はじめて足を踏み入れた新潟の医療課題〜県庁インターンで見えた景色〜(5分)
こんにちは! 医学科3年の渡邊大晟です! 『”いつのまにか”健康に』をビジョンに、日常生活に溶け込んだ医療を作るべく、日々活動してます。
1. 新潟県庁インターンでの学び
今回、新潟県庁の福祉保健部-医師・看護職員確保対策課に配属されました。与えられた課題は『新潟県における初期研修医の確保施策』です。
以下の資料は、私が調べたものとなります。(一部改訂)
医師偏在の現状や医学生が注目している病院選びのポイント、マッチング状況の傾向などを調べ、今の新潟の特徴に合わせた施策を考えました。
課題に取り組む中で、毎日お昼は、部長とお弁当をご一緒して、進捗を共有する時間を設けて頂き、またキャリア相談や現在の悩みなども相談させて頂きました。とても学びの多い時間でした。
また、部長の仕事を近くで見る中で、大変ご多忙な中で複数のプロジェクトを動かすコツも学ばせて頂きました。
また、部長のご尽力で、新潟の医師会長さんのご自宅にホームステイさせて頂いたり、休日はテレビ局に連れ出して頂き報道の舞台裏をのぞいたり、新潟県に本社があるスノーピークさんにお邪魔させて頂いたりと、県庁インターン以外にも、さまざまな経験を積ませて頂きました。
この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。
2. 地方病院のジレンマ
これまで病院経営は保険診療により守られていましたが
今、病院経営はますます難しくなっています。
2025年に、団塊の世代が後期高齢者になるに備えて、国は患者の医療費負担を上げと医療保険点数の引き下げを図っています。
たしかに、都市部ではこれから患者さんが増加していくことが見込まれているので医療費を抑えるために必要な施策なのかもしれません。
しかし今、地方ではすでに患者さんの数はピークアウトしています。
以下の図を見ていただければ、地域により医療需要のピークの時期が大きく異なることが分かると思います。
高齢化のピーク・医療需要総量のピーク
ビジネスの大原則である、客数 ✖︎ 単価 = 売り上げに従えば、地方病院の経営がどれくらい厳しい状況になっていくかわかるのではないでしょうか?
地方病院では患者さんの減少に加えて、医療点数の減少するということは…
客数 ↓ ✖︎ 単価 ↓ = 売り上げ ↓↓
このような状態で、病院が生き残るにはどのようにすればよいのでしょう。
現状の解決策としては、経営の健全化はもちろんながら、
投資先の選択と集中が求められます。つまりは、診療科の選別です。
救命救急
高度医療
総合診療
救急、高度医療、総合診療のうち、3つをすべて行えば病院は潰れると言われるほどで、機能集約は急務となっています。(300床以下の病院は、10診療科に絞るというのがセオリーだと囁かれたり、なかったり…)
一部の病院では、統廃合の選択も迫られています。
しかし、ここにもまた問題が潜んでいるのです。
3. 「医療」と「政治」の関係
医療と政治と聞いても、昔の僕は全然ピンときませんでしたが、実は、深い繋がりがあるんです。
皆さんは"魅力的なまち"と聞いて、何を浮かべますでしょうか?
