【読書】町田そのこ(著)『星を掬う』を読了。
町田そのこ(著)『星を掬う』を読了しました。
この小説を登山に喩えるなら、厳冬期の北アルプスです。
白いガスの中の急登を、只ひたすら登り続けるようなイメージです。
登っても登っても頂上が見えないような、非常に読んでいて辛い物語りでした。
町田そのこさんの小説を読むのは、『宙ごはん』以来となります。
『宙ごはん』もそうでしたが、親子の関係というものを、改めて考えさせられる物語でした。
子供にとって親というのは、絶対的な味方である筈です。
特に、母親の存在は大きいのです。
そういうことは分かっていても、上手くいかないことがあるのが、人間の親子というものです。
親子であるが故に、感情が複雑化し、親子であるのに苦手意識が強まってしまうという、悲しい物語りになってしまうこともあります。
心理学者のアドラーは、「人間の悩みは対人関係」と言われています。
そう考えると、小説というのは「対人関係の坩堝」のようなものです。
人間の悩みを文字にしたものが、小説とも言えます。
小説を読むということは、フィクションの物語に登場する人間たちの悩みと、ノンフィクショの現実の自分の悩みを重ね合わせることです。
小説を読むことで、対人関係が少しだけ楽になれることもあります。
対人関係を改善させる、勇気を与えてもらえることもあります。
終始とても辛い物語りでしたが、最後はみんな幸せになって欲しいと、祈りながら読み続けました。