【母と子】#1 愛を取り戻して
私が子どもの頃は、母と喧嘩をした事はほとんどありませんし、言い合いになったこともほとんどありません。
でも大人になったときに、潜在意識の奥のほうに、母に対するちょっとした怒りみたいなものが眠っているのを発見したことがあります。
愛をもって育ててもらったから、そんな怒りがあるなんてつゆほどにも思わなかったのですが。
私は左頬に大きなシミがあったため、幼少期から人目を気にしたり、嫌な思いをしたりすることが度々ありました。
そして、両親ともに忙しく仕事をしていたため、心配をかけたくないという思いが根底にあってか、両親には自分の気持ちを素直に打ち明けずにいました。
それでも実際は、心細いような、寂しいような気持ちを抱きながら、子ども時代を過ごしていたのだと思います。
大人になってから、自分を深く見直していったときに、抱き止めてもらいたい少年の心の傷が私の奥深くに眠っていたのを理解しました。
それを自分自身で気づいて、癒しきっていくまでは、母親からもらうはずの愛を、別の女性からもらおうとしていたように思います。いや、実際にはそういう意識を無意識のうちに働かせていました。
このことに気づいてから、幼少期の頃の思いを40歳にもなってから母親にぶつけてみました。「あの時はどう思っていたの?」と。
すると母親は、「心の中であなたのことを祈っていたのよ」と言ってくれたのですが、この言葉によって私の少年時代の心は、大きな安心感を得ました。
30年経って、自分が拒否していたかもしれない母親からの愛を取り戻したのです。
このような母との対話を幾度と無くくり返すことにより、取り残されていた子どもの頃の気持ちが整理できたため、私の中にあった他人への依存心はなくなり、心はさらに安定していきました。
実際にそれぞれの家庭の中で同じ状況はないかと思いますが、私のこの体験からお勧めしたいのは、子どもはいい子でいる必要はないということです。
親子間でときには感情をぶつけあってもいいでしょうし、子どもは代わりのいない親からの愛をもらえる時はたくさんもらったほうがいいと思います。
親から愛をもらえない時は、親の代わりとなる人からの愛が、その子の心を支えるかと思います。
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※写真のベースになっているのは群馬県館林の「つつじが岡公園」で撮影したつつじの花です。
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