医歯薬系の大学受験英語入門 キモのキモ (3) ----視点を変えてみる
皆さん、こんにちは。
「実戦 医歯薬看護系大学受験英語の部屋」へようこそ。
受験英語入門の note 集中講座の第三回です。
前回は、受験勉強をするときの心構えとして、勉強をジグソーパズルにたとえて、まず全体像をつかむという話をしました。そして、教師の重要な役割は、生徒さんが全体像を把握するためのヒントを出すことであると言いました。
というのは、皆さん受験勉強は細かいことを暗記することだと思っているかも知れないけれども、実は個々の項目はつながっている、全体として一つのことなんです。そのことに気付くことで成績は飛躍的に伸びます。教師はその気付きを促すためのヒントを出す。
ただ、ヒントは出すけれども、最終的には生徒さんに自分で気付いてもらわなくてはいけません。というか、これは本来、自分で気付く、発見するべきものなのですね。自分で気が付くからこそ「そうだったのか」という感動の体験があって、そういう体験があるからこそ頭に入るわけです。単に教え込まれただけでは感動は生まれませんから、教師はヒントに止める。ヒントをもらった生徒は、そのヒントを手に自分で探究しなければなりません。そのためにはある程度の問題量をこなす必要もあるだろうし、単に個々の問題の解法に注目するだけではなくて、もうちょっと上の観点から、全体像が眺められるように目線の位置を変える必要があるのです。
要するに、受験勉強というもののイメージをちょっと変えてみましょう、という話です。
それで、受験勉強というものを、もう少し高い視点から眺めてみると、いわゆる「出ること」だけではなくて、むしろ直接的には出題されそうにない内容の中にこそヒントが隠されていることがあるわけです。
そういうわけだから、出来る生徒さんの中には、絶対試験に出そうもないマニアックな内容に首を突っ込んでみたりする人がいるわけだよ。そういう人を見て、単に「おたく」が嵩じているとか、「なんでそんな効率が悪いことをするの」って思う人がいるかも知れないけど、それはちょっと違うんだな。そういう生徒さんというのは、おそらく意識してそうしてはいないかも知れないけれど、ちょっと背伸びしていて、だから他の生徒さんと視点が違うわけです。それで「わからない」と思ったりする。「わからない」っていう体験は大事で、そこに問題意識も生まれるし、それがあるからこそ「わかる」ってことの有難味がわかるわけ。反対に、「わからない」っていうことを避けて、わかりやすいことばっかりやっていたら、結局「わかること」の有難味も感じられなくて、あまり頭にも残らないんです。
受験生の皆さんにはそういうことに気が付いてもらいたいと思っていますが、業界的には「出るところだけを効率的に、わかりやすく学んで短期間で成績を劇的にUPさせます」なんて言って宣伝する傾向があります。でもね、大事なことは内容を絞ることではなくて整理することなんです。努力してもなかなか成績が伸びない人というのは、その整理ができていないだけなので、ある段階でいい教師が付けば、教師の出すヒントによって整理ができて短期間に成績が伸びる可能性があります。でも、それは奇跡じゃない。それまで努力して得ていた知識が有機的につながった、断片的だったものが一つになったということだから、もともとスカスカじゃなかったということが大事なんです。
やっぱり教師というのはある意味で助産婦みたいなものですよ。必要なときもあるけれども奇跡を起こすことはできません。
今回はここまで。具体的な英語問題の話まで行かなくてすみません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
[参考文献]
『初めての大学受験英文法 ”超”入門講義 医歯薬系・空所選択問題を中心に: 志望校合格のために 予備校講師が本当に伝えたいこと』
https://www.amazon.co.jp/dp/B09YHHXG2P?&linkCode=ll1&tag=cstransbiz-22&linkId=cc55387ce88782912cf2e7240aebd17d&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl