シンウルトラマンとM八七
最近ウルトラマンファンがM八七の解釈に打ちのめされたといったツイートがバズってたので、「そんなにすごいの?」と興味本意で楽曲を聴いてみたところ、映画の内容も知らないどころかウルトラマンもほとんど観たことないのに、ある歌詞に強烈に惹かれてしまい、その勢いで映画自体に猛烈に興味が湧いて早速観てきました。
観る前の予備知識(?)としては「米津玄師の歌詞が神解釈」「山本耕史が怪しい敵役らしい」とかほぼTwitterで目にした誰かのバズツイ感想しかなく、だいぶお気楽な感じで観てたんですが、ウルトラマンてか特撮映画って面白いんですね。
まず最初の方に出てきた恐竜みたいな怪獣が可愛い。怪獣て体いかついけど目はみんな可愛い。良くみてるとフォルムが動物的だからちょっと親近感湧くし、固そうな皮膚も何でできてるか知りたくなるし興味深かったです。
ウルトラマンVS怪獣たちの戦闘シーンも迫力あって良かったですね。私の中の小5男子が「うおー!!!」と目を輝かせながら喜んでました。
そんな感じで楽しみつつ、私としてはやはりこの映画を観るきっかけとなった米津さんの歌詞「痛みを知る ただ一人であれ」を体感したくて体感したくてめちゃくちゃそこを楽しみにしてました。この一フレーズだけで、ウルトラマンが周りからは万能に見られてても、実はちゃんと痛みを感じながら戦い続けるヒーローであり、しかも周りにそれは悟られないよう孤独に戦う存在であると想像してしまい、ぐっさりと突き刺さってしまったんですよ。端的に言えば、ひとりのヒーローの孤独と苦悩の物語かな、そういう大好き!と勝手に先走り期待してました。
じゃあ実際はどうだったかというと、もちろんそういう描写もありました。でも実際観てみると、そこよりも「君が望むなら それは強く応えてくれるのだ」の部分がとても印象に残りました。この歌詞にリンクしてるなと思うシーンが二つあったからです。
神永は冒頭で子供をかばって死にますよね。で、その死ぬ原因を作ったウルトラマン(リピア)がなぜか神永に成り代わって人類を異星人から守る役目を担うわけです。リピアがなぜ他の異星人と違って人類をそんなに守ってくれようとするのかちょっと分からないんですけど、確実に他の異星人よりは情というものを持った生命体なのかなあと思います。で、そんな彼が子供を助けて亡くなった神永にシンパシーを自分でも意味分からないけど感じて、人間を理解したいと考えはじめ、彼の姿を借りて人間から異星人を守る選択をしたのだとしたら。それは神永の人を救いたいという強い望みに、ウルトラマンが応えてくれた、ということなのではないかと思ったのです。
あともうひとつ、ゼットンの脅威の前にタキくんが完全に心が折れるシーンありますよね。でもそんなタキくんをウルトラマンは信じて、ゼットンの能力を数式にしたデータをタキくんに託します。そこでタキくんはちゃんとやる気になって、世界中のその道の第一人者と協力してゼットンを倒す道をみつけるわけです。これも、ウルトラマンの仲間、ひいては人間への熱い信頼にタキくんが応えたということなのかなあと思いました。
このタキくんのシーンが私は大好きで、「君が望むなら それは強く応えてくれるのだ」になぜか結び付いてしまうんです。誰かの強い想いが、誰かを動かすという意味に感じるのです。冒頭の神永が亡くなるシーンは後付けで解釈したんですけど、でも人間に情を見せない生命体の中で唯一、人間を好きだ理解したい、と考えるリピアならそういう解釈もありかなと思いました。
なんかこのM八七の歌詞って、ウルトラマン全然知らない自分からすると、ウルトラマンの心情を歌っているようにもみえるし、神永とか人間の心情を歌っているようにも見えてしまいます。人間とウルトラマンの境が曖昧で、どちらの気持ちにも寄り添えるような不思議な歌詞だなと思いました。
あと最後の終わり方がめちゃくちゃ気になったというか、あれって色んな解釈できそうですよね。私はリピアが光の星に帰ってなくて、神永と共にいる可能性もワンチャンあるのかしら、などと妄想しております。あと神永だけになってたとしても、ウルトラマンのときの記憶はあるのかなとか。
てか寂しいんですよね。2時間ちょっとの間にどんどんウルトラマン好きになっていって映画館出たら立派なウルトラマン夢女になってました。自分を犠牲にしてまで人類を助けてくれた生命体を愛さずにはいられないですよ。いっぱい本も読んで人間理解しようとして健気すぎます。そこにきてあんなエモ歌詞主題歌流れてきたら、もうそりゃもう、って感じですよ。
しばらくはM八七をエンリピしつつウルトラマンの今後に想いを馳せながら暮らしていくと思います。とても素敵な映画そして主題歌でした。