マガジンのカバー画像

基礎徹底 そこが知りたい血液内科

8
知っておくと,見通しが良くなる血液内科の基礎的知識・覚え方を紹介します.間違いなどありましたらコメント欄でご教授いただけると幸いです.
運営しているクリエイター

#医学生

なぜ甲状腺機能低下症で貧血が生じるのか?

MDS(骨髄異形成症候群)や巨赤芽球性貧血、悪性貧血で大球性貧血を呈することは有名だと思いますが、実は甲状腺機能低下症でも大球性貧血が起きることが知られています。 メカニズムとしては、 甲状腺機能低下症で最も頻度の高い基礎疾患は慢性甲状腺炎、いわゆる橋本病であり、同じ自己免疫性疾患である悪性貧血を合併すること。 甲状腺機能低下症によって代謝が低下して、末梢組織における酸素需要が低下すると、血中エリスロポエチン濃度が低下し、骨髄における赤血球産生量が減少する。 この2つ

Hodgkinリンパ腫では末梢血リンパ球数は増える?減る?

結論から申し上げますとHodgkinリンパ腫では末梢血リンパ球は減少します。 しかし、骨髄性白血病では白血球が著増するので、悪性リンパ球が増加するリンパ腫でも増えそうなのになぜか減少します。何故でしょうか? 理由はいくつか仮説がありますが、 ①Hodgkinリンパ腫は容易に血管を移動して全身に移動するのではなく、リンパ節にとどまる性質があるため。 ②Reed-Sternberg細胞のサイトカイン産生による骨髄でのリンパ球産生抑制 などが原因ではないかと個人的には考えていま