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食欲減衰映画『オテサーネク 妄想の子供』感想文。

このnoteは『オテサーネク 妄想の子供』って映画の感想文です。致命的なネタバレはないかと。






久しぶりに観ましたよオテサーネク。
きっっっっしょい映画だなこれ!!!
淡白でざらついて、ちゅうぶらりんな茶色の画面、そこで普段は注視しない物をドアップにされると「こんなにざらついて見えるなんて……現実世界ってグロいのでは?」と錯覚する。

そんなこの映画のグロさ、血が映る後半よりも食事シーンだと思う。

まずそうに皿にのっかる得体の知れない(これは文化圏が違うからかもね)ドロドロした食べ物。登場人物もあまり楽しくなさそうに食べる。
妄想が産んだ化け物の食べるという行為を悪く描くのはわかる、じゃあ相対的に人間の食卓を暖かく安心できる存在として描きましょうとはならない。
殺して食うのは化け物も人間も同じだろうがってことか、そもそも等しく「食べる」を悪く描こうとしてるだけなのか。


私は人間を醜く描く作品があまり得意じゃなくて、人間の美しさ(決して良さではない)を感じ取れる作品が好み。
この映画は人間どころか命そのものを醜く描いているように感じる。だけど嫌いじゃなくて、それは登場人物に共感して観ているわけではないからかな、と。

これを作った人たちは繊細で不器用な人なんじゃないかと映画から感じた。詳しいことは知らないけれど、そんな気がする。
不器用でも手の込んだ映画を作れるし、誰かの心に何かを残せる、そんな気持ちでメタ的に感動してるのかもしれない。

達観でも諦めでもない、突き詰めた醜さ。
それって人間の良さでもある、そもそも他の生き物は「食べるって殺すことダヨネ……」なんて悩まないと思いますし。

いや〜2度も観るとキツかったですね、この映画。
楽しいけど他人に勧めたくはないな、微塵も勧めたくはない。責任取れないからね

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