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第234話 戦争は無くならない



『戦争は無くならない。』

 宇宙からの転生のアカシックをすべてひっくり返してみてそう思う。
 シリウスにプレアデス、オリオンから地球。リトが、みぃが、ミツコが辛酸を嘗めた(なめた)灰色の世界。あきらと共に戦い、スサナル先生が私の失敗の回収でさらに手負いとなった世界。それらのどの転生でも、常に戦争は私にとってのアンチテーゼとして存在していた。

 ただ一つ、もし戦争が無くなるとすれば、それはすべての意識体が善と悪との判断をやめて闇から学べるあらゆることを吸収し、『どれだけ自分を傷つけようと試みても、自分とは傷つけることなどできない存在だった』と魂自身が気がつくこと。
 その時初めて大極は……宇宙そのものである自分とはそれ以上を戦争に“求めなくなる”ということだろう。

 誰か儲かる人がいる限りとか、他人軸のそんな浅い話ではない。顕在意識で平和を求める多くの魂たちは、実際には深い部分で“自分というものを知る手段”として現在進行形で戦争から学び続けている。

 ならば『悪者』とレッテルを貼られてしまった戦争意識という存在そのものを、せめて私だけでも愛そう。多くの気づきを与えてくれた戦争を、擁護するでもなく糾弾するでもなくただあるべきものとして愛そう。それが私たった一人だとしても、かつて魂が教えてくれた通り『この世に要らない魂などない。みんな尊い』のだと、大極が存在を赦した意識そのものに、『有っていい、いていい』のだと、その自暴自棄の孤独を愛そう。

……

 資料館を出てからお守りを購める(もとめる)と、黒地に金縁の桜型に、菊と桜の紋の入った干支守りを発見する。
 パッケージを裏返してみると、なぜ私がへび年を選んで生まれたのかが今になり分かって笑ってしまった。

 『巳』(みぃ)と書いてある。
尚且つ蛇とはレプティリアンそのもので、今世、生まれる前から彼らを愛そうと試みた私の魂の決意を感じた。
 嬉しくなって早速付ける場所を探すと、既に二つのチャームが付いている家の鍵を取り出した。

「……こっちのは、もういいかな。」

 そのうちの一つは、婚姻時代の最後数年間の私を支えてくれたバンドのチョーカーを改造し、キーホルダーとして付けていたもの。けーこが喫煙所にいる間にそのメタリックなプレートを取り外していると、スサナル先生の誕生日ナンバーの車が横を通過していく。
 そうして鍵は“奇しくも”明治神宮で買った鈴と、ここ靖國のお守りの二つとなった。
 それからさらに鍵そのものに目がいくと、美和と同じメーカー名がローマ字で刻んであった。

『私』をサプライズさせるのが大好きだろう『私という高次元』のことを、こちらの私も愛さずにはいられなかった。

……

「さくらとあらたを置いてきた。」

 靖國神社の鳥居を出ると、けーこが突然そんなことを言った。

「あの二人とは、今日でお別れだったんだ。知らされてからいきなりだよ?酷くない?いきなりお別れってさぁ……そんなん聞いてないよね。
……あー、あと次は春だから。次はひみの番だからね。」

 えっ嘘、いやだな。

……そうか。次は私のククリさんか……。


 そんな“暴露”にギョッとしつつも、最後までコントのようなけーことあらたさんの掛け合いにはそれでも思わず笑ってしまった。

「鳥居を出たら伝えていいとは言ったけど、それにしても本当に鳥居を出た直後に伝えるとは。いくら何でもひみに言うの早すぎないか。」とは彼の弁。

 七夕の日から賑やかだった彼が直接的な守護から離れると、少しは静かになってしまうのだろうかとけーこを勝手に案じてみた。

 けれどもどこかで納得していた。
“表向き”、明治天皇が主祭神だとされていた明治神宮その場所からけーこのガイドとしてやってきたオオクニヌシが、こうして明治天皇が創建した靖国神社へと帰っていくということ。
 そこには手前に桜、奥には菊が重なっている紋がある。あきらが言った通り、その『刹那』の記号は最終形態。終わりは始まり。つまりまた新たな8の字がスタートしていく。

 さくらさんとあらたさんとに最後に深くお辞儀をすると、ククリがまだ共にいてくれる喜びと同時に“その日”の覚悟を想いながら、地下鉄の乗り場へと向かうために階段を降りた。




written by ひみ

⭐︎⭐︎⭐︎

実話を元にした小説になっています。
ツインレイに出会う前、出会いからサイレント期間、そして統合のその先へ。
ハイパーサイキックと化したひみの私小説(笑)、ぜひお楽しみください。

⭐︎⭐︎⭐︎

ある視点から見れば、地球の光と闇の「闘い」は本当に僅差で、全力で取り組んでも勝敗は際どい状況です。
光も闇も必死で、統合への道が開けるのか、それとも更に分離させて三次元の奴隷を従属させておけるのか、本当に熾烈です。

けど。けど。
オーバーセルフあたりまで行くと、
「やってみなさい。間違ったっていいじゃない。光も闇もどっちもあるのだから、どっちでもいいよ。」って、結果ですら究極的全肯定botです。
(なのである意味具体策の指針とかくれません笑
そのへんのアドバイスが欲しい場合はハイヤーセルフまで降りてきたほうがいいです。)

その人のエゴが分離していれば、その人の世界では分離が反映されるでしょう。
その人のエゴが統合していれば、その人の世界では統合が反映されるでしょう。

戦争という『意識体』は、本当はいつだって四次元という目の前にいます。
それが三次元に反映され、具現化された時。

分離したエゴ主体で何とかしようとしますか?
統合した意識の元で何とかしようとしますか?

高次元が言う、「あなた一人が変われば世界のすべてが変わる」といった意味合いの話を聞いたことがある方は多いと思います。
エゴが分離した状態でなんとかしようとしても上手くいかないのはそういうことです。
自己統合。それに尽きると思いますよ。

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→第235話 予期せぬ協力者

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