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Abaqus Student Editonをインストールした

商用のCAE(marc/abaqus/ansys)は年間ライセンス料が高額なため、個人で所有するのが事実上不可能です。その場合、個人で使用する場合は、フリーウェアのCAEや商用CAEのStudent版に限定されます。
最近はパソコン自体の性能がよくなっているため、ノートパソコンでも学習用として動かすことは十分可能です。Abaqus Student Editionがあり、試しに導入しました。

abaqus student Editionは2点の注意点があります。
1点目が、個人の学習目的とした利用のみで営利目的の使用は不可、2点目は接点数が最大1000に限定されています。

Windows11が入っているゲーミングノートパソコンにAbaqus2020 Student Editon行いました。目安として性能を記載します。
CPU:Intel Core7(第11世代)、メモリ16GB、GPU:GeForce
GPUはなくとも十分に動作可能だと思います。

1.導入方法

導入したのが2021年11月でしたので、現在とは違いがあるかもしれません。

1)Abaqus tudent Editonのダウンロード
以下のサイトにログオンを行い、ダウンロードを行います。その際、3DEXPERINECE IDがないとログオンできないため、3DEXPERINECE IDの登録を行います。
ABAQUS Learning Edition | 3DEXPERIENCE Edu (3ds.com)

2)インストール
ダウンロードしたマニュアルに説明があるので説明に沿ってインストールを行います。

参考サイトを紹介します。
Abaqus Student Edition2021のインストール方法 - Qiita
Abaqus Student Edition | プログレス・テクノロジーズ株式会社 (progresstech.jp)

2.計算例

片持ちはりのたわみを計算しました。
モデル:断面20mm角、長さ200mmの棒
材料係数:200000$${N/mm^2}$$、ポアソン比0.3
荷重:100N

(1)モデルの作成

図1 モデル作成

(2)メッシュ分割
6面体一次要素で計算を行いました。理想的なメッシュは立方体ですが、接点数の上限が1000というのもあります。よって、長さ方向10分割、断面の縦横を8分割にしました。

図2 メッシュ分割

(3)拘束条件の設定
はりの片側端面を完全固定しました。反対側の面に荷重を入力しています。
入力は、単位面積当たりの荷重になっていますので、
単位面積当たりの荷重 =$${\tfrac{荷重}{面積}=\tfrac{100}{400}=0.25}$$
となります。
荷重はY軸方向にかけています。

図 拘束条件の設定

(4)解析結果
はり先端部のたわみは、たわみのコンター図より0.1014mmでした。
(補足:たわみ方向がY軸方向負側変位なのでコンター図上は負の値です。AbaqusではX方向変位をU1、Y方向変位をU2、Z方向変位をU3で表示します。そのため、コンター図はU2にて表示させています)
一方、はりのたわみは、材料力学の公式で計算でき、Web上の計算ツールを用いて計算を行いました。計算結果は0.1mmでした。
はりの強度計算 【片持ちはり-集中荷重-長方形】 - 製品設計知識 (seihin-sekkei.com)
Abaqusでのたわみは、理論値の近い結果が出ているので、計算はきちんとできていると考えます。もちろん、メッシュサイズを細分化や4面体2次要素にすることで、材料力学の公式に近づけることは可能です。

図 たわみのコンター図

3.まとめ

導入に成功し、モデルから解析結果の確認までできました。Abaqusは、伝熱・振動などの解析もできるため、ほかの解析事例もやってみようと思います。

4.覚えておくと便利なメモ

解析の実行は、コマンドライン上からでも可能です。この2つを覚えておけば十分です。
1)解析を実行する場合
解析ファイル名を"beam.inp"とすると

abaqus job=beam memory=1gb

です。.inpは外します。memoryは使用メモリ容量です
2)解析結果を見る場合、結果ファイルを”beam.odb"とすると、

abaqus cae database=beam.odb

です。直接odbファイルが開けるので便利です。

<参考記事>
7. ABAQUS/Explicit実行 - ABAQUS利用の手引き (titech.ac.jp)

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