1年先なら結婚式はできるのか?という問題
オリンピックがちょうど1年延期になりましたが、日本では日々コロナウィルス感染拡大の報道がなされ、本日(4月16日)は緊急事態宣言が全国に及ぶことになりました。
コロナウィルス関連の記事はこれが最初だったのですが、この時はまだここまでの影響が出るとは想像もできず。
おそらくこれから先も毎年感染症罹患者が出るはずなので、その方たちに見てほしいことではありながら、書いた当時はインフルやノロと同様だろうと考えていたことがタイトルに出ている……。
そして、結婚式をやめようかという動きがどんどん大きくなってきたわけです。
それでも、半年先くらいには平常運転に戻るだろうと思っていました。
今は我慢の時、と。
しかし、日に日に罹患者の人数は増加し、医療の危機も叫ばれて、やっと緊急事態宣言が出たわけです。
東京都の結婚式に関係する自粛要請まとめ
東京都からは「緊急事態措置等」として以下の施策が出されました。
新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等
1.新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等
(1)都民向け:徹底した外出自粛の要請(令和2年4月7日~5月6日)
・新型インフルエンザ等対策特別措置法第45条第1項に基づき、医療機関への通院、食料の買い出し、職場への出勤など、生活の維持に必要な場合を除き、原則として外出しないこと等を要請
(2)事業者向け:施設の使用停止及び催物の開催の停止要請(令和2年4月11日~5月6日)
・特措法第24条第9項に基づき、施設管理者もしくはイベント主催者に対し、施設の使用停止もしくは催物の開催の停止を要請。これに当てはまらない施設についても、特措法によらない施設の使用停止の協力を依頼
・屋内外を問わず、複数の者が参加し、密集状態等が発生する恐れのあるイベント、パーティ等の開催についても、自粛を要請
ー以下略ー
出典:東京都防災ホームページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/007/661/2020041000.pdf
「複数名」が「密集状態等」になる「イベントやパーティ」は自粛を要請する、というお達しです。
東京都の一覧表から、ウェディングに関連する施設をピックアップしてみます。
1 基本的に休止を要請する施設(特措法施行令第11条に該当するもの)
■集会・展示施設
施設の使用停止及び催物の開催の停止を要請(=休業要請)
対象
・多目的ホール
対象外
・神社
・寺院
・教会
■集会・展示施設
【床面積の合計が1,000平方メートル超の施設】施設の使用停止及び催物の開催の停止を要請(=休業要請)
【床面積の合計が1,000平方メートル以下の施設】施設の使用停止及び催物の開催の停止について協力を依頼
対象
・ホテル(集会の用に供する部分に限る。)
・旅館(集会の用に供する部分に限る。)
■商業施設
【床面積の合計が1,000平方メートル超の施設】施設の使用停止及び催物の開催の停止を要請(=休業要請)
【床面積の合計が1,000平方メートル以下の施設】施設の使用停止及び催物の開催の停止について協力を依頼。ただし、100平方メートル以下の施設については、営業を継続する場合にあっては、適切な感染防止対策の徹底を依頼
対象
・写真屋
・フォトスタジオ
3 社会生活を維持するうえで必要な施設
■食事提供施設
適切な感染防止対策の協力を要請、営業時間短縮の協力を要請
※営業時間の短縮については、これまで夜8時以降から朝5時までの間に営業している店舗に対して、朝5時から夜8時までの間の営業を要請し、酒類の提供は夜7時までとすることを要請。(宅配・テークアウトを除く。)
対象外
・飲食店
・料理店
■その他
適切な感染防止対策の協力を要請
※物価統制令の対象となるもの
対象外
・貸衣装屋
・結婚式場(貸衣装含む)
・ブライダルショップ
出典:東京都防災ホームページ(抜粋)
対象施設FAQ(令和2年4月13日19時00分現在)
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html
※対象施設の太字表記は筆者
驚いたのは同じ目的で使用する場所が対象と対象外とに分かれる事態になってしまっていること。
ホテル(宴会場のみ)や多目的ホールは自粛要請対象、結婚式場や飲食店は対象外なんです。
うーん、縦割りだなぁ、いかにもお役所仕事。
いっそのこと、海外のように「結婚式は自粛対象」と言ってくれれば、迷いがなくなるのに。
意外にも、写真屋やフォトスタジオが対象になっていました。
ただし施設の広さによって対象かどうかが分かれます。
「100平方メートル以下の施設については、営業を継続する場合にあっては、適切な感染防止対策の徹底を依頼」するのだそうです。
小さいスタジオでもさすがに100平方メートル以下にはならないのかな。
また、屋外(ロケーションフォト)なら対象外ということになるのでしょうか。
結婚式をしてもいいのか、いけないのか?
