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「変な家」に学ぶYouTubeの型で小説をヒットさせる方法

YouTube初のホラー小説がシリーズ累計250万部の大ヒット


YouTubeを中心に活躍するクリエイター、雨穴さんによる小説『変な家』は、シリーズ発行部数250万部を突破する大ベストセラーです。『変な家』は映画化もされ、 興行収入は50億円を突破し、原作ファンのみならず、多くの人々を魅了しています。

「変な家」シリーズの原点となったのは、雨穴さんのYouTubeチャンネルで公開された動画です。間取り図から謎を読み解くという斬新なアイデアと、雨穴さん独特の語り口が人気を集め、多くのファンを獲得しました。
「変な家」シリーズがここまで人気を博すのは、まず第一に雨穴さんという才能の存在抜きには語れません。

間取り図という一見地味な題材を、緻密な謎解きとホラー要素を巧みに織り交ぜる発想力は、他に類を見ません。さらに、独特な語り口とユーモアセンスは、読者を飽きさせず、最後まで引き込んでいきます。

小説ヒットの源にはYouTube型の構造がある?


アイデアが素晴らしいというのがヒットの大きな要因なのですが、「変な家」シリーズの書籍がここまで売れた要因の一つとして、「YouTube型の小説コンテンツ」にあるのではと思っていたりします。

著者は週末に「変な家」「変な家2」を一気に読み、まるでYouTube動画のような作りだなという感想を持ちました。
実際に本を読んだ人なら分かると思いますが非常読みやすく、あっという間に読み切れてしまいます。
実際にAmazonのレビューを見ても、「読みやすくて、一気に読んだ」という声が多数寄せられています。
この読みやすさの要因はYouTube型の構造にあると思うんですね。YouTube型の構造とは何なのか解説していきます。

 YouTube型の構造=チャプターごとに完結

「変な家」シリーズ最大の特徴は、なんといってもそのチャプター構成です。「YouTube」の動画のように、作品は1つの章(チャプター)で1つの謎が完結する短編形式で構成されています。これが、まるで1本の動画を見ているような臨場感と、圧倒的な読みやすさを生み出すのです。
例えば、ある章では奇妙な間取りの家が登場し、その家の謎を主人公が解き明かしていきます。そして次の章では、また別の間取りの「変な家」が登場し、新たな謎解きが展開されます。
まるで1本の動画のように、次々と新しい話が繰り広げられるため、読者は飽きることなく最後まで読み進めることができます。
しかも1章ごとに謎解きが一応完結するため、章を読み切った達成感が得られます
このようにそれぞれのチャプターで謎解きが完結するチャプターの集合体という構造が、YouTube型の小説コンテンツを形成しています。

一見関係ないチャプターが繋がる、フラクタル構造


さらに、「変な家」シリーズの読みやすさの秘密は、チャプターごとに完結しているだけでなく、一見関係ないチャプター同士をつなげると意味をなす「フラクタル構造」になっている点にもあります。

完成した小さなチャプター(三角形)同士が、大きな物語(三角形)を作る

フラクタル構造は、小さなパーツが全体と同じ形をしているという概念です。例を挙げると、小さな三角形を組み合わせて大きな三角形を形成することができます。『変な家』シリーズでは、各チャプターが独立しているように見えて、実は他のチャプターと深い関連があります。この構造により、読者は章ごとに小さな完結した物語を楽しみながら、徐々に全体の物語が形成されていく過程を体験できるのです。

まとめ:スマホ時代と相性の良いフラクタル構造の小説


『変な家』シリーズについての詳細な分析を通じて、雨穴さんの創造力とYouTubeの動画スタイルを取り入れた独特な小説構造について解説してみました。本作品は、一章ごとに完結する物語性と、章同士が繋がるフラクタル構造により、読者が一気に読み進める動機付けとなっています。
この構造は、スマートフォンユーザーが倍速再生でコンテンツを消費する傾向や、短い動画やテキストに慣れ親しんでいる現代の読者にとって、すごい相性が良いと思うんですよね。チャプターごとに完結する「YouTube型の小説」は、このような読者の嗜好にマッチし、その読みやすさとエンゲージメントの高さが支持される理由となっているのではないでしょうか。


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