SNS分散運用のすすめ。顧客との距離を縮める方法
製品やサービスが1つしかなくても顧客の属性は異なる
製品やサービスが1つしかない場合でも、顧客の属性は様々です。つまり、顧客がどんな特性を持っているか、またはどのようなシチュエーションでその製品やサービスを利用するかによって、欲する情報が異なるんですね。
C向けの場合:コンビニやユニクロの例
例えば、一般消費者(C向け)をターゲットにした場合、コンビニエンスストアやユニクロのようなアパレル店があります。
コンビニエンスストアの顧客は多岐にわたります。例えば、急いでいるビジネスマンがランチを購入するシチュエーション、夜遅くに何か食べたいと思った学生がスナックを買いに行くケース、または地域住民が日用品を手軽に購入する場面などがあります。それぞれの顧客によって求める価値が微妙に異なってくるわけです。
ユニクロの顧客も様々ですが、ファッションを意識する若者から、実用的な衣服を求める高齢者まで幅広いです。若者には最新のトレンドを反映したアイテムが、高齢者には機能性と快適さを重視した衣服が求められます。また、季節の変わり目には、家族連れが新しい季節の衣料をまとめて購入することも一般的です。
コンビニと同じくユニクロもまた、顧客によって求める価値が微妙に異なってきます。
B向けの場合:SaaSサービスの例
一方で、ビジネス向け(B向け)の場合、大企業から中小企業まで幅広く利用できるSaaSサービスがあります。これらのサービスは、企業が効率よく業務を行えるように支援することを目的としています。
大企業では、SaaSサービスを利用して広範囲にわたる業務プロセスの効率化、コスト削減、またはグローバルなコミュニケーションの強化を図ることが多いです。例えば、人事管理システムやCRM(顧客関係管理)システムなどがあり、これらは組織全体の情報を一元化し、業務の自動化を推進します。
中小企業では、SaaSサービスがスケーラビリティやコスト面での柔軟性を提供します。特に、資源が限られている中小企業にとって、ITインフラの初期投資を抑えつつ、必要に応じてサービスを拡張できる点が魅力です。具体的な利用例としては、販売管理システムや会計システムが挙げられ、これにより少ない人数でも効率的に業務を行うことが可能です。
包括的にSaaSを導入したい大企業、必要機能を選んで徐々にスケールを拡大したい中小企業のように、B向け製品も顧客セグメントによって欲する提供価値が異なるわけです。
顧客セグメントごとにSNSを分散運用すれば、エンゲージメントが高まる
SNSのアカウントや発信メディアが1つしかない場合、多様な顧客のニーズに対応するための包括的な内容を発信しないと、クリック率やいいね数などのエンゲージメントが下がる可能性があります。
例えば先ほど例に出したコンビニやユニクロであれば、顧客の属性にとらわれない情報ー新製品やセール情報などに限られてきます。
一方で、顧客の属性ごとにSNSアカウントを分散運用すれば、それぞれのアカウントが特定の顧客層に特化し、高いエンゲージメントを維持することが可能になります。
例えばC向けのユニクロを例に挙げれば、
新製品やセール情報を発信する包括的SNS
デザイナーとのコラボやインフルエンサーのコーデ情報などファッション感度の高い顧客向けのSNS
ファミリー向けにベビーやキッズなどの情報も包括したファミリー向けの情報発信SNS
などの分散運用が考えられます。
一方、B向けのSaaSビジネスの例を挙げれば、
大企業向けに包括的なデータマネジメントを紹介するSNS
中小企業向けに機能ごとの活用方法を紹介するSNS
などの分散運用が考えられます。
アカウントを顧客層ごとにセグメントすることにより、それぞれの顧客が求める情報に直接アプローチできるため、エンゲージメント率の向上が期待できます。特にB向けの商材については認知を高めるよりは資料請求などの直接的アクションにつなげたい意向が強いわけです。
この戦略は、フォロワー数よりも質の高いエンゲージメントを目指す上で非常に重要です。
SNS分散運用のために:まずは顧客セグメントをつかもう
まずは顧客の属性をつかむことから始めましょう。顧客の属性を把握する方法としては、大規模なインタビュー調査を行う定量調査や、実際に顧客と対話を行う定性インタビューが考えられます。経験則から言うと、定性インタビューを行った方が、より詳細で解像度の高い顧客の属性がつかめます。
おすすめの方法としては、まず10人前後の顧客をインタビューし、その情報から顧客セグメントを作成することです。これにより、各セグメントの特徴やニーズが明確になります。その後、作成した顧客セグメントごとの総数やその他の定量的なデータを得るために定量調査を実施するとより良いでしょう。このアプローチにより、顧客の理解を深め、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能になります。
まとめ:分散運用へのステップ
SNSの分散運用は、顧客の多様なニーズに応じた情報提供に効果的です。製品やサービスが同一でも、顧客の属性や利用シチュエーションは異なるため、顧客セグメントごとに特化したSNSアカウントを運用することで、各顧客層に対して最も関連性の高い情報を提供することが可能になります。これにより、エンゲージメントを高め、特にB向けサービスでは資料請求などの具体的なアクションにつなげることが期待できます。効果的な分散運用を実現するためには、まず顧客の属性を正確に把握し、適切な顧客セグメントを設定することが重要です。