
【2025年:新春相場展望】波乱の幕開けか?万一の不測スタートに備えディープテック3業種でブレークスルーも一法
【2025年:新春相場展望】
■波不確定要素が絡む新春相場のスタートか?
2025年新春相場は、出だしの1月早々から気の置けない展開が続きそうだ。高値に上ぶれてスタートし欲しいと願うのやまやまだが、下値に大波乱となる懸念も拭えない。新春の相場スケジュールと睨めっこすればするほど下ぶれリスクへの心配が募る。1月20日には米国の第47代大統領にトランプ大統領が就任し、1月22日からは日本銀行の金融政策決定会合、28日からはFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)がそれぞれ開催予定で、大統領就任式前の1月中旬には、石破茂首相が訪米して日米首脳会談に臨むか検討中である。
■トランプ大統領就任で揺れる金融市場
トランプ大統領が就任と同時の秒速でどれだけの国にどれだけの関税引き上げを追加するのか、移民規制をどう強化するか、地政学リスクにどんなディール(取引)を用意しているのかなどなど不確定ファクターが目白押しで、インフレ再燃懸念を強め金利も為替も不安定化する可能性がある。トランプ大統領の出方待ちだったFRBは、1月会合で利下げを中止するのか、日銀は、同じ1月会合で利上げに踏み切るのかも予断を許さない。日米首脳会談も、バイデン政権の日米協調の安全保障体制が堅持されたとしても、石破首相がどんな取引を突き付けられるのか不透明である。
この相場スケジュールが大過なく通過できるとのコンセンサスが得られれば、日経平均株価は早晩、2024年7月につけた史上最高値4万2426円の奪回に再発進することになる。「トランプトレード2.0」のスタートであり、「エヌビディア祭り」の再度の盛り上がりなどが大きな相場押し上げファクターとなる。ただ問題は、新春早々ネガティブで申訳ないが、こうした期待が裏目に出たケースである。正月ボケの市場参加者の減少も加わって相場は方向感を失い、閑散相場も覚悟しなくてはならいかもしれない。世界的はカネ余りで待機資金は潤沢にあり、これを受け皿に大崩れするリスクは少ないとするのが市場のコンセンサスとなっているものの、売りか買いの仕掛け難が続くことが想定される。
2024年後半相場も、エヌビディアなど生成AI(人工知能)関連株が高値波乱となった時には幕間つなぎとして代役を務めたのはディープテック株であった。ペロブスカイト太陽電池株であり核融合関連株であり宇宙開発関連株であった。新春相場が、万が一にも不測のスタートをするならこのディープテック株に再出番が巡ってくることになり、あるいは2025年後半相場では生成AI関連株をブレークスルー可能性も期待される。新春相場に活躍場面が訪れる展開を期待したい。
【2025年注目セクター:ペロブスカイト太陽電池】
■生成AIからバトンタッチか?新春相場の主役となる展開に期待!
2024年後半相場では、生成AI(人工知能)関連株が高値波乱に見舞われた際、その隙間を埋める役割を果たしたのがペロブスカイト太陽電池株を中心としたディープテック株であった。この次世代太陽電池は、軽量で低コストかつ高効率という特長を持ち、再生可能エネルギー分野で注目を集めている。新春相場が万が一波乱のスタートを切った場合、ペロブスカイト太陽電池株が再び市場の脚光を浴びる可能性が高い。また、2025年後半相場に向けても、生成AI関連株とともにこの株が市場を牽引するブレークスルーを期待する声がある。ペロブスカイト太陽電池が新春相場の主役となる展開を見守りたい。
■伊勢化学はヨウ素価格上昇で業績を上方修正し大幅増配
ペロブスカイト太陽電池は、軽量で折り曲げることが可能な太陽電池で、印刷技術を活用でき製造コストが低廉で、主原料にレアメタルではなく国産のヨウ素を使用し、このヨウ素は、日本の世界シェアが約3割と第2位にいることから経済安全保障上のメリットも合わせ持っている。経済産業省は、次世代太陽電池としてグリーンイノベーション基金事業に採択してサポートしており、関連株として伊勢化学工業<4107>(東証スタンダード)、積水化学工業<4204>(東証プレミア)、フジプレアム<4237>(東証スタンダード)、K&Oエナジーグループ<1663>(東証プレミア)などが定番銘柄となっており、積水化学は、2023年12月26日に量産化会社の設立を発表して急伸し上場来高値を更新した。伊勢化学は、K&Oエナジーと並ぶヨウ素の大手メーカーで、2024年12月期の純利益は、ヨウ素の国際価格の上昇と円安の寄与で上方修正されて連続の過去最高となり、配当は、年間360円(前期実績270円)に連続大幅増配を予定している。株価は、3万円台出没と値がさでPERも29倍台と市場平均を上回るが、2024年6月には上場来高値4万500円まで急騰した高値実績も光る。足元の株価は、この最高値から8月の急落安値1万5980円まで調整した下落幅の3分の2戻し水準までリバンドしており、全値戻しへトライしよう。
【2025年注目セクター:核融合発電】
■低コスト・高効率、次世代エネルギー株が相場の救世主に!
