コンテンツがバズるための絶対条件
コンテンツをバズらせるための絶対条件があります。それは、必ず突っ込みどころを作ること。言い換えると、コンテンツに余白を持たせるということです。
突っ込みどころがある、つまり余白があるコンテンツは、とてもバズりやすいんです。なぜでしょうか?
失敗は最大の突っ込みどころ
最大の突っ込みどころは、「失敗」です。例えば、以前Xを中心にバズったこんな話がありました。
スペイン北部ボルハの教会に「Ecce Homo(この人を見よ)」というフレスコ画があるのですが、81歳のおばあちゃんがこれを無断で修復しようとします。しかし、 元の絵とは似ても似つかない、まるで猿のような状態になってしまいました。
この修復後の絵があまりにシュールだったので、日本のSNSでも大変な話題になりました。現地では観光客が急増し、なんと16万人近くの人々がこの絵を見るために訪れたそうです。
おばあちゃんは良かれと思ってやったのですが、大失敗に終わってしまいました。その結果の絵があまりにシュールで、ネットで「なんだこれは」と突っ込みを入れる人が続出しました。
おばあちゃんが頑張って修復したけど、結果的に絵がシュールになった、というプロセスを含めて受け入れられたからこそ、これだけ話題になったんです。もし最初からわざとやっていたら、ここまで話題にならなかったでしょう。
身近な例で言えば、小学校の朝礼で校長先生が放つギャグにはクスリともしない子どもたちも、校長先生が礼をした際にマイクの頭をぶつけたら大爆笑します。
つまり、失敗というのはある種のボケとして作用するんですよね。だからみんな突っ込みたくなる。結果として、SNSで話題になるというわけです。
ネットミームのコンテンツもボケとして機能している
ネットで話題になるネットミーム的な画像や動画をよく目にしますが、これもボケとして機能しています。
有名なものといえば、「チャリで来た」というものがあります。
これは2008年頃に撮られた日本のプリクラ写真です。写っているのは4人の中学1年生の男の子たち。ヤンキー風のポーズをとっていて、「チャリで来た。」と手書きで書かれています。
ヤンキーっぽい雰囲気なのに、「チャリで来た」って子供っぽい言葉のギャップが多くの人の目を引き、2ちゃんねるに無断転載されたことをきっかけに、インターネットで一気に広まりました。
なぜこんなにバズったかといえば、ヤンキーカルチャーを匂わせる少年たちが、バイクじゃなくて"チャリで来た"というところがボケとして効いているんです。
だいたいネットで話題になるネットミームって、こんな感じでボケとして作用しています。それを突っ込みたい人たちがSNSで言及し、どんどんバズっていくんです。
考察という余白もコンテンツをバズらせる
「考察」という余白もコンテンツをバズらせます。
2019年に放送された「あなたの番です」という、マンションの住民たちによる「交換殺人ゲーム」が軸になっているサスペンスドラマがありました。
これが当時のX(今のTwitter)で大変な話題になりました。考察班と呼ばれる人たちが、放送が終わるとすぐに考察合戦を繰り広げ、ドラマ考察系のYouTuberもこのドラマを取り上げまくって、再生回数を伸ばしていました。
つまり、コンテンツに「考察」の余地を残すことで、ユーザーは自分の考察を披露したくなります。「考察」という名のツッコミを入れたくなるわけです。
大ヒットアニメの「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズにも余白がたくさんあります。物語の中ではあまり多くを語らず、物語の背景やキャラクターの内面世界をファンたちに考察させるという仕組みがありました。
このように、コンテンツで全部を説明せずに「考察」させることで、コンテンツをバズらせることができるんです。
コンテンツをバズらせるためにはどうしたら良いのか
コンテンツをバズらせるにはボケや考察などの余白を確保してツッコミどころを作ることが大切ですが、実際に発信する人はどうすればいいのでしょうか。
その1:ボケによるツッコミどころを作る
その1は、ボケによるツッコミどころを作ることです。
例えば、YouTubeでパンケーキタワーを作ろうとしたら、パンケーキが崩れて雪崩を起こしてしまうとか。こういう失敗シーンを入れておくと、ボケとして効きます。
また、Xでもよくバズっているのが、誤字で変な意味になってしまった投稿です。
有名なものでいうと「久しぶりにマフィン焼いてます」って投稿しようとして、「久しぶりにマフィア焼いてます」となった投稿が話題になりました。
最初は天然のボケから生まれるものが多かったのですが、一度バズると、その型を真似してわざと投稿する人も増えてきています。
これをやりすぎると「確信犯的にやっているな」と分かる人には分かるようになるため、注意が必要です。
その2:断定的に言い切る
その2は、コンテンツで言い切ることです。言い切ると、実はコンテンツに余白ができます。
例えば、フリーランスの人が「フリーランスは会社員に比べて自由で働きやすい!」って言い切ったとしましょう。
しかし、不自由な働き方をしているフリーランスだっているし、自由に働いている会社員もいます。
断定的な言い方というのは、一側面に基づいた言い切りなので、すべての事象をカバーできないのです。
こういう言い切り型のコンテンツは「いや、不自由なフリーランスだっているだろう」みたいなツッコミの対象になります。なので、全ての可能性を考えて慎重に言うよりも、バズりやすくなります。(逆に両面の可能性を考えた投稿は、全くバズりません。)
Xやショート動画など、最近のコンテンツは短くなっています。その背景も合わせて、この言い切りの形で発信するのが必須になってきているんです。
ただし、気をつけないといけないのは、あまりにも極端なことを言うと炎上することがあるという点です。だから、用法は守る必要があります。
ツッコミどころを作ることは、バズらせるための強力な武器です。しかし、過度な煽りや極端な表現には注意しつつ、コンテンツを作ることが大切です。