メジカルビュー社

臨床医学を中心に,医師・医療スタッフの方々向けの単行本や教科書を毎年約90点刊行してい…

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臨床医学を中心に,医師・医療スタッフの方々向けの単行本や教科書を毎年約90点刊行している出版社です。noteでは,オンラインならではの連載記事や編集部の裏ばなし,新刊・好評書籍の紹介をしていきます。 https://www.medicalview.co.jp/

マガジン

  • 人工膝関節~大切なのに誰も教えてくれない基本~

    人工膝関節手術にまつわる器具の使用時のコツや注意点,手技のテクニックなどをご紹介します。

  • 格谷義徳の人工膝関節 そうだったのか

    池上彰氏が言うには ●難しいことを理解して,難しく他人に説明するのはゼロ人前 ●難しいことをきちんと理解して,自分なりに易しく他人に説明するのは半人前 ●聞き手にとって何が難しいことなのかを分析して,相手に伝わる説明ができるようになって初めて一人前であるらしい。 もともとわれわれ整形外科医は何か深遠なことを議論しているようで,実はほとんど何も考えていないに等しいのではないかと疑ってきた。だから“難しいことをきちんと理解しないで,難しく他人に説明する”ことが多い。難解そうな医学用語を使っているだけなので,内容としては“マイナス一人前”と言われてもしようがなかろう。 そこで人工膝関節に関する話題を“一人前”に説明することを目標としたのがこのシリーズである。読者がわからないのは,わかるように説明できない私の力不足なのだから,率直なご意見・ご批判をいただけたら励みになる。

  • 奇想天外!? おもしろ医人ヒストリー

    歴史上の医師が歩んだ生涯,また医師の名前を冠した疾患などについて独自の視点を盛り込んだエッセイです!(第26回までは「整形外科 人物・用語ものがたり」という連載タイトルでしたが,第27回から変更させていただき,他科も含めたおもしろい医人のお話をお届けいたします)

  • Progress 情報社会におけるセラピストのあり方

    何を参考に学ぶべきかわからない,学んだことを実践できない,学んだことを実践してもうまくいかない…。 患者さんのために,より知見や技術を磨きたいと考えている理学療法士・作業療法士の方々にとって,このような悩みは身近なものではないでしょうか。 昨今,リハビリテーションに関する情報は,書籍や論文,学会に加えて,SNSやオンラインセミナー等,多種多様な方法で容易に入手できるようになりました。 一方で,大量の情報から必要なものを選び取らなければならないため,どのように情報を選んで学ぶべきかわからない方も多いと思います。 そこで本企画では,臨床と研究の双方で活躍され,SNSでも積極的に情報発信されているエキスパートの先生方に,自身の経験を踏まえて情報の取捨選択と学びの極意についてインタビューしました。 セラピストとして成長していきたいという想いをもつ皆様の一助となれば幸いです。

  • Behind The Scenes メジカル裏ばなし

    書籍が刊行されるまでには,さまざまな困難があります。 その困難は別名「幸せへの通り道」。 書籍が書店に並んでいる様子を見ると,とても幸せな気持ちになります。 お忙しいドクター,メディカルスタッフの皆様にご執筆いただき,書籍は読者のお役に立てるよう,旅立っていきます。 刊行されてから思い出すと,「あーこんなことあったな」となつかしい思い出ばかり。 ここではその思い出の,苦い体験談やら甘い記憶やらをまとめてご紹介いたします。

最近の記事

【第2回】こうしてみよう! 骨切りに際しての推奨テク3選+番外編

阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 ①ボーンソーの刃厚とスロット幅を意識しよう 刃厚とクリアランス(スロット幅-刃厚)が骨切りの精度と操作性に影響する。刃厚が厚いと骨切り精度は高くなるが,クリアランスが小さくなるので,操作性が悪くなる。そうなると骨切りに力がいるし,スロットと機械的干渉を起こしやすく使いづらい。逆に薄いと反りや遊びが大きくなり,骨切り精度が下がるおそれがあるが,切れ味はよいしスロットと干渉を起こしにくいので使い勝手はよくなる(図1)。個人

    • 第28回 稀代の名医,華佗:もしも長いものに 巻かれていたら医療はもっと進んでいた?