2024年後半相場では、生成AI(人工知能)関連株が高値波乱に見舞われた際、その隙間を埋める役割を果たしたのが核融合発電株を中心としたディープテック株であった。核融合発電は、無限に近いエネルギー供給を可能にする夢の技術として注目され、環境負荷を大幅に低減できる次世代エネルギーとして期待されている。
■ジェイテックコーポは最先端の放射光施設から高精度ミラーの受注が続々
核融合発電は、「地上に太陽をつくる」ことを目指し「究極の発電」とも「夢の発電」ともいわれている。現行の原子力発電が、原子を核分裂させて発生させた加熱エネルギーを利用して発電するのに対して、燃料を核融合させて発電するもので、放射線を発生せず安全であり、国際協調による開発プロジェクトが進み、国内でも実験炉による実証試験が続いている。足元では、生成AI(人工知能)の普及・拡大に伴いデータセンター需要が急増し、この電力供給が大きな課題になっており、核融合発電への注目度も高まっている。関連株として国内開発プロジェクトに参画しているトヨタ自動車<7203>(東証プライム)、古河電気工業<5801>(東証プライム)などが上げられるが、注目したいのは、核融合のレーザー方式で燃料に強力なレーザーを照射するキーデバイスの高精度ミラーで世界有数なジェイテックコーポレーション<3446>(東証プライム)である。同ミラーは、世界の放射光施設約70施設のうち30施設に納入実績があり、米国、スイス、中国からの大型受注が続き、2024年12月23日には大阪大学発のスタートアップでレーザー核融合技術の実用化を目指しているEX-Fusion(大阪府吹田市)と技術提携を締結した。今6月期業績は、増益転換を予想しているものの、配当は無配継続でPERは割高だが、中期経営計画の最終年度の2026年6月期純利益は、今期予想比2.7倍を目標としており、核融合関連株のダークホースとなりそうだ。
【2025年注目セクター:宇宙ベンチャー】
■波乱相場の救世主となるか?宇宙開発関連が注目株に
宇宙開発分野では、低コストでのロケット打ち上げや衛星開発、さらには月や火星の探査を目指す企業が成長を遂げつつあり、投資家からの注目が高まっている。新春相場が万が一波乱のスタートを切った場合、これら宇宙ベンチャーが市場の主役として浮上し、大きな注目を浴びる可能性がある。また、2025年後半相場でも生成AI関連株と並んで宇宙開発関連株が市場をリードし、技術革新による新たな成長ストーリーを描くことが期待されている。宇宙ベンチャーが新春相場で再び脚光を浴びる展開を楽しみにしたい。
■ispaceは1月打ち上げの月面探査機で初の月面資源取引も実現
宇宙産業は、次のフロンティア産業で政府の策定した宇宙基本計画では、2020年の約4兆円の市場規模を2030年代の早期に8兆円に倍増させることが目標となっている。このためJAXA(宇宙航空研究開発機構)を資金配分機関として10年間に1兆円の開発支援を続け、中小企業イノベーション創設推進事業なども進めている。この宇宙開発は、商業面はもちろん軍事面での国際競争も激化し、月面での有人探査などのプロジェクトが相次いでいる。米国のトランプ次期政権の要職に就くイーロン・マスクが、EV(電気自動車)やソーシャルメディア「X」だけでなく、宇宙開発会社スペースXでNASA(米航空宇宙局)を上回る実績を上げていることも注目される。東京市場には、2018年12月にドローンのACSL<6232>(東証グロース)がIPO(新規株式公開)されたのを皮切りに、2023年12月から宇宙ベンチャーのIPOが続き、周辺業態のドローン・航空機部品関連株を含めると合計8社に達する。ほとんどが赤字IPOで無配を継続し投資採算的には割高感は否めないが、それでも着実な事業拡大をみせている。そのなかでispace<9348>(東証グロース)は、早ければ2025年1月中旬に打ち上げる月面探査機「HAKUTO-R」ミッション2で内閣府から宇宙資源法に基づく宇宙資源の探査及び開発の許可を取得し、同プロジェクトが成功し月面資源の所有権を顧客先のNASAに移転すれば、日本企業として初の月面資源の商業取引となる。株価は、公開価格254円でIPOされ1000円で初値をつけ上場来高値2373円まで買い進まれ、上場来安値430円へ大きく調整したが、足元では600円台まで持ち直しており、一段の戻りを試そう。