだめだから。
別にすぐどこのとわかるitアイテム着てても似合っててかわいくて真似したくなるかんじなのは彼が何気なく最新流行を着れる人だから。
何年後かに見て ああこれ当時流行ってたよねと思っても別にいい。そのときの時代の象徴だったことがわかるから。
Tシャツに意味やメッセージを持たせたのでは?と勘ぐることはここではどっちでもいい。単なるカラーリングとして デザインの構成としてかわいいなっていうだけでじゅうぶんだから。
とにかくミニマムに時代を纏った彼が非現実的な照明に照らされてそこにいるということ
大きな翼を背にして。
描かれた羽根なんてなくても彼が飛べることをわたしたちは知ってる。
だってこれはポーズじゃなくてダンスだ。
ダンスとは?という質問に 僕の世界と答えたこの人のこの 世界が魅了される動き その一瞬の描き出し
踊っていれば彼は飛べる。
物理的にも飛翔の域だし心はきっと遥か彼方だ 空にも宇宙にも難なく届く。
そういう彼をわたしたちは知っていて、
ID:Chaos と名付けられたこのフォトブックは そんな彼の表紙から始まる。
このタイトルは、なんだろうね。
IDというのはID、身分証、人を識別する証明、の意味かもとおもうし、
イド、フロイトいうところのイド、エス、自我、超自我と並ぶ三つ目の要素、本能的衝動、リビドー、快楽原則に沿って快を求め不快を避ける機能、のこと?とおもったりもした。
けど。
自我、超自我が「葛藤」なので、うーん。と言った感じ。
彼を見ていて、快楽を追いたい気持ちはあるだろうなとおもう。実際そうするかは別として。
だけどたとえば、PTD LAコンサートのBlack Swan。
白鳥だった彼が人間になったけれど、必ずしもそれは彼の本意ではなかったんじゃないかとともだちと話した。
なんかそんなふうな、この世界に馴染めないけどこの世界で生きていかないといけないから、みたいな顔をすることがあるでしょう?
夢から醒めないけどそれは本当は醒めたくないからで、でも醒めなきゃいけないことはわかってる、みたいな顔するでしょう?
意識的に飛ぶことを制御できるんだなとおもう。
飛んで行っちゃうに任せない自我。
誰とも違う歌とダンスができてソロを期待されながら、グループにいる自分を大切に思う彼の心は、自制ではなく覚悟だとおもう。
そんな彼が、セルフプロデュースで写真集を作ります となったときに、突然イドを求めるかな?とおもった。
そこまで振り切ったよ、と言うのならうれしい限り。なすすべもなくただ受け入れたい。
だけどこの場合、IDなんじゃないかとおもった、ふつうに。
識別、身分証明、の方。
が、カオス。
じゅうぶん厄介だよそれも。
ID:Chaos。
混沌であると、それが自分だと言っている。
休みの日はソファの上から動かない、と彼は言う。だからガウンはきっとそれでしょ?オフの怠惰さ。
デカダンス。
そこからキラキラのポップスターに アイドルになるんだ、星の涙を流す。
それから、モノトーンの世界へ。
クラシカルモダンを経て、エナメルとレースアップグローブ。
表現がディープになっていく。
それを全部ひっくるめて僕だよと。
ID:Chaos。
ガウンかあ……。
誘いがすごい。
ここにずっとこうして僕たちいようね。
でしょ?
僕ここにいるよ、どこに行っちゃうの?。止めないけど。
でしょ?
今日も日が暮れるね、さっき起きたばかりなのに。
でしょ?
ふとんの精の役をやったらいい。立ち上がれないほど絡めとられるもう抜け出せない極上のベッドリネン。それに宿る精霊。そこに人を留めて気づかないうちに侵食し、養分として溶かして取り入れて生き続ける精霊。そうして彼は永遠に美しいままそこにいる。
みたいなやつだなこれ。
ちがいます。
壊れて無造作に重なるマネキンもひび割れた翼も、欲しがられたから与えた虚像で今はもう使われなくなったものの残骸。
見向きもせずにただ佇み ただ寝そべる
そんな僕が ただいる。
のを、見せてくれたんだとおもうことにします。
わたしね、表紙もそうなんだけど、このアイドルパートがかなりグッサリきてしまった、意外にも。
だってこの星の涙だよ。なんてことなの。
アクリルの宝石でできた王冠、虚構の王は、それなのにどこまでもポップで色鮮やかで、その甘さで毒と気づかせないままに魅力で君臨して支配するんだ。
だけど滲むアイライン、流す涙さえ星屑で、ああ君は本当に今日もかわいいね。
すごい風刺…自虐だったらどうしようかと。
涙さえ見世物、みたいな。
そこまででは無いにせよ、作られた世界に生きるアイドルとしての悲喜、ではあるのかな。
すごく惹かれる。これやってくれるの、7人の中でジミンしかいない気がして。
光が強いと影も強くなるけど、その影も色彩となるくらい多様な光の中で生きるあなたも、ただその色彩をきれいだと思えていたらいいなとおもう。
どうでもいいけどこのジェルで濡れた目元の肌の生々しさ、性癖。
この質感が彼を虚像のままにせず、生身の人間であると知らしめてくれているので、メイクアップの持つ表現、効果として素晴らしいと思います。
生命にこそエロスは宿り、生命こそ現実ですからね。
この帽子のジミニ、これやってダンディとかじゃなくもういっそマスキュリンになるのすごいね。あまりというかまったく彼を女性的だとおもったことはないし、どれだけたおやかでも性別男(見た目から判断できる性別のことです)だなと思って見てるんだけど、シャツ、ジャケット、スラックス、帽子、昔から男服とされて来たアイテムを着て、なんで女性がわざとそう装うような、マスキュリンな雰囲気になるんだろう。
(マスキュリンてたぶん廃れる言葉、感覚だよね、とおもって普段は極力避けてるけど、ファッションを言い表すにはどうしょもないことあるなあ)(勉強不足かな、精進したいですね)(でも昨日見たシャネルの新コンセプトの記事でもマスキュリンて言ってたからどうだろう、残るのかな)
クラシカルモダン、20年代のモノクロ映画みたいな。なんというかこの人はまた、ファッションの興味や知識とかじゃなくてただ感覚を掴むのが上手いなっていうか、わかります?
