【読書】『成瀬は天下を取りにいく』を読みながら、西武百貨店について考えたこと。
宮島未奈(著)『成瀬は天下を撮りにく』という小説を読み進めています。
3章目の「階段は走らない」を読み終えたところです。
物語りの舞台は、今はなき「西武大津店」です。個人的には、あまり西武百貨店とは関わりなく生きてきましたが、物語を読みながら考えたことを文章化します。
西武八尾店
冒頭にも書きましたように、私は生まれも育ちも大阪なので、西武百貨店とはあまり縁がありませんでした。
とはいえ大阪にも、八尾市というところに「西武八尾店」があったことは事実です。
「西部八尾店」は、1981年5月19日に開店し、2017年2月28日に、35年の歴史を終え、閉店しています。
私の住んでいたところから八尾市までは遠くて、買い物に行くことはありませんでした。また、難波や天王寺で十分過ぎるほど買い物ができるので、わざわざ近鉄電車に乗って、八尾市まで行く必要がなかったのです。
八尾市といえば近鉄バファローズのイメージがあります。そして西武といえば西武ライオンズです。
近鉄グループのお膝元のようなところに、西武百貨店が開店したのですから、当時の地元の人たちは、複雑な気持ちだったのではないでしょうか。
「西武八尾店」が開店したのは、西武ライオンズが誕生してから2年後でした。そして翌年の1982年には、西武ライオンズはリーグ優勝し、さらに日本シリーズで中日ドラゴンズを制して日本一に輝いています。
広岡監督が率いる、西武ライオンズの第一次黄金期の幕開けです。
その後、近鉄と西武は野球でも百貨店でもライバルとなり、しのぎを削っていくことのなるのです。
西武大津店
『成瀬は天下を取りにいく』の舞台である「西武大津店」は、「西部八尾店」より一足早く、1976年に開店していました。西武グループの創業者である堤康二郎氏の出身地が滋賀県なので、創業家にとってゆかりの地であったといえます。
近鉄のようなライバルが存在しない土地でしたが、2020年8月31日に閉店しました。
「西武大津店」の閉店を巡って、地元ではドラマが繰り広げられていたのでした。
西武池袋本店
関東で仕事をするようになって初めて池袋駅に行った時、街の大きさと人の多さにびっくりしました、そしてそこに鎮座するのが「西武池袋本店」でした。その「西武池袋本店」も、揺れ動いているといいます。
都会の駅前には必ず言っていいほど、大きな店舗を構えていた百貨店ですが、どんどんその姿が消えていってます。
代わりに聳え立つのは、〇〇カメラというチェーン店です。
スマホの時代にカメラ屋さんというのは、不思議な現象です。
百貨店は思い出の場所
百貨店といえば、ものを売るだけの場所ではなく、思い出の場所でもありました。私たち庶民にとっては、百貨店で買い物をした記憶はあまりなく、どちらかというと、思い出しかない場所でした。
その場所が姿を変えていくのは、寂しい限りであります。