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コミュニティとしての飲食業のあり方① (オフラインで繋がる仕組み作り)

コロナ・パンデミックを経験した私たちは、オンラインでのまかなえる世界のあり方に気付いた人は決して少なくないと思います。テレワークやオンライン会議、オンライン教育、デリバリーサービスのあり方などが特に顕著になったと思いますが、逆にオフラインでの結びつきに私たちがどれほど癒されてきたかに気付いた人も、少なくなかったはずです。

私はキプロスでロックダウン生活を今なお続けています。今日で60日目です。先月末までは全ての商店はシャッターを下ろし、スーパーや薬局など生活に必要な最低限の店舗の営業しか許可されていませんでした。今では小売業や建築業などが再開されていますが飲食業はまだ営業していません。ですから日々の食事は全て自炊となります。日本のようにUber Eatsなどのデリバリーサービスが充実しているわけでもなく、まして物価の高いキプロスでこのサービスを常時利用するのは無理があります。だから私はせっせと自炊に励みました。料理人ですから、この状況でどれくらいのものが作れるか根比べだと思うようにしました。…しかし、しかしです。やはり60日間近く自炊ばかりしていたら、たまに外食がしたくなります。作る手間と片付ける邪魔臭さを解消してくれるから…それも大きな要因ですが、私は日常とは違った場所で、「食」を満たし、喜びや発見というような「体験」を求めているのです。コレと似たような経験で私たちは「経験」や「体験」にお金を消費してきたはずです。例えば旅行に行った先でお土産を買うとか、好きなアーティストのライブに行ってグッズを買ったりと言ったようなことです。

日常に必要最低限の買い物ばかりしていると、心が満たされないことを、私はこのキプロスでのロックダウン生活の中で身に染みて感じました。旅のお土産やグッズは、生活にはまるで必要ではないものなのに買ってしまう。それは体験や経験を何かの形に置き換えたかったからなのです。後で振り返るとなんで買ってしまったんだろうと思うようなものも、振り返って再び手に触れたら懐かしい記憶が蘇ってくるでしょう。私たちもこの「体験」と「経験」を求めてくる顧客をもてなすことをビジネスに活かさなければならない。そしてコレを継続、持続することが可能になるようにどうすれば良いのか、真剣に考える必要がある。しかしそれをどうすればよいのか?

「体験」や「経験」が、顧客が得るだけの一方通行のビジネス・サービスにしないようにするために、顧客と店側がつながる必要がある。私は飲食業をコミュニティ・ビジネスとして充実していくことが重要なのではないかと思っています。

次回は具体的に何ができるのかについてお話ししたいと思います。

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辺境料理人
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