      華佗(かだ)(??〜208年) 数カ月前に大人買いした『薬屋のひとりごと』という小説がある。中国風な国が舞台で,卓越した医療技術をもった伯父のもとで薬学を学んだ主人公の話である。この伯父は医師として技量が高いが運がなく,不遇な人生を歩いているのだが,なんとなく華佗(かだ)と重なるなあと思ってしまった。  華佗は中国後漢末期に活躍した伝説的な医師である。若い頃から勉学にいそしみ経書(けいしょ:儒教の本で「聖人」によって編集されている書籍群を指す。医学書ではない)に親しんでい

      • 【第49回】正直アライメント-1(起承転結):Mechanical Alignment(MA)の5W1H

        阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 先日香川で開催された第3回joint preservation学会(2024/4/19〜20)で,UKAについての講演をする機会があった。きっかけは学会会長である竹内良平先生にnoteの原稿を送りつけて(?)読んでもらったことなのだが, “UKAをやらない者の,UKAをやらない者による,UKAをやらない者のための” 講演があったことには意義があったと思う。私のUKAに対する“思いの丈”を発表する貴重な機会を与えて頂

        • 【第48回】UKAに未来はあるか-おまけ:Lancet論文について

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 本論文が“If 100 patients receiving TKA received UKA Instead, the result would be around one fewer death and three more reoperations in the first 4 years after surgery”という衝撃的な事実をわれわれに知らしめたことは先に紹介した。 ● 100例TKAの代わりにUK

        【第2回】こうしてみよう! 骨切りに際しての推奨テク3選+番外編

        マガジン

        • 人工膝関節~大切なのに誰も教えてくれない基本~
          2本
        • 格谷義徳の人工膝関節 そうだったのか
          49本
        • 奇想天外!? おもしろ医人ヒストリー
          28本
        • Progress 情報社会におけるセラピストのあり方
          21本
        • Behind The Scenes メジカル裏ばなし
          6本
        • からだリセット! 疲労回復ストレッチ&セルフマッサージ講座
          13本

        記事

          第27回 胸部X線写真の巨匠:ベンジャミン・フェルソン

          Benjamin Felson(1913〜1988) 前の職場で長く一緒に働いていた外科の友人から「先生,フェルソン直筆のサイン入りの本をもらってください,父のものなんです」というメールを受け取った。添付されてきた写真は深紅の表紙のハードカバーで『Chest Roentgenology』というタイトルであった。見返しにフェルソンのサインが書かれていて,宛名は「Dear Tohru Ishikawa」であった。これは友人の父の名前ではなく,私が学生・研修医とお世話になった聖マ

          第27回 胸部X線写真の巨匠:ベンジャミン・フェルソン

          【第1回】やってはいけない!骨切りに際してのNG5選

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 ボーンソーは“The soul of a TKA surgeons”ともいうべき器具であるが,その使用上の留意点についてはほとんど語られることがない。そこで,今回はその使用に際してのNG5選をご紹介する。 ①ぎゅっと握る ボーンソーを初めて手にして,無我夢中で動かしたという経験はないだろうか? 初心者の方には(ある程度経験を積んだ術者も含めて),まずゆるゆるグリップを試してみてほしい。手先の感覚が蘇ってボーンソーから

          【第1回】やってはいけない!骨切りに際してのNG5選

          【第47回】UKAに未来はあるか-3:私がなぜ今UKA?

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 これから私がUKAとどう向き合うのか? もう一度やるかどうか? やるとすればどのような戦略をたてるべきか? 正直いえば今でも迷いの最中であり,結論は出ていない。 振り返ればかれこれ20年以上もUKAについたり離れたりしてきた。今回色々調べて,自分なりに考えてみて,ここで一歩踏み出すのならUKA率を20〜30%にキープしていく(最低週1ペース)ことが重要であることは再認識したので,ここは慎重にならざるをえない。 私に

          【第47回】UKAに未来はあるか-3:私がなぜ今UKA?

          【第46回】UKAに未来はあるか-2:私がUKAセールスマンだったら

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 “エスキモーに氷を売る”あるいは“南極でペンギンに氷を売る”という表現は,魅力のない商品を,いかにセールスするかという意味であり,同名の本もあるぐらいだからビジネスの世界では結構有名な言葉らしい。 まず断っておくが,UKAは決して“魅力の無い商品”などではない。それどころか高機能な魅力的な商品である。ただ最大の問題点は再手術率がやや高いことと,手技的に難しく,術者を選ぶことであり,それらについては今まで散々述べてきた

          【第46回】UKAに未来はあるか-2:私がUKAセールスマンだったら

          第26回 脳損傷から病理まで,万能ショパールの一生

          François Chopart(1743〜1795) 足に付いている人名の代表はLisfranc(リスフラン)とChopart(ショパール)だと思う。特にリスフランはすごい。私の後輩がMRI撮影の問診をしていると「私,リスフラン靱帯が切れているんじゃないかと心配なんです」などと患者に普通に言われるくらい浸透している。しかし「私,ショパール関節が痛いんです」は言われたことがない,うーむ,マイナーじゃないのにな。 ショパールはパリ生まれ,パリ育ちである。幼少時から優秀であり

