『図書館のお夜食』(原田ひ香著)を、オーディオブックで聴き終える。|『黄色い家』(川上未映子著)との比較
原田ひ香著『図書館のお夜食』を、オーディオブックで聴き終えました。
今月初めに、同じくオーディオブックで聴き終えた、川上未映子著『黄色い家』と、どこか同じ空気感を感じる作品でした。
しかし、『図書館のお夜食』と『黄色い家』の大きな違いは、登場人物が幸せか、不幸かということです。
この世に、自ら不幸になろうとしている人はいません。
本人に原因がなくても、外的要因によって不幸な人生を送らざるを得ない状況に置かれているのです。
一度不幸な状況に陥ると、そのスパイラルから抜け出すのは容易ではありません。
このような不幸のメカニズムを目の当たりにするにつれ、そもそも人間の幸せとは何なのか、様々な本と出会いながら考えさせられます。
やはり、経済的な部分が非常に大きいのです。
経済的に余裕があってこそ、食事を美味しく食べられて、好きな本を好きなときに読めるのです。
『図書館のお夜食』は、各章の最後に、夜食を美味しそうに食べるシーンがあります。
登場人物が、それぞれ不安を持ちながらも、最低限の経済を確保できているから、美味しく食べることができるのです。
『図書館のお夜食』と『黄色い家』を比べることによって、格差社会の実情が見えてきます。
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