【📰文系×医療🩺】疲れがとれないだけじゃない?睡眠時無呼吸症候群(SAS)
今回は睡眠時無呼吸症候群(OSAS)について学んでいきます。
最近、メディアでも取り上げられることも多くなり名前は浸透してきているのですが、詳しくはわからないけど、なんとなく怖いイメージがある病気なのではないでしょうか?
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睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりして体の低酸素状態が発生する病気です。
成人男性の約3~7%、女性の約2~5%にみられます。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加します。
SASには、上気道が狭くなる閉塞性(OSAS)と、脳の呼吸コントロールがうまくいかない中枢性(CSAS)があります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea Syndrome:OSAS)は、空気の通り道である上気道が狭くなることで、空気を吸い込みにくくなることにより生じます。
首まわりの脂肪が多い場合、発症することがあります。また、肥満以外でじゃ、扁桃肥大、舌が大きいことや、鼻炎・鼻中隔弯曲といった鼻の病気も原因になります。
OSASの特徴としては、呼吸再開時に、大きないびきを伴うことです。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea Syndrome:CSAS)は、上気道は正常なのですが、脳の中枢神経系による呼吸命令に異常がおき、呼吸が途中で止まってしまう病気です。
CSASの原因としては、心臓が血液を送る機能が低下する心不全があります。心不全より、脳へ血中の二酸化炭素濃度が正しく伝わらないことで、中枢神経の呼吸命令が障害を起こしてしまいます。
また、腎不全や脳の病気なども原因となります。このような病気以外にも、少し寝ては起きるということを繰り返し、睡眠のリズムが崩れることにより、中枢神経の呼吸命令が不安定になることもあります。
SASの症状
いびき
いびきは、狭くなった喉を空気が通過する際に、喉が振動する音です。一晩中いびきをかいていたり、止まった呼吸が再開した際に大きないびきをかく場合は、OSASが疑われます。
睡眠不足
SASでは、無呼吸の状態から一気に空気を吸い込むとき本人が無意識のうちに脳が覚醒します。これにより十分な睡眠時間だと思っていても睡眠が浅くなり、日中に眠くなってしまいます。また、夜に目が覚めることも多くなり、夜間頻尿にもなります。
重篤な合併症リスク
高血圧
呼吸は酸素を取り込むために行われます。そのため、無呼吸の間は酸素を取り込むことができず、血中の酸素が少なくなります。これにより、酸素を送るために交感神経が刺激されます。また、空気を大きく吸い込む際の覚醒も交感神経の刺激になります。そのため、本来副交感神経が働いている睡眠時まで交感神経が働き、心拍数の増加、高血圧が起き、不整脈などを誘発します。
心血管疾患
また、低酸素になり、呼吸再開後に酸素が一気に送られるという状態を繰り返すと、血管の酸化ストレス(組織を傷つける活性酸素が多い状態)につながります。その結果、血管内皮障害になり、狭心症、心筋梗塞といった心血管疾患につながります。
脳血管疾患
これらの高血圧や動脈硬化が、やがて脳の血管にも悪影響を及ぼし、脳梗塞などの脳血管疾患を合併することもあります。
心不全
また、無呼吸中に脈が遅くなり、呼吸再開により脈が急激に早くなることを繰り返すと、心拍リズムが乱れ、不整脈や心房細動を合併します。そして、最終的には心不全に陥るリスクもあります。
SASの治療
OSASの治療は、生活習慣に関する指導と、内科的治療、外科的治療、歯科装具に分けることができます。
生活改善
軽症の場合は、生活習慣の改善が主となります。
減量
まずは、肥満による上気道閉塞が起きている場合は、減量の指導を行います。
睡眠姿勢
睡眠時に仰向けになっていると重力により、舌の根っこが沈みやすい(舌根沈下)ので、横向きになることが望ましいです。
飲酒制限
飲酒は上気道の筋力を低下させるため、就寝前の飲酒は制限します。
禁煙
喫煙は気管や肺を傷つけ、血中酸素濃度を低下させるため、OSASを悪化させます。
内科的治療
CPAP療法
CPAP療法とは、Continuous Positive Airway Pressure(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の略で、鼻に装着したマスクから無呼吸を防ぐために気道に空気を送り続けて、上気道がふさがらないように圧力をかけ続ける治療法です。
薬物療法
アセタゾラミド等の炭酸脱水酵素抑制剤を用いて、酸素濃度を上昇させることもあります。
外科的治療
UPPP
UPPPとは、Uvulo-Palato-Pharyngo-Plasty(口蓋垂口蓋咽頭形成術)の略で、口蓋垂(いわゆるのどちん)と扁桃、その周囲の軟口蓋と口蓋弓の過剰な粘膜を切除し、縫合(ほうごう)することによって、気道を拡張する外科手術です。
扁桃・アデノイド除去手術
子どもに多い、扁桃肥大、アデノイド肥大が原因の場合には、それらの切除を行います。
CSASの治療
CSASの治療は、心不全の薬物治療や、睡眠時の酸素吸入です。
ここで問題を見ていきます。
罹患(りかん)とは、病気にかかることを意味します。つまり、OSASによってかかりやすい病態でないのはどれか、という問題です。
心不全や高血圧、心房細動は、睡眠時の無呼吸による合併症で取り上げました。また、急性の心筋梗塞や心房細動により、突然死のリスクもあります。
収縮性心膜炎とは、ウイルスの感染や、腎不全、心臓の手術によって心臓の周りの心膜は炎症を起こし、心外膜が繊維化、肥厚、石灰化(硬くなる)してしまう病気です。OSASとは関係ないため、この選択肢が正解となります。
https://mukokyu-lab.jp/factsheet/factsheet1.html
おわりに
睡眠時無呼吸症候群は、合併症の仕組みを理解することがとても難しく、今でもよくわかっていません。一方、呼吸の問題は、血管に関わる循環器全体の問題であることが分かりました。
人生の約3分の1を占める睡眠には特に気を使ってあげる必要がありそうですね。
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