保育園があって、学校があって、スーパーがあって…
都市からのアクセスなど、移動の利便性も大切ですね。
そして、病院があることも安心して過ごせるまちに不可欠な要素のひとつなんです。
病院の設立は、その地域に住む市民からの人気を高め、地域外から移住してくる人を促進し、街の魅力を向上させます。
なんと、市長選において「病院を建てれば当選確実、病院を潰せば市長交代」と言われるほど、病院は政治と切り離せない関係にあります。
だからこそ、行政が機能集約化のために病院の統廃合の思惑があっても、市長との合意形成ができず、なかなか話が進まないこともよくあるそうです。
また、国立病院や県立病院に至っては赤字体質であっても潰れないように、地方交付金により、病院事業をなんとか継続させているのが現状です。
投入されている税金は約〇〇億円。
たしかに地域から病院が無くなると安心した暮らしができなくなるから税金を投下するのは理解できるものの、だからと言って赤字体質を許されてもいいと言うことにはならないのです。
〇〇億円というお金があれば、本来は地方創生や子育て事業など別の領域に多額の投資ができるはずなので、病院経営の立て直しは医療と行政が手を取り合って二人三脚で進めるプロジェクトだと思います。
行政の医療経営改善の施策
今のままでは、これから地方の病院は不採算事業になっていくのは仕方がない事実なのかもしれない。その対策として、行政から公費を投入し定額の助成金の中でやりくりしていくようになっていくのかもしれないですね。
4. 行政の言葉が市民のもとに届くまで
以前、厚労省でインターンをさせて頂いてましたが、私はその経験を踏まえながら新潟県庁に臨みました。改めて、行政といっても〇〇省と県庁と市町村では明確な役割分担があるように感じました。
そして、ここでは特に『情報伝達』についてお話しできればと思います。
以前の厚労省インターンの記事はこちら👇
厚労省では、あらゆるデータを元に今後の5年10年先の未来を予測してガイドラインを作成します。それらを、各都道府県に通達し方向性を示します。
都道府県では、ガイドラインに基づいて、人口グラフや地域性を加味して独自の施策に落とし込んでいきます。(北海道、東京、沖縄、では全く状況は異なるでしょう。)
市町村は、都道府県と連携をとりながら、市民の声を中心により適した施策に落とし込んでいきます。
情報の流れ
行政が示すガイドラインをもとに、専門家が集まり議論し、知事に議論の結果を共有し合意を得て、その上で公の場で有識者会議が開催されます。
その後、各記者陣の前で知事が都道府県としての方向性を発表します。
知事が会見で発した言葉の内容は、記者により文字起こしが行われ、重要な箇所は抜粋される。太文字や赤字で強調された"加工物"として、記事となったり、テレビで報道されていく。
テレビ局でトークする司会者は、その記事や報道についてお呼びした有識者に意見を求め、専門家と市民の方の認識をすり合わせていく。
こうして、情報は市民のもとに届けられていた。
5. 魅力あふれる新潟県
新潟の魅力について、最後少し話したいと思います!
1. まずは食について
さすがコシヒカリの生みの地、お米がおいしい!もちろん、日本酒も絶品です!日本酒好きにはたまらない美味しいお酒の種類があります。ぽんしゅ館では、ワンコインで色々と日本酒を飲み比べすることも出来るようになっております!また、日本海側で獲れた魚介類も最高でした。
ご飯が美味しくお酒も進むあまり、2週間で3kgは太りました笑
その後、ダイエットが大変でした。食べ過ぎには要注意です!
2. 村上市の鮭文化
「鮭のまち村上」は、新潟県村上市の城下町で、1000年続く鮭文化がいまも残されています。その歴史は古く、文献によれば、平安時代に京の都みやこの朝廷に鮭を租税として納められていたとされます。
村上の塩引き鮭は、腹切らずで首吊らず
村上が城下町ゆえ「鮭に切腹をさせてはならない」という思いから、内臓を出すときに腹をすべて開かず中心で止めるている。また、干す際も決して首吊りにはしない。鮭の身も皮も骨も内臓も、すべてを料理に生かし切る。そのため村上に伝わる鮭料理は100を超えるそうだ。村上の人は、歴史の中で何度も川に戻る鮭に助けられてきた。鮭に特別な思いをもち、鮭への感謝の気持ちから生まれた食文化が今でも残る素敵な地でした。
3. さまざまな歴史
まず、新潟県は人口222万人を超える大都市のひとつです。
その背景には、様々な歴史がありました。
新潟といえば…「日本列島改造論」で戦後の日本をリードした田中角栄の出身地です。有名な話、本当に東京・目白の邸宅から3回曲がれば田中角栄の生家に着きます笑
その影響から、新潟では関越道や上越新幹線、北陸道が建設されており、東京/大阪までのアクセスが良い土地です。
そして、ロシアと北朝鮮と地理的に近いことから、実は国際的な交流が深い土地でもあります。そのため、新潟大学ではロシアとの交換留学なども盛んです。今となっては見れない光景となりましたが、北朝鮮から万景峰号という船に入港し、母国への献上品などを新潟で仕入れていたみたいです。
など…知らない歴史を垣間見て非常に興味深い土地でもありました。
厚労省のインターンを経て、行政の委託事業に関わり、さらに県庁でのインターンに臨むことで、国という大きな組織がどのように市民にまで、声を届け、サービスを届けているのか少し理解できた気がしました。
また、これに合わせて皆さまの気になる話なども整理して公開していきたいと思いますので、こんな情報が知りたい!など、お気軽にコメント下さい。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!!
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