10月11日(金)メディア日記
日本時間11日午後6時、ノルウエーのノーベル賞委員会は、日本全国の被爆者らでつくる日本原水爆被爆者団体協議会(被団協)に授与すると発表した。授賞理由で39歳のフリードネス委員長は、「核兵器のない世界の実現に尽力し、核兵器が二度と使われてならないことを示してきた」と述べ、「 ニホン・ヒダンキョウ」を二度繰り返した。今年のノーベル平和賞は、ガザ市民を救済する団体が有力視されていただけに「被団協」への授賞は意外と驚きが走った。
毎日新聞は「ノーベル平和賞を日本被団協に今年の平和賞授与を決めた背景には、ウクライナや中東で続く戦闘が収束の気配を見せない中、世界の指導者が核の実戦使用をも辞さない発言を繰り返すことへのいらだちがある」と指摘した。同日夜、新聞は、朝日新聞、読売新聞、広島の中国新聞が号外を発行した。
世界で唯一の戦争被爆国の日本、しかし、政府は依然として核兵器禁止条約に署名、批准していない。ノーベル平和賞受賞を機に最低でも「核兵器禁止条約へのオブザーバー参加を決断する」などこんどの総選挙の一つの争点にすべきだ。
自民党の前職、杉田水脈、(比例中国ブロック)が、衆院選で、比例単独候補としての出馬を辞退する意向を党幹部に伝えたことが判明した。杉田は政治資金収支報告書への不記載があり、4月に党の役職停止6カ月の処分を受けた。当日記でもたびたび登場したヘイト差別議員の杉田水脈だった。
静岡新聞デジタルによると、袴田巌弁護団の主任弁護人の小川秀世は10日、畝本直美検事総長が控訴断念時に公表した談話に対して「今でも袴田を犯人と考えていると公言したに等しい。名誉毀損にもなりかねない」と抗議する声明を静岡地検に出した。弁護団による声明文では、「控訴はやめておくが、巖さんを冤罪と考えてはいないということであり、到底許し難いものである」と指摘した上で、「検事総長が今でも巖さんを犯人と考えていると公言したに等しい。これは、法の番人たるべき検察庁の最高責任者である検事総長が無罪判決を受けた巖さんを犯人視することであり、名誉毀損にもなりかねない由々しき問題と言わなければならない」と断罪した。
朝日新聞編集委員の名物記者小泉信一が10月5日、前立腺がんで死去した。63歳だった。社会部出身、寅さんをはじめとした昭和文化、歌謡、旅芝居、大衆酒場などを追い続け、「寅さんの伝言」「裏昭和史探検」など著書は多数。7月の同紙朝刊くらし面「患者を生きる」で、「1月にステージ4の末期がんと診断され、余命宣告を受けた」ことを明かしていた。毎日新聞編集委員の鈴木琢磨が10日の毎日新聞デジタル版に「盟友・小泉信一記者を悼む」(有料記事3126文字)追悼記事を掲載した。
「ライバル紙、朝日新聞の名物記者にして、わが酒友、小泉信一さんが旅立った。フーテンの寅さんをこよなく愛し、昭和歌謡におぼれ、ひたすら街ダネを追い続けた。昭和のにおいぷんぷん、飲めば、お互い絶滅危惧種記者だな、と笑いあった。この夏、久しぶりに小泉さんに会った。いつものように夕暮れ迫る東京・新宿かいわいではない。昼下がり、東急池上線のとある駅で。「いま透析が終わり、病院食を食べます。歩くのに時間がかかり、駅の改札まで5分ぐらい遅れそうです。ごめんなさい」。律義にもショートメールで知らせてくる。しばらくしてつえをつき、ややふらふらしつつやってきた。ふさふさだったはずの黒髪は抜け、白髪が少し。すっかりやせていた。彼から突然のショートメールが届いたのは7月6日の夜のこと。「明後日の朝刊から闘病記が出ます。余命宣言」。びっくりした。48歳で前立腺がんをわずらったときは、わざとらしく明るい声で「がんになっちゃって」と電話がかかってきた。摘出手術をし、ホルモン注射による治療はつらいに違いないが、酒量は減らしつつも酒場のハシゴはやめなかった。ホッピーをあおり、なにやら達観したように言った。「うーん……。エロ小説でも書いたらなんて勧める知人もいてね」。だが、さすがに「余命宣言」はきつい。掲載日に近所のコンビニで朝日の朝刊を買ったはいいが、読むのが怖い。(後略)
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