ラティーノZ世代パワー炸裂 ドミニカン・デー・パレード in NYCレポ 【限定記事】
11日、ドミニカ共和国の伝統と功績を愛でるイベント「ドミニカン・デー・パレード」がニューヨーク、マンハッタンで開催された。途中、大勢の観客らがパレードのルートになだれ込み収拾不能になる“ハプニング”があったが、良くも悪くもZ世代のラティーノたちの熱気とパワーを見せつけたイベントだった。
ドミニカン・デー・パレードは、1863年8月にスペインからの独立を経て主権国家となったことを記念し、毎年8月の第二日曜日に開催される恒例イベント。今年で42回目を数える。
今年のテーマは、「Merengue: Nuestro Ritmo(メレンゲ:私たちのリズム)」。メレンゲとはもともと1870年代頃からカリブを象徴するアフリカ系、スペイン系、カリブ先住民のリズムを融合させた音楽。アメリカで言うブルースのように、地元の貧困層の日常を歌やダンスで少しでも楽しいものにしようと生まれた。そのスピリットは音楽にとどまらず、ドミニカ共和国の文化全体に根付いているという。
パレードでは6番街の37丁目から55丁目までのルートをドミニカ文化を愛する参加者らが練り歩き、沿道を所狭しと埋め尽くした観客たちの大歓声が轟いた。
パレード開始約3時間後には、(推定)数百人規模の若者集団がなだれ込み、進行を妨げるというハプニングが。山車に乗ったラッパーを囲み声援をあげるラティーノの若者たちがごった返した。
現場の筆者は何が起きたのか分からず、ただただ“熱気と混沌の渦”。「これも演出の一部?」と思ったりもしたが、後のメディアの報道によると、46ストリート付近で若者たちがバリケードを越えてルートに乱入したのだとか。
逮捕者が出たとの報道もある。残念ながら若干後味の悪さを残してしまったが、このような公的イベントにラティーノの若い世代が何百人も一斉に集まり、自分たちをアピールしようという熱意には圧倒された。今年の大統領選挙で票を左右する層があるとすれば、おそらく彼らのような層だろうと思った。
大統領選挙を意識したアピールも
パレードではニューヨーク州のキャシー・ホークル知事を始め、地元や連邦の政治家らも参加。特に今年は大統領選挙がすでに大波乱で、移民に支持の厚い民主党陣営もつい先日、ハリス=ワルツ両氏のタッグで正副大統領候補が事実上固まったばかり。それだけに、投票日まで3カ月を切った大統領選挙やそれに伴う連邦・地方議員選を意識したアピールも多かった。
ニューヨークには、全米で最も多くのドミニカ移民が暮らす。彼らを代表するドミニカ系政治家たちももちろん満を持して参加。
ドミニカ移民の両親を持つ現ブルックリン区長のアントニオ・レイノソ氏は、観客らの写真撮影にも気さくに応じ、エネルギーたっぷりに場を盛り上げた。
そしてニューヨーク州第13区選出、アドリアーノ・エスピラット米下院議員。実は自身も子供の頃にドミニカ共和国出身の両親に連れられて入国した移民で、一時期不法滞在扱いだったことがある。移民の内情を実体験として知る者の代表として、ドミニカ移民の連帯を力強く呼びかけた。