馳星周(著)『少年と犬』を思い出した日
昨年の11月に、仙台方面を旅行しました。
そのときに、「野蒜 東日本大震災復興記念公園」と、「名取市震災復興伝承館・かわまちてらす閖上」を訪れました。
その日はとてもいい天気で、まさに秋晴れの快晴でした。
訪れた街は、遠くからきた私たちを、恐ろしいくらい静かに迎え入れてくれました。
まるで、何事も無かったかのようにです。
2011年以降、あの災害が絡んだ小説がたくさん発売されました。
被災地から遠く離れた場所で暮らす私でさえ、あの震災のことを思い出すと、息が苦しくなります。
なので、あの震災が絡んだ小説をあまり読まないようにしてきました。
きっかけは忘れてしまったのですが、今年の1月に、馳星周(著)『少年と犬』という小説を読みました。
第一話の「男と犬」に出てくる物語りの舞台は、名取川の南側の住宅街です。
少し前に訪れた、静かな街の風景が、まぶたの裏に浮かび上がりました。
本というのは、人によって読むべきタイミングというのがあります。
私にとって、『少年と犬』を読むタイミングが、今年の1月だったのです。
漸く、震災が絡んだ小説が読めるようになった気がします。
息が苦しくなる感覚は、変わりませんが。