脳卒中後の感覚障害に対するアプローチは何が有効?
①タイトル
Sensorimotor vs. Motor Upper Limb Therapy for Patients With Motor and Somatosensory Deficits
~A Randomized Controlled Trial in the Early Rehabilitation Phase After Stroke~
直訳すると
運動および体性感覚障害のある患者に対する感覚運動 vs 上肢運動療法
~脳卒中後の早期リハビリテーション段階におけるランダム化比較試験~
②抄読理由
③構造化(PICO)
④研究デザイン
今回の対象者で感覚障害を特定する評価項目がCSSDIである。
CSSDIとはComposited Standardized Somatosensory Deficit Index。
直訳すると標準化された体性感覚欠損指数。
この評価を調査検索したが、一般的ではない印象。
⑤介入
本研究の治療としてSENSe(センス?)アプローチが紹介されている。
SENSeは先行研究で慢性期の脳卒中者の感覚障害に対するアプローチとして効果を示している。
⑥SENSeアプローチの具体例
また別の記事でSENSeアプローチについて細かく紹介しようと思う。
個人的には非常に意味のある面白そうな介入と感じた。
⑦評価項目
本研究で用いられている副次アウトカムの中の感覚に対する評価は、本邦ではあまり聞きなれない項目も多く、臨床的に使用できるか検討が必要である。
⑧対象者
⑨結果
結果的に上肢機能を評価するARATやFMAは、SENSeを含む感覚運動練習よりもVRなどで非麻痺側上肢も使った課題特異型練習を行なったほうが有意な改善を示した。
しかしFMAだけで部分的な有意差である為、言い切るには注意が必要である。
また感覚障害の評価はSENSeを含む感覚運動練習も課題特異型運動も有意な差はなかった。
⑩ 考察
結局運動回数の違いが結果に左右されるのは、リハビリテーションにおいて定説である。
例えば脳卒中の運動麻痺に対する促通反復療法(川平法)は有名である。
また高齢者やフレイル、サルコペニア、低栄養者におけるレジスタンストレーニングも低強度高頻度と呼ばれる。
さらに物理療法でも振動刺激療法は高頻度に与える刺激の一つである。
結果より体性感覚刺激入力後に運動を行なうよりも、体性感覚刺激入力と運動を並行にて行なうほうが効果が得られる可能性がある。
これも脳卒中の運動麻痺やレジスタンストレーニングで行なっている神経筋電気刺激療法(TENS)や骨格筋電気刺激(EMS)にも通ずる。
⑪ 限界と批判的吟味
⑫ 臨床応用できるか?
‣亜急性期、回復期の脳卒中上肢麻痺と感覚障害の対象者に対して、
課題特異型練習を取り入れる事で改善が図れる?
‣感覚と運動を区別させないように、運動に加えて感覚入力を
行なうほうが良い?
‣課題特異型練習は麻痺手に対する意識的で受動的な方法よりも
無意識的、能動的な方法を取り入れたほうが良い?