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憎しみからの脱出

夢の中で人を殺した。死ぬ夢は何度も見たことがあるが、殺す夢は初めてだと思う。

衝動的ではなく、計画的に殺意を実行した。殺ってやった。被害者は、私が敬愛する役者に誹謗中傷を続けるギャル系モデルだった。

リアルの世界で、私は「hate(憎しみ)」を持たない。「dislike(好きじゃない)」はあるが、憎む前に距離をとる防衛本能が強いのだと思う。

初めて感じるhateは形容しがたく不快だった。全身が緊張で固まり、立ち上ったパワーは全て被害者一点に向かっている。全身全霊、スーパーサイヤ人的な超人力で憎んでいた。細胞を焼き焦がし寿命を縮める、自虐のパワーだ。

被害者は死ななかった。辛うじて生存しているくらいの大怪我を負ったが、1日~2日ニュースになっただけで、何故か私も刑に処されなかった。社会が彼女を抹殺したようだった。

放心しているのに身体の芯の塊が解けない。床に崩れて震えたまま、焦点の合わない伏し目を左右に泳がす。

環境を変えないと憎しみから逃れられないと思った私は、アメリカに住むイギリス人の親戚の家を訪れた。

従姉妹がふかふかのベッドにうつ伏せに横たわり、本を読んでいた。叔母か祖母(ジュディ・デンチ)が「ゆっくりしなさい」と言って出ていった。

柔らかな日差しの入る明るい部屋で、クッションもラグもふかふかだった。居心地の良さに私の力はようやく抜け、誰かが作ってくれたBLTサンドを二切れ食べた。

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三切れ目のサンドイッチを残したまま目が覚めた。食べたかった🥺

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