上念司著『経済で読み解く日本史|室町・戦国時代』第3章「日本経済を牛耳る巨大マフィア」を読書中
上念司著『経済で読み解く日本史|室町・戦国時代』という本を読み進めています。
現在、第三章「日本経済を牛耳る巨大マフィア」まで読み終えたところです。
本書は、経済評論家・上念司氏による「経済で読み解く日本史シリーズ」の一冊です。
このシリーズは「室町・戦国時代」「安土桃山時代」「江戸時代」「明治時代」「大正・昭和時代」と、5つの時代分けられており、2019年に全5巻が同時に発売されました。
日本史というと、源頼朝や足利尊氏、徳川家康など、軍事力を背景に政権を握った武将たちが主役になるイメージが強くあります。
しかし、これまで「経済」の視点から日本史を考える機会はほとんどありませんでした。
そもそも、室町時代にどのようなお金が使われていたのかすら、全く知らなかったのです。
室町時代には、現在の日本銀行のような中央銀行もなければ、国産の貨幣すら流通していません。
当時、日本国内に流通していた貨幣は、中国(本書では支那と表現されていますが、こちらでは「中国」とします)の銅銭でした。
そのため、日本国内の貨幣の流通量は、中国との貿易量によって、大きく左右されました。
結果的に、中国との貿易が盛んになれば物価が上がってインフレになり、逆に何らかの原因で貿易ができなくなれば物価が下がってデフレとなる状態でした。
当時の朝廷や幕府には、現在の日本銀行のように、政策的に貨幣の供給量を調整することは不可能でした。
また、室町時代の経済に大きな影響力を持っていたのが、京都五山を中心にした臨済宗でした。
さらに、比叡山延暦寺の天台宗や、藤原摂関家の氏寺であった興福寺も大きな影響力を残しており、寺社勢力が覇権をめぐって経済戦争が頻発していました。
本書を読み進めながら、つくづく日本史の奥深さを感じさせられています。
この先、戦国時代の経済についても詳しい解説へと続くようです。
これまで、知らなかったことを学べることに期待が膨らみます。