見出し画像

RWBY 感想: 1,655分の3Dアニメ・スペクタクル

RWBYをVolume 1からVolume 9まで観ました。Prime Videoで日本語吹替版を視聴しました。
8日間で27時間半アニメを観るという無謀な挑戦でしたが、悔いのない体験でした。


概要

RWBYは、Rooster Teethスタジオの送るアメリカ制作の3Dアニメです。
童話の要素がモチーフとなるファンタジー世界で、主人公ルビー・ローズとチームメイトの成長と冒険を描いたアクションアドベンチャーです。

Volume 1~3までは学園生活、4からは世界各地の問題を解決するための冒険譚になります。1ボリューム平均で3時間程度の尺でした。

現地での初放送は2013年と比較的歴史のある作品です。初期の頃は一部モブが黒塗りだったりと、予算の変遷が観て取れます。次の話に行く度に見違えて映像が綺麗になるため、制作技術の向上に注目しても面白いです。

原作者の突然の逝去等トラブルもあったシリーズですが、根強いファンを抱えてロングランシリーズとなりました。ゲームや日本制作アニメ、DCとのコラボ等様々なメディアミックスが誕生しています。

良かった点

日本文化と海外文化のブレンドが見事です。
「カワイイ」「カッコイイ」を体現したキャラクター達に学園モノ定番の成長、交友、挫折と日本アニメの特徴を押さえつつ、人種問題やスクールカースト、銃火器等アメリカで良く見られる風習も取り入れられています。

キャラクターも非常に個性的で、敵味方問わず魅力的な登場人物が多いです。センブランスと呼ばれる人物固有の能力もパーソナリティを際立たせており、物語の要所を盛り上げます。

キャラクターや勢力同士の関係性も目まぐるしく変化し、飽きさせません。特に後半は誰が敵か、どの脅威を先に対処するか等の問題が付きまとい、物語の展開に緊張感を持たせています。

全体通して長尺の作品ですが、カット割りが細かく割かれているため冗長に感じません。特に中盤はその恩恵を色濃く受けています。

バトルシーンに力が入っているのも特徴です。多種多様なキャラクターが武器や能力を使いこなして戦う場面は全ボリューム通して数多く用意され、3Dアニメ独自の多彩な映像表現が戦闘を一層引き立てます。
個人的には戦闘の結果があまり予測できない点も良かったです。主人公側の常勝とも行かず、意外な人物が想像より強かったりするのも視聴者に良い裏切りをもたらします。

日本語吹替も素晴らしく、キャラクターのイメージに合った声色と調子が披露されます。特に個人的なお気に入りはシンダー役の甲斐田裕子さん。芯の通った悪役女性のキャラが非常にマッチしていました。

気になった点

概要にも書いた通り、ボリューム3までと4からでストーリーがガラリと変わります。自分は違和感なく観られましたが、学園モノのノリは鳴りを潜め、政治や謀略が関わるシリアスなストーリーへと変化していくため、急な変化を予測していないと少し戸惑う可能性があります。

また、元がアニメシリーズのため、ボリューム毎に所謂「クリフハンガー」(次回への引き)で終わることが多いです。一作観て満足とはなかなか行かず、しかも9作あるため最初観始めるのに躊躇するかもしれません。

初期は映像や動きが古く、テンポも少しゆっくり目なため退屈かもしれません。それでも戦闘シーンやキャラクターモデルの造形、吹替は2024年現在でも洗練されているように感じます。

最後に

海外ならではの特色がふんだんに詰まったアニメですが、目が肥えた日本の視聴者にもウケる非常に高いクオリティの作品でした。

2024年に制作スタジオの閉鎖が発表されましたが、RWBYの権利は海外大手メディア会社に移ったようです。9作あってもストーリーは道半ばのようなので、次回作の続報等を心待ちにしたいと思います。

イッキ見の達成感を味わいつつ熱を帯びながら書きましたが、冷静に考えて27時間半を捻出するのはどの立場の人でも難しいと思うので、ご視聴は計画的に進めることをお勧めします。

いいなと思ったら応援しよう!