マス向けコンテンツの作り方。鍵は能動的から、受動的への変換
YouTubeやTwitterは延々見るけど、本は一冊読み通せない
体は疲れているけど、YouTubeやTwitterを延々見てしまう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
本を一冊読み通せないとか、そもそも本を手に取る気にならないという人も増えています。
これは、みんなYouTubeをただ観たり、Twitterのタイムラインを延々スクロールするという形で受動的にコンテンツを消費しているので、本のようにページをめくって内容を追う、という能動的に消費するコンテンツへのハードルがめちゃくちゃ上がってるからです。
じゃあ、もう本はコンテンツとしてマス向けしないのかというと、そうでもないのです。
本の入れ物を、紙から動画に転換すればマス向けになります。
前回のブログで書いたのですが、ビジネス書は内容が難しい本と易しい万人にウケる本に2極化しています。
出版全体でいうと発行部数は下がっているので、ビジネス書も縮小していくように見えますが、マス向けになる素養があります。
中田敦彦氏の「YouTube大学」など、ビジネス書の内容を解説した動画は人気となっており、100万再生を超えることもあります。
内容が難しいビジネス書も、動画で分かりやすく解説することでマス向けになるのです。
能動的なコンテンツを、受動的なコンテンツに転換する
これを概念的に考えると、ビジネス書というコンテンツの入れ物を紙から動画に変換することで、能動的なコンテンツから受動的なコンテンツへと変えているのですね。
さらに、ビジネス書は内容が難しいコンテンツです。ビジネス書の解説動画は、難しい内容を易しく解説するという変化も与えています。
つまり、ビジネス書の解説動画は
能動的なコンテンツを受動的なコンテンツへ変換
内容が難しいコンテンツを易しいコンテンツへ変換
という2つの変換をしているのです。
マス向けするコンテンツの鉄則は、受動的にすること
これを4マスで整理すると、このようになります。
まず、内容が難しく、能動的なコンテンツは左下のビジネス書です。
内容は易しく、能動的なコンテンツは右下の絵本・マンガなどです。
内容が難しく、受動的なコンテンツは左上の専門家の講義動画などです。
そして、内容が易しく、受動的なコンテンツは右上の解説動画です。
現代において、マス向けのコンテンツを作るためには、内容が易しくて受動的であることが必須になります。
左下に属する内容が難しく、能動的なコンテンツの代表格であるビジネス書は、解説動画にすることで右上の内容が易しく、受動的なコンテンツに移行することができるのです。
また、右下のグループに属する、内容が易しく能動的なコンテンツの代表格はマンガです。マンガのデジタル化が進んでいますが、最も人気のあるマンガプラットフォームは縦スクロールで延々と見られるウェブトゥーンです。
ページをめくったり横にスワイプするよりも、縦スクロールという受動的な形態に変えることにより、右上の内容が易しく受動的なコンテンツに変えることができるのです。
さらに、左上に属するグループ、内容は易しく、受動的なコンテンツの代表格は専門家による講義動画などです。大学の講義も同じカテゴリに属するでしょう。これも、解説者や聞き手が入って分かりやすくすることで、右上の内容が易しく受動的なコンテンツに変えることができます。
希少価値が高いのは、内容が難しい×能動的なコンテンツを右上に押し上げること
ということで、とにかく内容は易しく、受動的なコンテンツに転換することがマス向けする条件になります。
この中でも特に希少価値が高いのが、左下から右上に押し上げる=内容が難しい×能動的なコンテンツを、内容が易しい×受動的なコンテンツに変化させることです。
なぜかというと、この転換にはスキルが必要だからです。
右下のマンガを右上に押し上げるには、ただ単に入れ物を受動的(スクロール型など)にすればOKなので、難易度が低いのです。
左上の専門家の講義動画は、聞き手や解説者が分かりやすいように誘導をする必要がある分、マンガよりも難易度は上がりますが、話を整理してかみ砕けば良いということになります。
左下のビジネス書については、ビジネス書の内容を理解・整理した上で、動画で見せるための起承転結を考えて構成をする必要があります。さらに、話術などのプレゼンテーション能力が必要になります。
このように左下から右上に押し上げるためにはスキルが必要なので、コンテンツの共有者の希少価値が上がるのです。
このとき、さらに希少価値を高めるために「新しい視点を加える」という技術があります。
実業家の堀江貴文氏のYouTubeにて、堀江氏が時事ネタを解説する動画が人気ですが、分かりやすくかみ砕いて解説している上に、ニュースの裏側にある背景などの視点を付け加えています。
この新しい視点が、観ている人の興味を引き起こすのですが、自分なりの視点を加えるためにはニュースに対する体系的な知識が必要になるので、さらに難易度が上がります。
本当に希少価値が高いこと
ということで、内容が難しく能動的なコンテンツを、内容が易しく受動的なコンテンツに転換するかが、マス向けする条件という解説をしました。
そこに新たな視点を加えることで、コンテンツの希少価値が高まるのですが、実は本当に希少価値が高いことをしている人は、別にいます。
その解説動画の元になっているビジネス書を書いている人です。著者は、一冊の本を書くのに何か月も、ときには何年も執筆や研究やらを行っているのです。その知識の結晶が本であり、配信者はこれを分かりやすく薄めることで、マス向けのコンテンツへ転換しているのです。
つまり、最も希少価値が高いことをしているのは本の著者なのですが、今の状態だと利益を還元する仕組みがありません。
同じように、能動的で易しいコンテンツの代表といえば、ゲームもあります。ゲームもまた何年も開発期間を経て作られますが、万人に視聴されるのは右上のゲーム実況動画なわけです。
しかし、実況動画が何百万回再生されても、ゲームクリエイターに利益を還元する仕組みはありません。
ということで、本当は1次コンテンツを生み出している著者やクリエイターの希少価値が最も高いのですが、今のコンテンツ流通においては、利益を還元する仕組みがないのでした。
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