          第26回 脳損傷から病理まで,万能ショパールの一生

          【第45回】UKAに未来はあるか-1:UKAの現状と不都合な真実

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 UKA(Unicompartmental Knee Arthroplasty),特にその広い層への普及については,著者は一貫して批判的,懐疑的である:UKA再考(最高?):5W1Hで整理してみると? その論点を再度まとめると ① 関節温存という観点からは魅力的で,高機能が得られる可能性はあるものの,“患者適応”と“術者適応”が整理して論議されていないことが大きな問題点である ② 患者適応の観点からはAnterom

          【第45回】UKAに未来はあるか-1:UKAの現状と不都合な真実

          第25回 日本の西洋医学を支えたシーボルト

          Philipp Franz Balthasar von Siebold(1796〜1866) シーボルトはドイツのヴュルツブルクの生まれであり,父方は代々の貴族階級の医師の家系であった。父上も産婦人科の教授だったことから,彼も必然的に医師を志すことになる。一方,大学で医学を学びながら植物学や動物学に関心をもち,東洋への興味も募らせていくことに。彼は医師になった後,貴族階級であるプライドから単なる町医者になることに抵抗を覚え,オランダ商館医となり鎖国の日本へ訪れることになる。

          第25回 日本の西洋医学を支えたシーボルト

          第24回 薬にも中毒にもなる!? モルヒネを作り出した薬剤師ゼルチュルナー

          Friedrich Sertürner(1783〜1841) ここのところ,サプリメント服用による腎機能障害や死亡例が報告されている。健康を維持するために飲んでいる人はそれで健康被害が起こるなんてつゆほども思わないだろう。サプリメントを作っている製薬会社も,それで健康被害が発生するなんて予想しないだろうし。かく言う私もサプリメントが大好きだ。ビタミンCなんて酸っぱくて美味しいし,匂いはなんとも言えないがビタミンB群も運動後によく飲んでいる。 薬はいつから作られ出したのか

          第24回 薬にも中毒にもなる!? モルヒネを作り出した薬剤師ゼルチュルナー

          【第44回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-2

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 前稿で取り上げた論文には続編があり,こちらもよく引用される(J Bone Joint Surg Am. 2016; 981-8)。ほぼ同じ母集団を対象としながら,今度はUKAの比率ではなく,“年間手術数:caseload”の影響と言う観点で分析している。ここでよく引用されるのが下図である。 UKA年間症例数はRevision Rate(RR)に大きな影響があり,特に10以下でその影響が顕著で30以上でほぼプラトーにな

          【第44回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-2

          第23回 造影剤−安全を手にするまでのあれこれ:シカールの試み

          Jean-Athanase Sicard(1872〜1929年) この原稿は2024年3月31日に書いており,明日からは新年度が始まる。日大では1年目の研修医に対して,部活の勧誘のように各科の紹介というオリエンテーションが数日にわたって行われる。放射線科の研修は研修医2年目からであるが,少しでも研修に来てほしいのでオリエンテーションにかける思いは強い(勧誘って観点でも)。われらはCT/MRI造影剤の適応と画像が読めると得だぞーということを話す予定である。 造影剤の適応につ

          第23回 造影剤−安全を手にするまでのあれこれ:シカールの試み

          【第43回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-1

          阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長 格谷義徳 UKAのWhy(Whom)& Howすなわち適応と手技については,問題は多々あるにせよ論議の対象にはなってきた。しかしWho,When,Where,つまりどんな術者が,何例TKAしてから,年間何例執刀できる病院でUKAをするべきなのか(することが許されるのか),という術者自身の適性の問題についてはほとんど語られることが無い。 この“術者側の適応”というべき問題はある意味“いってはいけない”領域でもある。理論的に詰めて

          【第43回】UKAのWho,When,Where(術者自身の適性の問題)-1

          第22回 また病気は繰り返される:野口英世と梅毒

          野口英世(1876〜1928年) 近年,梅毒感染者が急増している。コロナ禍が過ぎ,人の交流が増えたからなのか。日本全国軒並み増加,特に九州で多いとのこと。 この梅毒,コロンブスがカリブ海のサンサルバドル島(新大陸)から持ち込んだという説が有力である(1492年に新大陸発見)。1493年にはスペイン,1494年にはイタリアで流行し始めた。当時のヨーロッパでは敵対している国のせいでこの病気が広がったとして,イタリアやイギリスは「フランス病」,フランスは「ナポリ病」,ロシアは「

          第22回 また病気は繰り返される:野口英世と梅毒