【読書】井原忠政(著)『三河雑兵心得<八>小牧長久手仁義』を読み始める。
井原忠政(著)『小牧長久手仁義』を読み始めました。『三河雑兵心得』シリーズの、第8巻目になります。
武田家の滅亡と本能寺の変を経て、徳川家の版図は大きく広がりました。
しかし、旧武田家領にはまだまだ不安定な要素があり、足軽大将である植田茂兵衛は、徳川家康の命を受け、浜松から信州小諸城へと向かいます。
茂兵衛たちは、天竜川沿いの三洲街道を北上するルートではなく、その東側にある秋葉街道を選びました。
天竜川沿いには、完全に徳川家に臣従したとはいえない、旧武田の国衆が存在するからです。
浜松から小諸城までの距離は、約240キロメートルあります。
険しい山道であり、せいぜい1日に歩ける距離は20キロメートルほどですから、10日間以上の長旅になります。
現代人の私からすると、考えただけでも嫌になります。
中央アルプスと南アルプスの間を、諏訪湖から遠州灘に向かって天竜川が流れています。その天竜川に沿って伊那盆地が形成されています。
Google マップを「地形」表示に切り替えて見ていただくと分かるのですが、伊那盆地の東隣に、はっきりと一本の線が浮かび上がっています。
日本列島がまだ、アジア大陸の一部だった頃に誕生したと言われる、中央構造線です。
茂兵衛たちは、この中央構造線に沿って、北上するのです。
現在では、国道152号線が走っているルートになります。
茂兵衛たちが、11日間かけて小諸城へ到達するところまで読み進みました。
歴史小説もこうやって、現在のテクノロジーを駆使して掘り下げていくと、より一層楽しめます。
そして、戦国時代の信州というと真田家です。物語の中に、その真田家の影がチラホラと見えてきました。
この先、真田家と徳川家は、因縁の対決が繰り返されることになります。
しかし、この時はまだ、そんなことになるとは、誰も想像していません。
植田茂兵衛と真田家の対決もあるのでしょうか?
私が、一番最初に読んだ歴史小説は、池波正太郎さんの『真田太平記』でした。
そういうこともあって、戦国時代の物語は、真田家が登場すると、とてもワクワクするのです。