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『存在のすべてを』オーディオブックで塩田武士の世界に没入|絵画と伏線の秘密

塩田武士(著)『存在のすべてを』をオーディオブックで聴き終えました。
全18時間58分という、長い物語でした。

塩田武士さんについては以前、『罪の声』という作品を読んだことがあります。
『罪の声』は、1984年〜1985年に大阪で発生した「グリコ・森永事件」をモチーフにした作品でした。

『存在のすべてを』は、モチーフにした事件はありませんが、未解決事件を長い年月をかけて解明していくという意味では、『罪の声』と共通点があります。

そして、どちらの作品も、幼い子供が事件の犠牲者となり、その子供が大人に成長していくことも共通点です。

登場人物が多く、人の名前を覚えるのが苦手な私は苦戦を強いられました。前半はシーンも目まぐるしく切り替わります。
しかし、聴き進めていくと、その全てが、後半に向けての伏線であったことがわかってきます。

物語のポイントになるのが、絵画です。
絵画の取引についての知識がなく、ギャラリーや画廊に縁がない私にとって、この部分は勉強になりました。
娯楽であるミステリー小説といえども、学べることはあるのです。

前半は聞き逃してしまったところが一部ありましたが、後半からクライマックスにかけては、集中して聞かずにはいられない展開でした。
それだけ、素晴らしい物語なのです。

三浦綾子(著)『氷点』、眞邊明人(著)『もしも徳川家康が総理大臣になったら』に続いて、塩田武士(著)『存在のすべてを』と、4作品をオーディオブックで聴いてきました。

オーディオブックで聴くのは、やはり小説が最適だと実感しました。
次に聴く作品も、本屋大賞のノミネート作品の中から選ぼうと思っています。
ただし、オーディオブックの利用は、実店舗の書店員さんに何ひとつ貢献できないことは、少し心苦しく感じるところです。

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