【読書】今村翔吾(著)『塞王の楯』「第6章 礎」〜火薬について〜
今村翔吾(著)『塞王の楯』を読み進めておりまして、漸く「第6章 礎」まできたところです。この物語の主役は穴太衆という石工の集団ですが、その大敵として登場するのが、国友衆という鉄砲職人の集団です。1543年に、鉄砲が種子島に伝来してから、日本では主に大坂の堺、和歌山の根来、そして滋賀の国友村で生産されました。鉄砲を撃つには火薬が必要なのですが、ここで火薬について少し疑問が湧いたので、前に読んだ本に寄り道したくなりました。
左巻健男(著)『世界史は化学でできている』の「第17章:人類は火の薬を求める」によると、日本の戦国時代に使われていた火薬は、黒色火薬といわれるもので、硝石・硫黄・木炭を混合して作ったものでした。この黒色火薬は、19世紀半ばまで使われることになります。
1847年に、爆発力のはるかに強いニトログリセリンが発明されます。そのニトログリセリンを珪藻土に染み込ませて扱いやすくしたものがダイナマイトで、発明をしたのがあのノーベルです。
しかし、ダイナマイトの破壊力は激しいため、銃には使用することができませんでした。
現在使われている銃や大砲には、1884年にニトリセルロースに安定剤を加えた、無煙火薬が使用されています。
こうやって、寄り道をしていると、読書がなかなか前に進まなくて困ってしまうのですが、これこそが読書の醍醐味だと感じています。『塞王の盾』は第9章まであるので、まだまだ物語は続きます。読み始めたのが6月24日なので、もう1ヶ月も経つことになるのですが、面白い小説はじっくりと味わいながら読むのが好きなのです。