井原忠政著『三河雑兵心得<拾壱> 百人組頭仁義』を読み始める|戦国時代の武士と現代の会社員の共通点
井原忠政著『三河雑兵心得<拾壱>百人組頭仁義』を読み始めています。
前作『馬廻仁義』で、徳川家康の馬廻役から百人組頭を任されることになった植田茂兵衛。
部下は総勢300人を抱える大所帯となり、知行は千八百石となりました。
しかし、身分は足軽大将のまま据え置かれ、侍大将には昇格できませんでした。
現代の一般的な企業で例えると、「役職と給料は上がったが、職務資格は変わらず」といった状況です。
戦国時代の武士は、戦で功績を立てることが出世の近道です。
しかし、豊臣秀吉による天下統一が近づくにつれて、戦の数は減っていき、多くの武士にとっては出世のチャンスも少なくなってしまいました。
すでにある程度の地位を得ている武士は良くても、まだまだ下級にいる武士とっては辛いところです。
現代の企業に置き換えるなら、成長期にたまたま管理職の席を掴んだ人が、「もうこれ以上無理をして業績を伸ばさなくてもいい」と考える一方で、若手社員にとっては昇進の道が限られるという構図に似ています。
このように『三河雑兵心得シリーズ』は、戦国時代を描きながらも、現代社会の組織構造や人間関係にも通じているのが魅力の歴史小説です。