これ着てくださいって言われたときに、別にその服がどういう流れのどういう位置付けにある服かとかいうファッション的な意味合いを知らなくても、はい、って着たらもうその役になれる、みたいなところある。シルエットと雰囲気。
そこに自分を合わせることができる。チャンネル変えるみたいに。いや今回は衣装も自分発案多いと思うから余計になんだろうけど。
自分の役割を捉えるのが上手いひとだなとおもう。
普遍性を表した良いパートですね。今後何百年経ってもジミンは素敵。
金継ぎしたヴィーナスはなんなんだろうな。これも普遍性かな。
新たな解釈を得ながら普遍的な美は受け継がれていくものだからね。
さて。
このびったびたのトップスとエナメル、ロンググローブの共演、白着てても黒に見えるダークネス、オタク狂乱の今回のメインイベントです。
割とこういう雰囲気に慣れ親しんだ経歴を持つタイプのオタクなので、あまり過激さなどは感じないんですけど。
そんなわけないよな。センセーショナルだよ。だってこんなの見たことないもん何言ってんの。
でもいちばんセンセーショナルなのはこの表情じゃないだろうか。
無垢な。
そしていっそアンニュイな。
この上なく煽ってくる格好しておきながら、本人アンニュイ。朧気。
もうこのパートだけでじゅうぶんカオス。
わたしはジミニの長い前髪がだいすき。
鹿の角を生やした兎がなんの象徴であるのかはわからない。単なるデザインな気がする。
そんなことより、そんなものなくても、このジミンだけでいいのになと思わせる存在感がすてきだよ。
どってことないの。なんてことないわけ、別にこんな格好してても。
わたし、プレイヤーであるジミンがすごく好きなんですね。
グラミー用のButter練習してるとき、ホソギヒョンがいなくて、いる子たちだけで練習進めなきゃいけなくて、ジミニは誰より踊れるしわかるのに、イニシアチブとれない。それは彼がプレイヤーでプロデューサーじゃないから。プレイヤーはプレイヤーの気持ちがわかるから、自分以外の人がこうしたいと主張すれば、そうだねそれもあるよね、と思ってしまうんだろうな。もともとの人に寄り添えるやさしさも手伝って。
なんかそうやって、人の気持ちをわかりながらも自分の仕事に徹する人というか、自分の役割全うしてる人かっこいいなとおもうんですね。
それって全体が見れてないんじゃなくて、自分がそこで100%がんばることで、やるべきことをやることで、全体が完成することをわかってるからそうしてるんですね。自分の仕事以外をやらないんじゃなくて、自分を全うすることで他を導くんですね。
このパートにそれを感じる。
彼はただ自分がこの衣装を着て写真に写ることで、世界が完成することをわかってる。
Lieという作品がありますが。
あそこにわりとジミンさんの本質があると思っていて。
嘘に囚われてしまった僕を助けてくれと繰り返すあの曲。
嘘というか、不安だったり絶望だったりに囚われて、ただ楽しいままでいられなくなってしまった自分を自覚して、逃げようとしても助けを求めてももう出られないことはわかってる。
それはもうあの時点でわかっていて、なんならもう消化もしてて、更にそこから何年経った?
だから今、その上での彼なわけでしょ。
そんなもの、あるの当たり前で、もうその先にいるんだなとすごくおもう。
もしかしても今もあまり向き合いたくないことなのかもしれなくても、あることはわかっててちゃんと形にした時点で、彼はとても強い。
だから、別にこの格好で煽るでもなくただそこにいるんですねこの人は。
たぶん、隙が生むものがセクシーであることもとっくのとうにわかってるし。
とにかくこの人は表現者なので、魅力でできているので、この写真集は開くまでもなく大成功であることはわかっていたけれど、ページをめくることで魅力が折り重なるのを体感できてすごかった。
プレイヤーである彼が表現したい欲に触れると、痺れる。感電したような衝撃がある。
この一冊は丸ごとそれで、すごくエポックメイキングだ。
見れてよかった。
ジミナ、お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。
とか言いながらもう今日は釜山コンサートの日で、この写真たちを撮ったあなたは何ヶ月も前のあなただから、今日のあなたの方がすごいのはわかってる。
過程を残してくれてありがとう。
このフォトブックのすごさはきっとまた何年後かに意味合いを変えてしみじみとわかるとおもうけど、今の時点でじゅうぶん、これが途中経過であるとわかってるからじゅうぶん、今日でもすごいです。
あなたに出会えてうれしい。
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