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発掘現場と現代アート

先日、見に行ったアーティストの次なる展示が始まったとのことで、またまた展示会場に足を運びました。

今回は静岡市の東静岡駅へ。

ファントム=幻影

『Art@東静岡』は、2013年度から2020年度まで開催された『めぐるりアート静岡』の「東静岡アート&スポーツ/ヒロバ」会場を引き継ぐアートプロジェクトです。広々とした屋外空間では風雨や作品の安全性、夜間のリスクなど様々な課題がありましたが、アーティストたちは困難を乗り越え表現を続けました。

2023年6月に「日の差すおにぎり長い沼」展が終了し、ヒロバの主な展示スペースは失われましたが、「アートの秘密基地」としてコンテナギャラリーが残されています。

その最後の展覧会として、静岡出身の若手アーティスト・堀園実による『Le Fantome/幻影』展が開催され、かつて存在した国鉄/JR貨物駅や近隣の遺跡をテーマに、儚い土粘土で鉄道線路を表現し、フェンスに写真作品を展示しています。

もともとここは芝生広場でさまざまなアート展示やイベントが行われたり、自由に遊ぶことができましたが、土地活用のための発掘調査が行われるとのことで、フェンスに覆われていました。
そのフェンスと道路の間のわずかなスペースがコンテナとともに残されていました。

今回、その残されたコンテナを舞台に最後のアート展示を『エピローグ』として開催。

コンテナの中に広がる世界は、、

線路!


白いものは、全て土粘土で出来ています


焼成前とあります! 同タイトルの絵本ありましたね〜

もともとこの場所には、昭和後期に貨物列車の引き込み線が引かれていたそう。
今でも、道路沿いに東海道本線と東海道新幹線の線路が引かれていますが、もともとはもっと多くの線路が引かれている場所だったのですね。

昭和後期の光景を『幻影』として表現したそう。
幻だから、きっと焼成前の土粘土なんですね。今にも壊れそうな儚さ。
発掘現場の土の上にのっているのも、示唆的です。

迫り来るフェンスにも作品が飾ってありました。

かっこいい写真


どうやら、この発掘現場の出土品の土器のようです。
他にも何枚かの写真が飾ってありました。
静岡市は、登呂遺跡が有名ですが、弥生時代の稲作は広い地域で行われていたのですね。

大昔の土器が出土した場所に、昭和時代は線路が走り、令和の今、幻影という作品になりひととき甦りました。
不思議な時の流れを感じます。

後記

コンテナの壁面は前のアーティストによるイラストレーションが施されていました


広場の隅っこで、表の道路からは全く見えない場所なのですが、ぽつりぽつりとお客さんが途絶えません。
ここがアートの場所だと浸透しているということでしょうか。

将来の土地活用がどうなるのか分かりませんが、(アリーナという話もあるそうです、、)
余白のある文化的な場所になったらいいなと思います。



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