
「母の入院 ~ 17年前の日記より」
12月25日月曜日
今朝、母が珍しく浮かない顔で、指先が痺れるから病院に行ってくると言っていた。
何年か前、脳血栓で倒れたことがあり、現在糖尿病と狭心症で通院中の身である。大したことが無ければ良いのだが・・・。
そう思いながら仕事に向かい、夕方帰宅してみると、いつもなら居るはずの母の姿が無い。その後の様子が全く分からないので心配していたら、暗くなってから帰ってきた。
明日、心臓の検査をするため入院することになった模様。帰りが遅くなったのは、そのためにあれこれと用事を済ませていたようだ。母が入院している間、父はケアハウスにショート・ステイ。
明日は運転手役だ。
こんなときのために故郷にUターンしたのではあるが・・・。
12月26日火曜日
検査の結果が出た。
「手術の必要無し」
ほっとした。
12月27日水曜日
今回の母の入院騒ぎも、手術の必要無しという結果が出て、一晩の入院で終了。それでも、まったくの異常なしというわけではなく、中程度(50%)の動脈硬化。検査を担当して下さった先生から、今後も今までと同じく、コレステロール値や血糖値に気を付けながら、ストレスを抱え込まないようにというアドバイスを頂いて、本日昼食後に退院。
昨日、病室で1人、母の検査の結果を待ちながら、気もそぞろに6階の病室から見える交差点の様子や桜島を何となく見ていた。朝から降り続いていた小雨はやんでいたものの、空全体を雲が覆っていて、桜島もどんよりと見えた。

しばらくすると検査を終えた担当医の先生がやってきて、手術が必要な状態ではないことを伝えてくださった。
「検査も終わりましたので、今上がって来られますよ」
階下から戻ってきた母は、それまでと打って変わって、晴れやかな表情だった。検査の結果を話し始め、思わず笑みが浮かんだちょうどその時、雲の間から日が射し、病室が明るくなり、桜島もはっきりと見え、次第に晴れ間が広がっていった。

駐車場から車を出すころには、青空が広がり、心とシンクロしているかのような空の変化が印象的だった。

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※ 日記帳を読み返すまで、僕はこの日のことを忘れていました。
生前の母の顔が脳裏に浮かび、なんだかほっこり。
写真は、旧市立病院の病窓及び駐車場から撮ったもの。
今となっては貴重な思い出です。