【第1回】やってはいけない!骨切りに際してのNG5選
阪和第二泉北病院 阪和人工関節センター 総長
格谷義徳
ボーンソーは“The soul of a TKA surgeons”ともいうべき器具であるが,その使用上の留意点についてはほとんど語られることがない。そこで,今回はその使用に際してのNG5選をご紹介する。
①ぎゅっと握る
ボーンソーを初めて手にして,無我夢中で動かしたという経験はないだろうか? 初心者の方には(ある程度経験を積んだ術者も含めて),まずゆるゆるグリップを試してみてほしい。手先の感覚が蘇ってボーンソーからさまざまなフィードバックを感じることができるだろう。
②横振り動作
構造上,先端部しか切れないので,左右への横振りはNGである。方向転換はピストン運動させながら徐々に行わなければならない(図1)。
③金物に当てる
刃先は非常に鋭利に仕上げられているため,金物に当てるととたんに切れが悪くなる。初心者には“あるある”なのだが,「力を入れる」→「歯が金物と当たって切れなくなる」→「余計に力が入る」→「さらに金物と当たって切れなくなる」という悪循環に陥らないようにしよう。
④スパッと切る
特に脛骨近位端の骨切りに際していえば,スパッと切るのは軟部組織損傷と隣り合わせである。骨皮質をすべて切ろうとすると先端の一角が必ずはみ出ることになる(図2矢印)。そのため,骨皮質を一部残存させても残りをノミで切離したほうが安全である。
⑤ハーフスロットルで使う
筆者はボーンソーを原則パワー全開(フルスロットル)で使うようにしている。できるだけ切れ味の鋭い状態にしておいて,その刃先を繊細に動かすようにしたほうが細かい作業がしやすいからである。これについては個人の好みもあるだろうから各自試してみてほしい。
今回は「やってはいけない!NG5選」をご紹介したが,次回は「こうしてみよう!推奨3選」と題して,ボーンソーを使用した骨切りでのコツについてご紹介する。
(『関節外科2024年 Vol.43 No.10』掲載)
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