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基礎徹底 そこが知りたい血液内科

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知っておくと,見通しが良くなる血液内科の基礎的知識・覚え方を紹介します.間違いなどありましたらコメント欄でご教授いただけると幸いです.
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2023年12月の記事一覧

【無料公開】国試向け 基礎徹底 そこが知りたい抗がん剤ー造血器腫瘍の薬剤まとめ

血液内科の抗がん剤は,重症度や遺伝子型などにより使い分けがされているので非常に難しい分野の1つですよね。。。 そこで,117回-80回前後までの医師国家試験過去問を分析して全体をつかみやすいように解説プリント(全17p)へまとめました! すべてオリジナル解説であり,適宜補足を追記しています! 無料公開のためぜひダウンロードして最後の追い込みにご活用ください!

抗血小板薬と抗凝固薬の使い分けは?

よく同じ血栓症なのに 1.抗血小板薬を使う疾患(心筋梗塞、アテローム性脳梗塞、ラクナ梗塞) 2.抗凝固薬を使う疾患(心原性脳梗塞、肺血栓塞栓症 etc.) に分けられますよね。この違いは何でしょうか。 ▶動脈血栓について 動脈ではつぎのように血栓ができます。 速い血流が動脈壁を傷つけたところ 血管壁にくっついたコレステロールの塊(アテローム)が破れたところ に血小板がくっついて血栓となります。傷ついた血管内皮細胞が血小板を呼び止めて、血小板の蓋を作るんですね。その

なぜヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はヘパリン投与後すぐに発症しないの?

ヘパリン起因性血小板減少症はICUなどでよく見られ、ヘパリン投与後5日以降に発症するヘパリン抗体性の血栓性疾患です¹。血小板は減少しますが、主に血栓を形成します。 なぜヘパリン投与後すぐに発症しないかというと、この疾患は抗体が原因なので、抗体産生に5日以上かかるんですね²。中には30日経過して発症する方もいます。 では、なぜ血栓傾向を示すのでしょうか?血小板減少であれば出血しそうな感じがします。 …実は、原因であるヘパリン+血小板第4因子(PF4)に対する自己抗体(HI

骨髄異形成症候群の骨髄は過形成なのに、なんで無効造血・汎血球減少なの?

骨髄異形成症候群を勉強していると、骨髄は過形成で色々な血球がみられるのに無効造血をきたすと書いてあります。 再生不良性貧血では脂肪髄なので汎血球減少症は感覚的に理解できますが、なぜ過形成のMDSで無効造血をきたすのでしょう? それは、MDSでは骨髄内で作られた様々な血球・正常な血球が骨髄から血中に出る前にアポトーシスにより排除されるからなんです¹。 当然、芽球も骨髄中ではアポトーシスで抑え込まれています(骨髄中で<30%²)。ですが、異常増殖の過程でアポトーシスに耐性を持つ