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基礎徹底 そこが知りたい血液内科

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知っておくと,見通しが良くなる血液内科の基礎的知識・覚え方を紹介します.間違いなどありましたらコメント欄でご教授いただけると幸いです.
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#医学部

医師国家試験向け:なぜ多発性骨髄腫ではβ₂MG,血清Albが予後因子なの?

多発性骨髄腫では,予後因子としてR-ISS分類が使用され,β₂MG,血清Albの値が予後と相関するとされています。なぜ腎機能しか反映しなさそうなこの2項目だけが予後因子なのでしょう。 実は、この2項目がなぜ予後と強力に相関するかは正確には不明なのです。たまたま統計的にこの2項目が強力に相関したので採用された¹のです。 一応、R-ISSを提唱した論文では、以下のような機序¹を想定しています。 β₂MGは腫瘍量や腎機能だけではなく,未知のパラメータを反映している。 血清A

なぜNAPスコアは慢性CML,骨髄異形成症候群で低下・再生不良性貧血やCMLの急性転化で上昇するの?

NAP(neutrophil alkaline phosphatase score)スコアは末梢血の成熟好中球のアルカリフォスファターゼ(ALP)活性の程度を末梢血液標本のALP染色による陽性顆粒の密度から判定量に測定し、スコアとして表したものです。 このNAPは血液疾患の鑑別に有用であるとして国試に頻出です。 例えば、NAP活性の低値は、CMLの慢性期、MDS(骨髄異形成症候群)、発作性夜間血色素尿症(PNH)および伝染性単核症(IM)をはじめとするウイルス感染症を示唆