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イラストレーターが語る「記憶に残る映画6選」
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公式キャラクターのミグです!
みなさんにも、忘れられない映画はありますか?
時には人生の転機となったり、創作活動のインスピレーション源となったり…そんな"特別な映画"が、誰にでもあるはず。
今回は、MIGの4名に、それぞれの「記憶に残る映画」について聞いてみました。初めて観た時の衝撃から、作品への想い、そして制作者目線での見どころなど、とことん語ってもらいます!
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Powers of Ten
1977年に制作された、チャールズ&レイ・イームズ夫妻の名作短編映画。
タイトルは「10のべき乗」という意味で、1平方メートルの視野からどんどん引いて宇宙まで旅したり、逆にどんどん寄ってミクロの世界に飛び込んで行ったりします。人間の見ている世界がどれだけ小さく宇宙が広大であることを思い知り、そして目に見えない色んなもので構成されぎゅうぎゅうに囲まれているのだと新たな視点に気づかされます。
授業で観たのですが、古そうだし暗いけど何だろう…と思いながら観始め、すぐに引き込まれた記憶があります。知識では知っている宇宙やミクロの世界が、自分の見えている世界とつながっているのだなと実感できました。
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ソウルの春
2023年韓国製作の映画です。
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が昨年12月3日に突如として戒厳令を出し、以降ニュースで騒がれていますが、韓国の政治周りの状況がよくわからない〜と思っていたところ、ジャーナリストの江川紹子さんがこちらの映画を観に行ったとのこと。
調べてみると比較的近くで上映中!子(中学生)にはご飯を準備して、一人で塾に行くように言い聞かせ、翌日就業後いそいそと映画館へ。が、なんと上映開始5分で娘から鬼電…。諸々の対応を経て客席へ戻りましたが、重要な冒頭15分を見逃しました;;…ものの、映画としては、最後まで波乱の展開!難しいかなという懸念は杞憂に終わり、ハラハラドキドキすっかり引き込まれました!
正義は勝つ、となんとなく信じて生きているのが、見事に裏切られる結末…自らの欲望のために邪魔になる人を、あらゆる姑息な根回しと手段で排除していく、そんな人間が結局政権を手にしてしまう。こんなことがあってよいのか、非常に悔しく悲しい気持ちで映画館を出ました。
見逃した冒頭のためにもう一度観たい!韓国の現況にも通じる一本です。
逆転のトライアングル
豪華客船が遭難してサバイバルになるというストーリーなのですが、これまで全く観たことがないタイプの映画です!
ストーリーが少しも読めない。観てる間、何が言いたいのかよくわからない。ただ随所に風刺がたっぷりで飽きない!登場人物もそれぞれ面白い!
映像は綺麗でおしゃれですが、「ある意味」とんでもなく汚いので、人によっては不快な映画かもしれません。ラストがこれまた謎で、え?これで終わり!?と続きが気になってたまりません。
あれこれ続きの想像を巡らせたり、映画のタイトルの意味を考えたり、俳優について調べてしまったり(そこでまた衝撃の事実が出てきます)、観終わった後しばらく取り憑かれます。変な映画が好きな人におすすめ!
2022年スウェーデン・フランス・イギリス・ドイツ合作/第75回カンヌ国際映画祭パルム・ドール賞受賞作品
どうすればよかったか?
MIGの方が社内チャットで紹介していて、気になっていたので観に行ってきました。
こちらはもう、なんというか…言葉に詰まります。
優秀すぎる両親のもと育った、将来有望な姉の精神疾患発症。恐らく途中から、もしくは最初から?両親は統合失調症(発症当時は「分裂病」という名称)と感じていたと思いますが、認めたくなかったのか、受診して正常と言われたこと自体本当だったのか、わかりませんがとにかく何十年も姉は家の中だけの生活を続けます。
正常なコミュニケーションが取れず、突然意味不明なことを叫んだり暴れる姉のことを、弟は心配し恐ろしくもあり、悩み苦しんだでしょう。家を出たのは正しい行動と思いました。年老いた後も、家に鍵をかけ、症状が悪化する姉を家に閉じ込め、それでも受診させることを拒む両親…共に研究者という立場も大いに影響したように感じました。
母に認知症の症状が出たことをきっかけにようやく姉を受診させた後、一気に状態がよくなったのは驚きました。何より本人が幸せそうで、ああ、親だからこそ間違えるのだ、と思いました。家族特に夫婦である場合、共依存となって、相手に責任を押しつけ合うことは、私の身近でもあることでした。もうとにかく『どうすればよかったか?』です。
2025年1月 上映中
(“統合失調症“については、「みえる」シリーズの最新刊、『こころの健康がみえる』にて詳細に解説されていますので、そちらもぜひ。)
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誰も守ってくれない(2009)
すごく有名な作品というわけではないけれど、記憶に残っている作品という点で紹介させていただこうと思います。
犯罪加害者家族の保護について描いた作品です。
「被害者」の家族ではなく、「加害者」の、です。
凶悪事件の犯人逮捕のニュースを耳にするとき、その家族について考えるというのは、あまりしないことではないかと思います。
この作品は、そういう点で新しい視点を与えてくれた作品だったと感じています。
凶悪犯の家族がどのような運命をたどるのか、複雑な気持ちになる作品です。
メインとなるテーマだけでなく、マスコミの報道のあり方や警察組織内の思惑、そして現在も社会問題となっているネットの誹謗中傷やプライバシーの侵害など、観ていて考えさせられることが多いのも印象的です。
何だか暗い気持ちになってきそうな内容ですが、佐藤浩市さんや松田龍平さんの絶妙な演技も見どころで、ちゃんとエンターテインメントとして成り立っているのも気に入っています。
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時計仕掛けのオレンジ
1971年公開のスタンリー・キューブリック監督のSF映画。
映像表現、音楽、バイオレンス、とにかく全てにおいて強烈な印象が残っている映画です。見る人を選ぶ映画なのかもしれませんが、個人的には大好きで何回も観ています。
主人公がやっていることはとても非道で、人によってはものすごく嫌悪感を抱く描写も多々あるのですが、BGMで流れるクラシック音楽やクドくないカット割りの軽快さでなんとも言えない爽快感も内包している不思議な映画だと思っています。めっっっちゃ嫌なやつである主人公が、最後はとても人間的で、なんか可愛く、魅力的に見えてくる。
荒廃した近未来感があるビジュアルも、古くさくなくて今見ても新しさというか新鮮なかんじを受けます。画面全体がレトロモダンなアート作品のよう。とにかく画面全てがかっこいい。
音楽を担当しているウェンディ・カルロスさんの電子音もとても良く、クラシックの名曲を電子音化したサントラや氏のCDは今でもよく聴いています。
主人公が二人の女の子を誘うシーンで「ベートーベンの第九」を流し、その後の“インアウト”(本映画での造語)シーンで「ウィリアム・テル 序曲」を流すキューブリック監督の音楽センスが大好き。
4人それぞれの「記憶に残る映画」、いかがでしたか?
同じ映画でも、観る人によって印象に残るシーンや感じ方は様々。今回の記事が新しい映画に出会うきっかけになれば嬉しいです!
紹介した映画の中には、2025年1月現在で公開中の作品もあります。気になった方は、ぜひ映画館に足を運んでみてくださいね!
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