日本の法律では「強制」することはできず、あくまでも自粛要請。
(再び戦争に向かわないように、という意図もあるのでしょうね)
この「自粛」というのが曲者で、禁止ではなく開催したからといって罰則もない。
どうするのか、の判断は各企業や個人に委ねられているわけです。
お客様に「今はやめておこう」とお伝えすることもプロとして必要だ、というのが今の私のスタンス。
その理由は、感染以外のいろいろなリスクが伴うからです。
リスクその1.安全が担保しきれないリスク
消毒やソーシャルディスタンスによる感染防止は、目に見えないウィルスが相手である限り完全なものにはなり得ません。
それ以前に、ゲストの制御ができなければ対策の実施もできないのです。
「制御」という言葉は少々乱暴かもしれませんが、敢えて使いますね。
そこに集まる人たちが感染しないように制御しきれるかどうかが、開催の可否のボーダーラインということなんです。
ドラッグストアやスーパーなどでの大人げない振る舞いをする人のことがSNSで大量に流れてきますよね。
これはウェディングの場でも同じこと、大人な方ばかりならスムーズだし、大人げない方ばかりだと制御はとても大変です。
また、ご本人や親御様たちも、親族や友人なら多少強く言えるけど、会社関係(上司はなおさら)には言いにくい、ということもあります。
どんな顔ぶれが集まるのか、それによっても制御しやすいかどうかは全く違います。
私たちはいつも、制御しにくい方がいないか、事前にご本人に確認したり、ご本人のキャラクターから類推したりして当日に備えています。
大人数だと難しくても、少人数ならぐっと制御しやすくなります。
ソーシャルディスタンスを保てる人数のボーダーラインは10名に設定されているようですが、10名という人数は一目で見渡せる限界、大人数と少人数のボーダーとして機能しそうです。
入口で必ず手の消毒をしてもらうとして、10名くらいなら一人のスタッフがそこについていれば全員に行ってもらうことが可能でしょう。
よって人数的には10名以下、家族のみのウェディングなら実施することを考えてもいいのではないかと思います。
リスクその2.結婚式をやって友人をなくすリスク
ご本人の実施したい気持ちはわかるけれど、SNSなどでは出席したくないという声も散見します。
呼ばれる側はどう思うのか?を考えると、無理にやることはおすすめできない。
ウェディング関係の企業が取ったアンケートでは、参加したい人の割合が多いという結果になっているようですが、正直アンケートに回答するのと実際の心情がイコールになるとは思えません。
どちらもモヤモヤを抱えながら実施するより、やらないほうがすっきりするかと。
お祝いごとでお友達をなくすなんて寂しいですもんね。
1年後に施設がなくなっている可能性もある
この春の結婚式のキャンセルや延期で、全国の結婚式場で売上が激減しています。
体力のある施設なら、一定期間クローズにして無収入になったとしても経営を続けていけるでしょうが、そうでない施設は売却、倒産・廃業をせざるを得ない状況になることが予想できます。
それを考えて、これからウェディングの準備を始める方向けにこういう提言をしています。
会場はギリギリまで決めず、それ以外のプランニングを進めていくやり方です。
多くの式場でキャンセル料や延期料を免除したり軽減したりする措置が取られ始めていますが、経営的に余裕がないにも関わらず、自分たちも同じようにやらないとと無理をする式場もあるでしょう。
お客様のためにと頑張ったことで経営難に陥る、そういった事例もたくさん出てくると予想されます。
善意で動く会社ばかりではなく、悪意をもって動く会社もあります。
実は数年前に明らかな計画倒産をした式場があるのですが、そういう経営者は同じ業界で同じことを繰り返します。
そういうところは大概PRや営業が上手で、会社の怪しさとは裏腹にお客様は入ってしまうんですよね。
私のお客様にそういう危うい会社は絶対におすすめしませんが、自分たちで探していると裏事情までは把握できないでしょうし。
また、プランナーをはじめとするスタッフが経営難で解雇になったり、給料が払われないため退職することも起こると思われ、それが大量になれば現場が回らなくなる会社も出てくるはずです。
それ以上にアイテムを扱うパートナー企業のほうが倒産の危険性は高く、そうなれば会場が新たに契約した慣れない会社が担当するということになります。
予約した当初とは条件が大きく異なるような可能性もあるのです。
キャンセル料の大部分は会場予約に関する料金です。
会場予約さえしなければ、キャンセル料は発生しないし、前述のようなスタッフやパートナーの大幅変更の可能性もぐっと減ります。
日程が迫っての予約の場合、日時の選択肢は限られるでしょうが、割引が出されたり、持ち込みなどの条件が緩和される可能性は逆に高くなるというメリットもあるんですよ。
いつ終息するかわからない状況下、通常通りのやり方では心配は回避できません。
とはいえ、結婚式というのはある程度タイミングが大事、ふたりでの人生に踏み出す節目として、やはり今のタイミングで儀式や披露を行いたいですよね。
以前入籍から3年経って結婚式をしたお客様が「多分このタイミングを逃したら、結婚式はあきらめていたと思います。」とおっしゃっていましたから、あまり間を置かないほうがいい。
10名以下の挙式や披露宴、会場はギリギリまで決めないウェディング準備など、非常時に合ったやり方を検討してはいかがでしょう。
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ウェディング ナビゲーター
結婚式の専門家
清水 恩
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せっかくのお祝いごと、精神的にも安定した状態で進めていってほしい。
誰かに話してみるだけでも落ち着けるかもしれませんよ。
リフレッシュもしながら過ごしていきましょうね。
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